報告書番号 | 2002-9 |
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発生年月日 | 2000年02月16日 |
発生場所 | 北海道札幌飛行場 |
航空機種類 | 飛行機 |
事故等種別の分類 (Occurrence Category) |
RUNWAY EXCURSION |
飛行の段階 (Phase of Flight) |
LANDING |
人の死傷 | 負傷 |
航空機区分 | 大型機 |
型式 | 日本航空機製造式 YS-11A型 |
登録記号 | JA8727 |
運航者 | エアーニッポン株式会社 |
事故等種類 | |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2002年11月29日 |
概要 | エアーニッポン株式会社所属日本航空機製造式YS-11A型JA8727は、平成12年2月16日(水)、同社の定期354便として、函館空港から札幌飛行場への運航を実施し、札幌飛行場へ着陸しようとした際、接地点が伸びて滑走路内では停止できず、12時43分ごろ、滑走路末端を右前方にオーバーランし、過走帯右側のスノー・バンクに機首部等を衝突させて停止し、機体を損傷した。 同機には、機長ほか乗務員3名、乗客37名(うち幼児1名)計41名が搭乗していたが、乗客10名が軽傷を負った。 同機は中破したが、火災は発生しなかった。 |
原因 | 本事故は、同機が、降雪の中、雪で覆われた滑走路に着陸しようとした際、滑走路末端上空を通過した時の速度が高かったこと等により、接地点が伸び、やや高めの速度で接地した結果、滑走路上では停止できず、滑走路末端を右前方にオーバーランしてスノー・バンクに衝突し、その際、機体を損傷したことによるものと推定される。 本事故の発生には、次に述べる要因が関与していたことが考えられる。 (1) 滑走路末端上空通過時の速度が飛行機運用規程に定められたTTS(目標滑走路末端上空通過速度)に対し高かったこと。これには次のことが影響したと考えられる。 ① 着陸のための最終形態へのフラップ下げが比較的遅い時機となったため、進入速度を滑走路末端上空通過までにTTSまで減速するための時間的余裕が少なくなったこと。 ② 機長が、フラップの展開に伴う過渡的な状況で、かつ、折からの降雪等のため視程が悪化した状況下で、滑走路の視認と飛行コース、降下経路の修正に注意が集中し、速度の調整に対する注意が行き渡らなかったこと。 また、副操縦士も機長と同様に滑走路の視認に注意が向き、速度のモニターが十分に行われず、運航乗務員間の業務分担が適切に行われなかったこと。 ③ TTSからのデビエーションに対する許容基準とデビエーション・コールアウト手順が設定されておらず、運航乗務員の認識が適切でなかったこと。 (2) 接地速度がやや高かったこと、接地速度が高かったためにプロペラのグラウンド・ファイン・ピッチの効果が出始めるまでに時間を要したこと、滑走路が雪で覆われていて滑りやすかったこと及び速度が高かったためブレーキの制動効果が十分には発揮できなかったことにより接地後停止するまでの滑走距離が長くなったこと。 (3) ガイダンス・リミットからDAに至る間の時機、滑走路末端上空をTTSよりも高い速度等で通過した時、滑走路上を低空で飛行して接地点が伸びた時等、ゴー・アラウンドの決断が行われるべき時機が何回かあったにもかかわらず、ゴー・アラウンドが行われなかったこと。 (4) 気象状態の影響による次の可能性が考えられること。 ① 滑走路及び自機の位置が把握し難かったこと。 ② 最終進入中に両運航乗務員とも滑走路の視認等に注意が向き、速度のモニターが十分でなくなったこと。 ③ 接地帯標識等が見え難く、接地前に残滑走路長の判断が的確になされなかったこと。 ④ 滑走路の雪氷状態(BRAKING ACTION を含む。)が、通報されていたものよりも悪化していたこと。 ⑤ 外気温度が標準大気温度より低かったことによりDAが低下したこと。 (5) PNFによる速度のモニターが十分に行われなかったこと及びPF、PNFのスタンダード・コールアウト等のコールアウト手順が厳正に行われなかったこと、機長と副操縦士の間の相互の連携に緊密を欠く等クルー・コーディネーションが十分ではなかったこと。 |
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