報告書番号 | RI2012-1-1 |
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発生年月日 | 2011年06月14日 |
区分 | 鉄道 |
発生場所 | 石勝線 追分駅構内(単線)[北海道勇払郡安平町] |
事業者区分 | JR |
事業者名 | 北海道旅客鉄道株式会社 |
事故等種類 | 施設障害 |
踏切区分 | |
人の死傷 | |
都道府県 | 北海道 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2012年11月30日 |
概要 | ・1件目(平成23年6月14日発生) 北海道旅客鉄道株式会社(以下「同社」という。)の追分駅発夕張駅行き1両編成の下り普通第2647D列車は、平成23年6月14日(火)、追分駅1番線を定刻(20時50分)に出発した。 追分駅の信号扱室で信号を扱っていた社員は、当該列車が1番線から出発したにもかかわらず、表示盤にある同番線の出発信号機の表示灯が緑色点灯のままで、停止現示を示す滅灯状態にならないことを認めた。連動装置の作動記録によれば、この時、出発信号機は停止信号を現示していなかった。 ・2件目(平成23年6月14日発生) 同社の札幌駅発帯広駅行き4両編成の下り特急第39D列車(スーパーとかち9号)は、平成23年6月14日、追分駅1番線を定刻(21時46分)に出発した。 1件目のインシデント発生時に信号を扱っていた社員は、当該列車が1番線から出発したにもかかわらず、表示盤にある同番線の出発信号機の表示灯が緑色点灯のままで、停止現示を示す滅灯状態にならないことを認めた。連動装置の作動記録によれば、この時、出発信号機は停止信号を現示していなかった。 ・3件目(平成23年6月15日発生) 同社の札幌駅発帯広駅行き5両編成の下り特急第31D列車(スーパーとかち1号)は、平成23年6月15日(水)、追分駅1番線を定刻(8時40分)に出発した。 1件目及び2件目のインシデント発生時に信号を扱っていた社員とは別の社員は、当該列車が1番線から出発したにもかかわらず、表示盤にある同番線の出発信号機の表示灯が緑色点灯のままで、停止現示を示す滅灯状態にならないことを認めた。また、工事を担当する社員が、この時、出発信号機は停止信号を現示していないことを確認した。 ・4件目(平成23年6月16日発生) 同社の千歳駅発夕張駅行き1両編成の下り普通第2633D列車は、平成23年6月16日(木)、追分駅4番線を定刻より2分遅れて(11時11分)出発した。 1件目から3件目のインシデント発生時に信号を扱っていた社員とは別の社員は、当該列車が4番線から出発したにもかかわらず、表示盤にある同番線の出発信号機の表示灯が緑色点灯のままで、停止現示を示す滅灯状態にならないことを認めた。連動装置の作動記録によれば、この時、出発信号機は停止信号を現示していなかった。 |
原因 | 本重大インシデントは、同社が将来のCTC化及びPRC化に向けた改良工事時の作業において、石勝線下り出発信号機及び室蘭線下り出発信号機の進路を同時に構成した際に、下り出発信号機の信号制御リレーに電流が回り込む回路が構成された状態であったため、列車が石勝線の下り出発信号機の内方に進入したにもかかわらず、進行現示から停止現示に変化しない状態が複数回発生したものと考えられる。 これは、配線作業において、 (1) 新設リレーのプラス側を、切替プラグを介さずに既設設備に接続したこと、 (2) 新設リレーのマイナス側を互いに接続したこと、 (3) リレー架には、新設したリレーが挿入された状態であったこと から、石勝線と室蘭線の進路が同時に構成されると、互いに接続された新設リレーのマイナス側を経由した回路が構成され、設定した各進路に対応する信号制御リレーに電流が回り込む回路になったものと考えられる。 これについては、 (1) 既設設備を改良後の設備に変更するための方法として切替プラグを使用する場合は、既設設備のプラス側及びマイナス側の両側に切替プラグを挿入することを原則とするという社内規則が守られていなかったこと、 (2) 信号保安装置である連動装置の改良工事において、既設設備に配線等を行う工事は列車運行に影響する作業として取り扱うことが徹底されていなかったこと、 (3) 電気結線図のダブルチェックは行われていたが、切替プラグなどを記載した配線図で配線作業に関わる部分の事前チェックが行われていなかったこと、 (4) 配線図が承認される前に配線作業が行われていたこと、 (5) 配線作業の進捗管理が適切に行われていなかったことが関与したものと考えられる。 また、当該部分の配線図の事前チェックが行われていなかったことについては、工事の監督を行う者と工事を請け負う者が、他工事の業務を兼務しており、作業が輻輳していたため一部しか事前チェックが行われていなかったことが関与した可能性があると考えられる。 なお、インシデントが複数回発生したことは、停止現示となるべき信号機が停止現示にならない事象が発生した際に、インシデントが発生したと認識されなかったこと、緊急時連絡体制をとらなかったこと及び社員同士の引継ぎが適切に行われなかったことが関与したものと考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見(建議) | 勧告 |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |