平成11年3月7日から8日にかけて、日本の南から北へ低気圧が発達しながら通過しました。この影響で本号掲載の裁決事例2件のほか4件の海難が発生しています。 |
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上図のとおり、低気圧の移動に伴って、南から北へ海難が発生している様子がわかります。 春先のこの時期、東シナ海に発達した低気圧が急速に発達しながら日本の上空を通過することがあり、「東シナ海低気圧」と呼ばれています。太平洋岸に沿って北上する場合には、太平洋側に「思わぬ春の『大雪』」をもたらすこともあります。 この低気圧は移動の速度が極めて速いのが特徴です。「台風の2倍の速度で進行する。」ともいわれており、しかも、急激に発達する(気圧が急激に下がる)ことも大きな特徴です。 上図でみるように、沖縄で強風を吹かせた1日後には北海道でより強い風を吹かせています。わずか1日で2,500q、時速100q以上のスピードで進行したことになります。 紹介した2件の裁決事例はいずれも「こんなに早く風が吹くとは思わなかった。」「こんなに強い風が吹くとは思わなかった。」というもので、「東シナ海低気圧」に対する認識不足が海難を招く判断ミスにつながった状況がうかがえます。 2月中旬以降「冬の終わりから春先」にかけて、テレビ、ラジオなどの気象情報で「発達中の低気圧」があることを知ったときは、「急激に発達し、進行速度が速い」ことを念頭に、早めに、十分な荒天準備をする必要があります。 |
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