(漁船S丸乗組員死亡事件から)

   〜 FRP製漁船における感電 〜 

  

発生日時、場所 平成13年8月10日 08時30分 鳥取県境港
気象等 曇(雨が降り止んで間もないころ)、北風、風力2

   

  

海難の概要
 FRP製漁船S丸(99総トン)は、造船所で整備作業のため上架のうえ三相交流220ボルトの陸電を接続して船内に通電中、船体が異常に帯電した状況となっていたが、無防備な船長がタラップを登ってブルワーク越しに船内に入ろうとした時に感電し、病院に搬送されたが心肺停止で死亡した。
海難原因

 S丸が、入渠前から電路の点検不十分で、主配電盤内で220ボルト系統の配線から漏電していることに気付かなかった。
 S丸が、上架のうえ、陸電を接続して船内通電中、船体が異常に帯電していることを認めた際、感電防止対策が不十分で、船内の漏電箇所を調査しなかった。
 造船業者が、安全対策が不十分で、上架して陸電を供給したS丸に対し、接地工事を施したり、異常事態に直ちに対処できるような相互の連絡体制を確立していなかった。
   この事件は、発生に至るまでに複数の直接原因を有しており、それらの背景要因も多数あげられ、かつ誘発する要因が潜在的に存在していることが明らかになった。
 これら背景要因等を時系列で分析すると、事故を未然に防止できる連鎖する四つの壁があったが、いずれもヒューマンエラーによりその壁が次々に崩されている。

 

  
 
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