〜 プレジャーボートの海難 〜 
(モーターボートP乗揚事件から)
発生日時、場所 平成14年5月26日12時10分 和歌山県田辺港沖合
気象等 晴、北西風、風力2、上げ潮の初期
損傷 船底外板3箇所に破口を生じて浸水
海難の概要
 総トン数15トンのモーターボートは、船長ほか友人5人を乗せ、和歌山県田辺港沖合で、トローリングによるかつお釣りをしたのち帰航中、居眠り運航により田辺沖ノ島灯台の西方の浅礁に乗り揚げた。

海難原因
 酒気が完全に抜けない状態で帰航し、居眠り運航の防止の措置をとらなかった。

影響した要因
・船長はトローリングをしながら同乗者と昼食を取り始め、キャビンの冷蔵庫に入っていた350ミリリットル入り缶ビール3缶をお茶代わりに飲んだ。
・その後も釣りを続け、11時40分釣りを終えて帰航することとしたが、飲酒後まもなくで、酒気が完全に抜けない状況であった。
・フライングブリッジでの一人による操船で、いすに座りながら自動操舵により進行した。

船長の認識・判断

飲酒が安全運航に支障を来たすことを認識していない

 「酔いが残っているような感じだったが、さほどの量を飲んでいないから大丈夫と思った。定針したときも眠気は感じなかった。乗揚直前の針路に転じたのち眠気を感じないまま居眠りに陥った。酔いがいくらか残っていたこともあって居眠りしたと思う。」
事故を防ぐために
 飲酒は本件のように居眠りの原因となることもありますので注意が必要です。
 また、本件は、飲酒していない小型船舶操縦士の免許を受有している同乗者がいたので、2人で船橋当直に当たるべきでした。

 ※「船舶職員及び小型船舶操縦者法」では小型船舶の船長の遵守事項として「酒酔い操縦等の禁止」が規定されています。

 

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