平成13年度、当海難審判庁は、隣国である韓国の海洋安全審判院との間で海難調査協力に係る二国間会議を行うなか、平成14年2月の長官級会議において海難調査情報の交換を中心に新たな協力関係を構築することで意見が一致、「討議記録(調査協力文書)」に署名しました。


[平成14年2月27日、調査協力文書に署名後、握手する、米田高等海難審判庁長官と李(リー)韓国中央海洋安全審判院長(於三田共用会議所)]

 海難調査協力のための国際的な枠組みの構築に向けた検討が進められているなか、今回の調査協力文書への署名は、東アジア地区の海難調査機関としては初の二国間協力関係を明文化したものであり、4月以降、日韓の海難調査機関が相互に海難発生情報の早期通知、調査資料の交換等を行うことで、担当海域における、より迅速かつ的確な海難調査が行われることとなります。

高等海難審判庁審判廷を視察する韓国中央海洋安全審判院長一行
「経緯」
1.「日韓海難調査協力(高官級)会議」(平成13年11月26-29日、東京/門司)
昨年8月、ソウルの中央海洋安全審判院で行われた準備会合以降協議を重ね、11月26日-27日、東京において「日韓海難調査協力(高官級)会議」を開催、伊藤實海難審判理事所首席理事官、朴玲先(パク・ヨンサム)中央海洋安全審判院首席調査官らによる意見交換が行われました。

[平成13年11月27日、東京会議]

会議では、
@互いの領海内で相手国が関係する海難を認知した際の、相手国に対する速やかな初期情報通報の必要性
A双方の船舶が関係する海難の調査において、可能な範囲で双方が所持する調査資料交換の有効性
B受け入れ側調査機関の基本的スタンスなどを確認し、長官級会議における意見の一致を得るため、引き続いて調整していくこと
について意見交換が行われました。

2.「日韓海難調査機関長官級会議」(平成14年2月27-28日、東京)
 ○[韓国側]出席者4名
 李甲淑(リー・ギャプソック)中央海洋安全審判院長、呉恭均(オウ・キョンギュン)首席(統括)調査官、朴在平(パク・ジャエピョン)先任審判官、金景熙(キム・キョウンギ)調査官補佐
   [日本側]出席者4名
 米田裕高等海難審判庁長官、亀山海難審判理事所長、宮田高等海難審判庁首席審判官、伊藤海難審判理事所首席理事官
 ○会議の内容
 両国調査機関が調査協力を行う必要性、両国機関の国際協力の現状、国際海事社会への貢献等について首脳同士による意見交換を行い、李(リー)院長から、「将来的には、海難調査に関係する分野の共同研究を行いたい。」旨、米田長官からは、「両国機関による調査協力の実績を踏まえ、今後、アジア地域、環太平洋地域における新たな国際協力体制の構築を目指したい。」旨の意見が述べられました。
 なお、上記、2回の国際会議は、いずれも、(財)シップ・アンド・オーシャン財団の海外交流基金事業により行われました。

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