近年、GPSは、カーナビと同様に船舶の位置計測に広く用いられるようになっています。
 海難審判庁の裁決においてGPSの取扱いが海難発生にかかわったとされた事件は、平成5年に初めて登場し、その後増加傾向となり、平成8年ごろから現在まで毎年20件前後で推移しています。
 今回、海難審判庁では、航海計器としてのGPSに着目し、その性能に対する理解が不十分もしくは取扱い方法または利用法の不適切さが海難発生の要因のひとつとなったとして、平成5年から同13年の間に裁決された事件149件(149隻)を対象に取り上げ、海難の発生要因をGPSの理解、操作、利用に分類し、更に10に細分類して分析を行いました。
 これらの事件を、船種別でみると、漁船が87隻(58%)で最も多く、次いで、プレジャーボート25隻(17%)、遊漁船16隻(11%)、貨物船14隻(9%)などとなっており、事件種類別でみると、衝突が71件(48%)、乗揚56件(38%)、防波堤等衝突17件(11%)などとなっています。
 また、分析対象事件の3割において死傷者が発生しており、その死傷者数は91人(死亡10人、行方不明1人、負傷80人)となっています。

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 高等海難審判庁 総務課 海難分析情報室
 mailto:maia@mlit.go.jp
 tel: 03-5253-8821
GPS性能の理解(26件)
 1 GPSの性能の理解不十分           (24件)
 2 GPS機器の取扱いの理解不十分         (2件)

GPS機器の操作(33件)
 3 GPSの調整等に気をとられた         (16件)
 4 GPSのデータ入力等の設定に気をとられた   (12件)
 5 GPSプロッター画面の表示切替えの不適切    (4件)
 6 GPSへのデータ誤入力             (1件)

GPS情報の利用(90件)
 7 GPS情報の不適切な利用            (3件)
 8 GPSデータを海図に誤記載           (2件)
 9 GPSの注視に気をとられた          (49件)
 10 GPSから得られる情報を活用しなかった    (36件)

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