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委員長記者会見要旨(平成28年5月17日)

平成28年5月17日(火)14:00~14:12
国土交通省会見室
中橋和博委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の中橋でございます。
 ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。

(ITSA)

 今月の会見は一週早めて実施させていただいておりますが、その理由は、私がITSAに日本代表として出席するためです。
 ITSAとは、International Transportation Safety Association(国際運輸安全連合)の略称で、米国、カナダ、オランダ、フランス等16の国・地域の事故調査機関の長をメンバーとし航空や船舶など複数の輸送モードをカバーする国際的な組織です。
 その主な目的は、毎年各国メンバーが集まって開催される会議において、他のメンバー国の事故調査機関が行った事故調査から得られた教訓を共有するとともに、事故調査に関する様々な情報を共有することにより、運輸の安全性を向上させることにあります。
 今年の会議は、5月22日(日)から25日(水)の間、フランスのBEA(フランス航空事故調査局)の主催によりパリで開催され、日本からは、私がメンバーとして出席します。

(バックパネル)

 また、今回の会見からこちらのバックパネルを使用して、広報の視覚的なイメージの向上を図り、運輸安全委員会の情報発信を高めてまいりたいと思います。
 デザインは「組織名称」「運輸安全委員会の英文表記」「シンボルマーク」の三つで構成しました。全体的な色彩は、運輸安全委員会のシンボルマークである青緑色を基調にしています。
 本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、運輸安全委員会ダイジェスト英語版の発行についてご報告させていただきます。

1.事故調査の進捗状況報告

 はじめに現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。

2.運輸安全委員会ダイジェスト(英語版)の発行

 続きまして本日、「運輸安全委員会ダイジェスト(英語版)航空に関する事故等関連事項紹介 航空分野における「ヒヤリ・ハット」について」(英語名称:Introduction of Events Relating to Aircraft Accident, etc.: Close call incidents in the field of aviation)を発行し、当委員会の英語版ホームページで公表しましたので、ご紹介します。
 ご参考に、本号の掲載ページを印刷した資料2をお配りしております。
 本英語版ダイジェストは、昨年9月に発行した運輸安全委員会ダイジェスト第18号(日本語版)をもとに英訳したもので、航空事故等と「ヒヤリ・ハット」の比較や、操縦士の方へのインタビューとアンケートの紹介、後方乱気流および滑走路誤進入関係の事故等調査事例2件の紹介等を行っています。
 航空事故分析集の英語版ダイジェストは、これまで3回発行し、国際会議やシンポジウムなどの場で紹介を行い、有用な資料である旨の評価を得ております。今後も当委員会の活動を海外に向けて積極的に情報発信してまいります。
 なお、印刷物をご希望される場合は、お配りしますので、後ほど、事務局にお申し出ください。

 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(調布小型機墜落事故関連)

問: 調布の事故に関して、何か進捗があったかどうかについて伺いたいのですが。
答: 現在、任命された専門委員の協力を受けながら、これまでに収集した調査データの画像、それから映像、音声等を基に、シミュレーター等を活用した事故機の詳細な飛行状況に関する解析を進めているところでございます。まだそういった段階でございます。

問: 調布の件ですが、海外のメーカーでの調査では特段、エンジンに不具合が見つかっていないと前回の会見で言われていましたが、今後の調査の主眼はどのあたりになってくるのでしょうか。
答: 先程、申しましたように収集した調査データの画像、映像等を基にシミュレーター等を活用した事故機の詳細な飛行状況に関する解析を行っているところでございます。

問: 機体そのものというよりは、飛行状況などのデータの解析等がメインになっていくということですか。そちらしかないというイメージですか。
答: そこから何が問題であったのかということをさまざまな情報も加味して、慎重に検討していきたいと考えております。

(広島空港アシアナ機事故関連)

問: 昨年の広島空港でのアシアナ機の事故に関して、進捗状況を見ると報告書案審議中とありますが、運輸安全員会設置法では1年を目途に公表ということが定められているかと思うのですが、どのくらいを目途に報告書の発表ということになりそうでしょうか。
答: まだ審議の途中でして、既に数回にわたって審議を行っておりますけれども、現時点でいつ審議が終了するのかということについては、お答えする状況にはございません。運輸安全委員会として、できる限り早期に報告書を公表できるように努力いたします。

問: 例えば、関係国でなかなか照会している回答が来ないだとか、具体的に支障になっているようなものはありますか。
答: まだ、関係国への照会は行っておりません。今審議中というところでございます。

(八尾空港小型機墜落事故関連)

問: 八尾空港の事故の進捗状況についてはどうですか。
答: 事故発生直後にお話したところもありますけれども、小型機ということでデータレコーダ等が付いていないというものでございます。一方、発生場所が八尾空港ということで航空を専門とする人たちが近くで見ていたという事故でございますので、そういった関係者からの口述を集めるというところから始まりまして、最後の事故に至った飛行経路といいますか、そういったところを現在、分析しているところでございます。

(ITSA関連)

問: パリに行かれるとのことですが、委員長は得られた教訓としてどのような話をされるのでしょうか。
答: 今回は委員長としての出席が最初ということで、私の自己紹介を若干行い、それ以外にMRJがこれから就航に向けて試験をやっているということで、運輸安全委員会の調査体制の強化、それから昨年12月に公表しております急カーブにおける江差線の一連の貨物列車脱線事故の分析結果等について、こちらから発言して情報共有を行う予定です。

問: 江差線の調査で得られた、共有すべき教訓とか課題であるとか何があるのでしょうか。
答: カーブにおける脱線に関して、共通の因子があることを報告する予定です。報告書の概要を報告する予定ですが、貨物列車の脱線事故というのは、ヨーロッパ等でも起きておりまして、江差線の脱線についてはローリングの発生によって起きているわけですが、そういった事例の検討や研究はヨーロッパでもいろいろ行われています。日本語版での報告書の段階で図面等を見て興味を示されているヨーロッパの先生もいらっしゃったので、そういった意味で何らかの興味を示されるのではないかと思われます。

資料

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