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![]() 門司地方海難審判理事所は、平成15年10月3日門司地方海難審判庁に対し、上記事件の審判開始の申立を行い、第十八光洋丸一等航海士が受審人に、フンア ジュピター二等航海士(大韓民国)が指定海難関係人に指定されました。 なお、10月27日に第1回審判が行われ、12月9日に第2回審判が行われる予定です。 (事件の概要) 第十八光洋丸(135総トン)は、大中型まき網漁業に従事する網船で、21人が乗り組み、平成15年6月29日下関漁港を僚船とともに発し、7月2日投網を完了して漁労に従事中、また、フンア ジュピター(3,372総トン、パナマ共和国船籍)は、16人が乗り組み、コンテナ465.5トンを積載し、7月1日大韓民国釜山港を発し、広島港に向かう途中、7月2日02時25分福岡県沖ノ島沖合で衝突した。 衝突の結果、第十八光洋丸は瞬時に横転して沈没し、乗組員1人が死亡し、6人が行方不明となり、7人が重軽傷を負い、フンア ジュピターは球状船首に凹損及び破孔を生じた。 |
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![]() 長崎地方海難審判庁は、平成15年9月30日上記事件の裁決を行い、「造船所内で建造中の大型客船において、溶接作業中、溶接の高熱で客室に置かれた可燃物が発火し、炎上したことによって発生したものである。造船所が、自ら定めた火気作業要領について、的確な指導、教育及び監督が不十分で、溶接作業現場において同作業要領が遵守されなかったことは本件発生の原因となる。なお、火災が拡大して甚大な被害が発生したのは、機動的な消火活動ができなかったことによるものである。」と言い渡しました。 (事件の概要) ダイヤモンド プリンセス(2180番船)(総トン数113,000トン)は、平成14年10月1日17時19分、長崎港において、造船所の係留岸壁で建造中、船内における溶接作業の高熱により、同作業の直上階の客室に置かれた段ボール紙や木製家具などから発火し、火災となった。 その後、上層に延焼して、発生から3日後に鎮火したが、延べ床面積の約4割が焼損した。 |
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![]() 横浜地方海難審判庁は、平成15年10月29日上記事件の裁決を行い、「夜間、検疫錨地で錨泊中、低気圧の接近で波浪が高まった際、速やかに港外に避航せず、走錨して浅瀬に圧流された。」ことが原因であるとしたうえで、指定海難関係人である船長(朝鮮民主主義人民共和国)に対して、海洋汚染防止措置などの事後処理を講じなかったことを指摘する勧告を言い渡しました。なお、外国人に対する勧告は初めてです。 (事件の概要) チル ソン(3,144総トン、朝鮮民主主義人民共和国船籍)は、平成14年12月4日23時45分、茨城県日立港の検疫錨地において錨泊中、低気圧の接近で波浪が高まり、走錨して同錨地北西方の浅瀬に圧流されて乗り揚げた。 乗揚の結果、消波ブロックに打ち寄せられ船底に破口を生じ、燃料油の一部が流出して海岸等を汚染した。 |
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![]() 日立港の消波ブロックに打ち寄せられたチル ソン |
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〜ヒューマンファクター概念に基づく海難調査のあり方について〜 | ||
ヒューマンファクター概念に基づく事故調査は、航空・宇宙分野をはじめ自動車・鉄道分野でも広く取り入れられており、海上交通分野の海難調査においても、国際海事機関(IMO)で、「ヒューマンファクターの調査のための指針」を決議するなど国際的な課題となっています。 そこで、海難審判庁では、日本におけるヒューマンファクター研究の第一人者である黒田勲所長を講師としてお招きし、講演会(演題「海難審判庁における事故防止のためのヒューマンファクター面の調査方法について」)を開催しました。 講演会は、横浜地方海難審判庁のほか3箇所の地方海難審判庁で開催され、「ヒューマンファクター面から見た事故分析」、「これからの海難事故調査手法」など、今後の当庁の海難調査のあり方などについて有意義なお話しをいただきました。 |
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![]() 講演を行う黒田所長 |
![]() 講演会場の模様 |
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