−冬の海難特集−
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発生日時、場所 : 12年2月16日10時06分 青森県八戸港 | |||
気象、潮汐 : 雪、北西風、突風を伴う風力5、上げ潮の末期 | |||
海難の概要 | |||
K丸(496総トン)は、船尾船橋型の貨物船で、船長ほか4人が乗り組み、空倉のまま16日07時35分八戸港港外の仮泊地を発し、川原木第一工業港専用岸壁に向かった。 船長は、当日の気象情報をファックスで受信し、冬型の気圧配置が高まり、突風を伴って雪が断続的に強く降る旨の大雪・風雪・波浪等注意報が発表されていることを知っていた。 船長は、航路管制待ちのため、一旦港内で錨泊したのち、09時40分抜錨して専用岸壁に向かい、一等航海士及び甲板員を船首配置、一等機関士を船尾配置、機関長を操舵室の機関操作に付け、自らは操舵室で操船にあたって4.3ノットの速力で進行した。 船長は、専用岸壁には年3回程度着岸しており、通常、出船左舷着けにしていたが、今回は降雪及び西寄りの強風のため、同岸壁前の狭い水路で回頭することができなかったことと対岸に着岸している台船のアンカーワイヤが水路中央付近まで延出していたため、急遽、代理店に申し入れ、入船右舷着けに変更することにした。 10時03分船長は、折からの降雪に伴う風力5の北西風を船首から受け、降雪で視界が狭められている状況下、出航時の用錨回頭を容易にするため、2.7ノットで惰力進行しながら左舷錨を投じ、錨鎖を弛ませた状態で伸出しつつ同岸壁に接近し、氷結した岸壁上の綱取り作業員が船首側スプリングラインを岸壁に引き上げる作業中、船首が同岸壁まで7メートルに接近したとき、折からの突風を伴う北西風が強吹し、急に船首が風下の同岸壁に向けて右方に圧流され、錨鎖は弛んだまま3節伸出されていたことから、その圧流を抑えることができず、左舵一杯及び後進にかけたが間に合わず、10時06分1.4ノットの速力で船首が専用岸壁に衝突した。 衝突の結果、専用岸壁は損傷し、K丸は船首部に凹損を生じた。 |
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海難原因 | |||
本件岸壁衝突は、冬季の突風を伴う北西の強風下、専用岸壁に入船右舷着けする際、風圧流に対する配慮が不十分で、突風により船首が風下の同岸壁に向けて圧流されたことによって発生したものである。 | |||
外部環境と人的要因との関係 | |||
本件が発生するに至る外部要因として、「降雪」、「強風」、「錨の投下場所」、「岸壁の状況」があげられる。これら外部要因が人間の行動にどのように関連したか分析すると次のようになる。 | |||
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