運輸安全委員会トップページ > 報道・会見 > 委員長記者会見 > 委員長記者会見要旨(令和8年1月27日)

委員長記者会見要旨(令和8年1月27日

令和8年1月27日(火)14:00~14:12
国土交通省会見室
李家委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の李家でございます。
 ただいまより、1月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況 

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故又は重大インシデントは、航空及び鉄道モード合わせて8件です。

 航空モードは、12月8日にジェイエア機が、大阪国際空港を離陸した後、青森空港に向けて降下中、機体が動揺し、乗客1名が負傷した事故、本事案は、本年1月6日に乗客の負傷の程度が重傷と確認されたものです。12月22日に日本航空機が、サンフランシスコから成田国際空港に向けて飛行中、太平洋上において機体が動揺し、客室乗務員1名が負傷した事故、1月20日に匠(たくみ)航空所属のヘリコプターが、遊覧飛行中に捜索救難信号を発信し、捜索の結果、熊本県阿蘇山の火口付近で大破した状態で発見された事故の3件です。

 鉄道モードは、12月17日にJR貨物の列車が、鶴見線の浜川崎駅構内において脱線した事故、 12月31日にJR東海の飯田線、飯田駅と切石(きりいし)駅の間の第4種踏切道において、走行中の列車と歩行者が衝突し、歩行者が亡くなられた事故、1月1日にJR東日本の東北線、新白岡(しんしらおか)駅と久喜駅の間の第1種踏切道において、走行中の列車と自動車が衝突し、列車が脱線した事故、1月26日にJR北海道の根室線、厚床(あっとこ)駅と別当賀(べっとが)駅の間の第1種踏切道において、走行中の列車とトラックが衝突し、トラックの運転手が亡くなられるとともに、乗客等8名が負傷された事故、12月22日に江ノ島電鉄の江ノ島電鉄線、和田塚(わだづか)駅と鎌倉駅の間において、工事のため線路閉鎖が実施された区間を列車が通過した重大インシデントの5件です。

 運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。

 なお、12月11日にJR九州 日豊(にっぽう)線の第4種踏切道で列車と衝突した歩行者が亡くなられた事故について、調査を進めてきましたが、その後、警察により自殺と判断されたことから、当委員会の調査の対象ではなくなりました。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.安全啓発資料の公表

 次に、安全啓発資料としまして、運輸安全委員会ダイジェスト第48号「BRM(ビー・アール・エム)/BTM(ビー・ティー・エム)の有効活用に向けて」を本日公表しましたのでご報告します。お手元の資料2をご覧ください。

 BRMはブリッジ・リソース・マネジメント、BTMはブリッジ・チーム・マネジメントの略称で、いずれも、船舶の運航を指揮する船橋(せんきょう)、これをブリッジと言いますが、この船橋において、乗組員、機器等の利用可能なあらゆるものを有効に連携・活用して安全運航に役立てようという考え方で、船員の養成や訓練に取り入れられています。

 本ダイジェストでは、乗組員同士のコミュニケーション不足や航海機器の活用不足など、BRM/BTMが機能しなかったことが事故の要因となった具体的事例を紹介するとともに、BRM/BTMを活用した事故防止のポイントなどをまとめました。

 船舶の運航に携わる皆様におかれては、本資料をご覧いただき、人、設備機器、情報といった資源を最大限に活用して、安全運航への取組を更に進めていただくことを期待しております。

 本資料は、船舶運航事業者や関係機関・団体に広く配布し、乗組員への安全指導の際に周知・活用していただく予定です。また、当委員会の出前講座などにも活用するほか、当委員会ホームページに掲載し、公式X(エックス)でも紹介する予定です。

3.年頭所感

 最後に、本日は令和8年最初の記者会見ですので、昨年1年間の調査の状況と、年頭の所感を述べさせていただきます。

 昨年、当委員会の調査対象となった事故等の件数は、航空モードが32件、鉄道モードが14件、船舶モードの重大案件が6件で、各モード合わせて52件でした。
 また、地方事務所が取り扱った船舶事故等は642件でした。

 このうち、航空モードの3件、船舶モードの重大案件1件及び地方事務所取扱案件103件については、昨年中に調査報告書を公表しました。

 また、4月に長崎県沖で医療搬送用ヘリコプターが不時着水した事故、及び9月にJR東日本の上越線で試運転中の蒸気機関車が脱線した事故では、調査の過程で判明した安全上重要な事実情報について、国土交通省に情報提供を行いました。

 これらの事案を含め、調査中のいずれの事故等についても調査・分析等を進めており、できるだけ早期に報告書を公表し、再発防止につなげていく所存です。

 当委員会では、事故調査において、ドローンや3Dスキャナなどの迅速かつ精密に現場状況等を把握できる機材を導入し、調査・分析能力の高度化を図っています。
 加えて、蓄積した調査結果を、先ほどご紹介した運輸安全委員会ダイジェストなどの分かりやすい形で提供することで将来の事故防止に役立てており、こういった取組を本年も推進してまいります。

 また、事故調査における国際的な連携については、各国事故調査機関の委員長級の会合をはじめ、モード別や解析技術に特化した国際会議等に積極的に参加しています。
 特に、一昨年、当委員会の提唱によって設立された「国際鉄道事故調査フォーラム(RAIIF)」は、本年、第3回がシンガポールで開催される予定ですので、引き続きその発展に貢献してまいります。

 近年、次世代モビリティと呼ばれる新たな輸送手段が脚光を浴びる機会が増えています。例えば、昨年の大阪・関西万博では、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる航空機のデモフライトが行われたことは記憶に新しいところですし、鉄道及び船舶の分野でも自動化や遠隔制御などの新たな技術が進展しています。
 このような新たな輸送手段による事故等への対応も見据えながら、運輸の安全性の向上という当委員会の使命を果たしていくことができるよう、本年も努めてまいる所存です。

 本日私からは以上です。何かご質問があればお受けします。

4.質疑応答

(阿蘇山遊覧ヘリ事故関連)

問: 阿蘇の遊覧ヘリコプター事故の関連でお伺いします。捜索自体も難航していると伺っており、今後の調査も困難が予想されますが、どのように進めていくのか差し支えない範囲でお伺いできればと思います。
答: 1月20日に発生した遊覧ヘリコプターの事故において、搭乗されていた方々が一刻も早く救助されることを願っております。
   本事故については、1月21日から調査官2名を現地に派遣し、事故現場の状況確認、関係者への口述聴取等の情報収集を行っています。
   これまでに、事故現場周辺にいた方が事故時のものと思われる音を聞いていることを確認しております。
   先程申されましたように、機体の詳細な調査がまだできておりませんけれども、引き続き、しっかりと調査・分析を進め、原因究明と同種事故の再発防止に向け、できるだけ早期に調査報告書を公表できるよう努めてまいります。

資料

このページのトップへ