報告書番号 | RA2023-5-3 |
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発生年月日 | 2022年02月07日 |
区分 | 鉄道 |
発生場所 | 横河原線 見奈良駅構内[愛媛県東温市](高浜駅起点21k200m付近) |
事業者区分 | 中小民鉄 |
事業者名 | 伊予鉄道株式会社 (法人番号 7500001020510) |
事故等種類 | 列車脱線事故 |
踏切区分 | |
人の死傷 | |
都道府県 | 愛媛県 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2023年06月29日 |
概要 | 伊予鉄道株式会社の横河原線横河原駅発、高浜線高浜駅行き3両編成の上り第512列車は、令和4年2月7日(月)、横河原線愛大医学部南口駅を定刻(16時15分)に出発した。 同列車の運転士は、横河原線見奈良駅の上り場内信号機の警戒信号の現示を確認して見奈良駅構内に進入したところ、51号分岐器のトングレール先端から約5m手前で、通常は右基本レール(以下、前後左右は脱線した列車の進行方向を基準とする。)に接着していない同分岐器の右トングレールが右基本レールに接着していることを見付け、直ちにブレーキ操作をしたが、直後に横揺れを感じた。 同列車は、1両目(以下、車両は前から数える。)の前台車全2軸が予定していた進路である上り線とは異なる下り線に進入しており、同台車全2軸の左右車輪が下り線の右レールを挟み込むような状態で脱線していた。 同列車には、乗客13名及び乗務員2名が乗車していたが、負傷者はいなかった。 |
原因 | 本事故は、発条転てつ機の転てつ棒が折損していたことによって左右トングレールが左右基本レールにそれぞれ接着しているところに、運転士が上り場内信号機の警戒信号の現示を確認し、列車が分岐器に対向で進入したため左右トングレールの間に1両目の前台車全2軸の左右車輪フランジが入り込む状態となり、分岐器のポイント部において同台車第1軸が予定していた進路とは異なる下り線に、同台車第2軸が上り線に進入したことによって同台車全2軸が脱線したと考えられる。 転てつ棒が折損したことについては、転てつ棒の破断面の上面角部2か所の溶接止端部における溶着部と未溶着部の境界を起点として疲労亀裂が発生して破断面の中央部まで進展し、破断面の下側が塑性変形を伴わずに破断したと推定される。 転てつ棒に疲労亀裂が発生したことについては、事故が発生した分岐器を列車が背向で通過するたびに右トングレールの前端側が浮き上がって本件転てつ棒の鉄板に溶接されたU字型突起物を持ち上げ、右側の転てつ棒上面を右基本レール底面に打ち付けていたためと考えられる。 同社は、定期検査で浸透探傷検査を全ての転てつ棒に対し実施していたが、転てつ棒の塗料を剝がさずに浸透探傷検査を実施していたことによって、浸透液が亀裂に十分に浸透しておらず、亀裂を示す指示模様が現れていなかったため亀裂を発見できなかった可能性が考えられる。 上り場内信号機が警戒信号を現示したことについては、通常であれば本件分岐器の左右トングレールが定位側に転換しない限り、上り場内信号機は、停止信号を現示するはずであるが、転てつ棒が折損したことによって左右トングレールが左右基本レールに接着していたものの、事故が発生した分岐器には、右トングレールの接着を検知する回路制御器が設置されていなかったため、右トングレールが右基本レールに接着していたことを検知できず、回路制御器が左トングレールの接着のみを検知し、上り場内信号機が警戒信号を現示したと推定される。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見(建議) | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |