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海難審判庁では,7月8日に『海難レポート2005』を発刊しました。
『海難レポート2005』では,16年に発生した海難の状況や当庁の最近の動きなどを紹介しています。特集記事として,昨年,観測史上最多となる10個の台風が上陸し,多くの海難が発生したことから,「台風と海難」を取り上げています。
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◆台風に伴う海難の発生状況 |
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上陸した台風による海難は,233件268隻(走錨船に衝突された錨泊船を含む。)で,海難に伴う死亡・行方不明者は37人に上りました。とりわけ,九州北部を横断して山陰沖に達した台風18号では,72件の海難が発生し,29人が死亡・行方不明となりました。
また,外国船の海難は,13件14隻でしたが,台風に不案内なために避難時機を失するなどして全損に至るケースが目立ち,死亡・行方不明者も37人中30人を占めています。
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◆海難事例
台風海難事例は,伏木富山港で錨泊中に走錨して乗り揚げた「練習船海王丸乗揚事件」ほか1件を取り上げています。
◆未知との遭遇
台風の通過に伴う各地の最大風速及び最大瞬間風速と,風速65m/sの暴風の中での錨泊体験談を掲載しています。
◆台風避難アンケート集計速報
台風海難の防止対策に役立てていただくため,昨年の台風を無事凌ぎきった旅客・フェリー及び内航船を対象として,台風接近時における避泊実態についてのアンケート調査を実施し,871隻からの回答を集計速報として掲載しています。 |
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台風進路に近い錨地,港内など狭い錨地及び錨泊船が多い錨地では,係駐力を確保して振れ回りを少なくするため,中小型船の多くが双錨泊としていました。
旅客・フェリーは,単錨泊では10節が,双錨泊では両舷8節がそれぞれ最も多く,また,500トン未満の内航船では,単錨泊・双錨泊とも6節が,500トン以上の内航船では,単錨泊・双錨泊ともに7節が最も多くなっています。
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(乗揚には至っていません) |
旅客・フェリーは,単錨泊では風速20 m/s・波高2mから,双錨泊では風速28 m/s・波高3mから走錨していました。また,500トン未満の内航船は,単錨泊では風速25 m/s・波高2mから,双錨泊では風速25 m/s・波高3mからそれぞれ走錨しており,また,500トン以上の内航船は,単錨泊では風速15 m/s・波高4mから,双錨泊では風速20 m/s・波高4mからそれぞれ走錨していました。
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