令和6年11月26日(火)14:00~14:16
国土交通省会見室
武田委員長
運輸安全委員会委員長の武田でございます。
ただいまより、11月の月例記者会見を始めさせていただきます。
はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、鉄道及び船舶モード合わせて5件ございます。
鉄道モードは、11月16日に北海道 茅部郡森町内のJR北海道 函館線において、JR貨物の列車が脱線した事故、11月6日に愛媛県の伊予鉄道株式会社の路面電車が走行中にドアが開いた重大インシデントの2件です。
船舶モードは、10月16日に佐賀県唐津市の小川島沖において、遊漁船登美福丸が航行中、釣り客1名が落水して死亡した事故、11月10日に福岡県宗像市の大島沖において、海上自衛隊の掃海艇「うくしま」で火災が発生し、のちに転覆・沈没して、乗組員1名が行方不明となった事故、11月23日に神戸港において、マーシャル諸島共和国籍の貨物船と押船奨栄丸が衝突し、奨栄丸が転覆して乗組員1名が死亡した事故の3件です。
運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。
なお、11月1日にJR東日本の東北線で発生した踏切障害事故について、調査官の派遣を発表しましたが、その後、警察により自殺であると判断され、当委員会の調査の対象ではなくなったため、調査は終了しております。詳細については、事務局にお尋ねください。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧いただければと思います。
次に、専門委員の任命がありましたので、ご報告申し上げます。専門委員とは、個別調査において外部の専門的知見を得る必要がある場合、運輸安全委員会設置法第14条に基づき、学識経験者を専門委員として任命し、調査に参加していただくというものです。
対象事案は、令和6年7月にJR山陽線で発生した貨物列車脱線事故で、本事故におきましては、脱線した車両の車軸が折損しており、現在、車両の詳細な調査など、情報収集を進めているところです。
今回、車軸折損のメカニズムに関する分析を進めるため、一般社団法人 日本鉄道車両機械技術協会参与である石塚弘道氏、神戸大学名誉教授である中井善一氏が専門委員に任命され、11月より調査に参加していただいております。詳細については、事務局にお尋ねください。
次に、安全啓発資料としまして、運輸安全委員会ダイジェスト第46号「雪による鉄道事故の防止に向けて」を、本日公表しましたのでご報告いたします。お手元の資料2をご覧ください。
これから本格的に冬を迎えるに当たり、雪を要因とした鉄道事故等について、事故種別や発生時期・発生場所の特徴、事故等防止に向けてのポイントなどをまとめました。
資料2ページの図1をご覧ください。平成13年10月から本年3月までの22年半の間に報告書を公表した事故等のうち、雪又は融雪が要因となって発生した事故等は34件でした。
その下の図ですが、この34件のうち約9割が列車脱線事故であり、その9割が乗り上げにより発生したということで、資料7ページの図14にあるような、踏切のレールの隙間にたまった「踏切圧雪」や、列車の台車や床下の機器の周りにたまった「抱き込み雪」等に乗り上げております。
また、雪の状況に関する確認不足や判断の誤りにより、除雪の要否や運行可否の判断が適切に行われなかったことなどが指摘されている場合もあります。
豪雪地帯のみならず、平素は雪の多くない地域でも雪による事故は起きています。
事業者の皆様は、あらかじめ、本資料を参照して雪による事故等の具体例を把握していただき、降雪や積雪の時における除雪や運行規制の体制と、その客観的な判断基準を検討していただくこと、及び実際に降積雪に見舞われた際には、路線・踏切等の雪の状況を適切に把握していただくことにより、雪の時期の安全な運行に努めていただくことを期待しております。
本資料は、全国の鉄軌道事業者に配布して周知を図るほか、日本民営鉄道協会、国土交通省鉄道局、各地の運輸局等に配布し、安全指導などの際に周知・活用していただく予定です。
また、当委員会の出前講座などにも活用するほか、当委員会のホームページに掲載し、公式Xでも動画付きで紹介する予定です。
本日私からは以上です。