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委員長記者会見要旨(令和7年10月28日

令和7年10月28日(火)14:00~14:14
国土交通省会見室
李家委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の李家でございます。
 ただいまより、10月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況 

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故又は重大インシデントは、航空、鉄道及び船舶モード合わせて6件です。

 航空モードは、10月12日に個人所属の動力滑空機が、千葉県野田市の関宿(せきやど)滑空場において滑走路の手前に接地して機体を損傷した事故、10月18日に栃木県消防防災航空隊所属のヘリコプターが、日光市の川治(かわじ)温泉高原において捜索救難業務中、ローターからの吹き下ろしによって飛散した木が地上の関係者に当たって負傷した事故、10月9日に個人所属の小型飛行機が、福井空港に着陸する際に機体がバウンドして前脚が損傷し、プロペラが滑走路に接触した重大インシデントの3件です。

 鉄道モードは、10月5日に東急電鉄 田園都市線の梶が谷駅構内において、停車していた回送列車に普通列車が衝突し、回送列車が脱線した事故の1件です。

 船舶モードは、10月5日に旅客船ちどりが、静岡県の沼津港内を航行中、岸壁に衝突した事故、10月15日に遊漁船 第十島吉丸(しまきちまる)が、神奈川県藤沢市江の島沖において遊漁中、釣り客1人が落水し、亡くなられた事故の2件です。

 運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.第2回国際鉄道事故調査フォーラム(RAIIF)について  

 次に、第2回国際鉄道事故調査フォーラム(RAIIF)が先週10月22日から24日にかけて台湾で開催され、ここにおります奥村鉄道部会長が参加しましたのでご報告します。

 RAIIFは、鉄道事故調査分野において、国際的に情報交換を行う場として、我が国の提唱により立ち上げ、昨年10月にその第1回を東京で開催しました。

 第2回RAIIFには、台湾の参加者のほか、日本を含む11か国から事故調査機関のトップなど32名が参加し、各国・地域における鉄道事故調査機関の体制や主な事故調査事例の紹介、調査官の訓練や運転室の映像記録装置の必要性等に関するパネルディスカッションが行われたほか、自然災害に伴う事故調査事例等の共有、事業者の安全性向上に向けた取組などについて、より掘り下げた議論も行われました。

 締めくくりとして、台湾の国家運輸安全調査委員会委員から、フォーラムの内容を振り返りつつ、引き続き国際協調の重要性と未来における発展性が必要不可欠である、との総括が行われました。

 次回のRAIIFは、来年、シンガポールで開催されます。RAIIF立ち上げを主導した当委員会としましては、次回開催にも継続的に協力し、世界の鉄道の安全性向上に貢献してまいります。

 本日私からは以上です。何かご質問があればお受けします。

3.質疑応答

(東急電鉄 田園都市線 列車衝突事故関連)

問: 今月5日の田園都市線の梶が谷駅構内の列車衝突事故ですが、日付が変わる前の夜に発生していて、調査官が選定されて現場に入られたのが翌日の正午前くらいだったと思います。この路線の利用者は大変多く、影響が1日に亘って続き、多くの方の輸送の足がなくなったことで影響が出たわけです。調査に入るまでに調査官の選定や準備に色々時間がかかると思うのですが、発生から現場に入るまでの時間がもう少し早くならなかったのか、もちろん調査は時間をかけて行うべきとは思いますが、影響の広がりなどとの兼ね合いもあって、調査に入る時間が、例えば朝の時間帯という可能性がどこまであったのか、結果的に色々な影響が出てしまったということも踏まえて、それに関してご意見があればお聞かせいただきたいと思います。
答: 当委員会は、本事故発生の翌日10月6日の午前11時頃から現場調査を開始し、その後、車両の移動を東急電鉄が行うのを挟んで、同日の22時20分頃に終了いたしました。
   ご指摘いただいたとおり、今回の事故は、引込線の回送列車と営業線の旅客列車が衝突かつ脱線した事故であったことから、原因を究明し再発防止策を検討するためには、車両やレール等の損傷状況、運行システムの状況など、広範囲で詳細な調査が必要であると考え、それに伴う調査官の選定と機材の準備に時間を要してしまいました。
   これを踏まえて、今後はできるだけ早期の調査着手に努めてまいりたいと思っております。
   そのために迅速に調査官を現場に派遣し調査を開始できるように、今回事務局における初動体制を点検し、改めて徹底したところです。
問: 今の質問に関連して、当日、指名された調査官の方以外にも腕章をされた方がいらっしゃったのですが、今回、調査の迅速化のために人員を手厚くされたのか、あるいは通常もそういった対応ということなのでしょうか。
答: 通常は、今おっしゃられたように2名の調査官を派遣しますが、今回の件に関しては、4名の調査官を派遣して調査に当たっております。
問: それは、調査の迅速化の側面もあるということでしょうか。
答: それもありますし、今回の列車の脱線事故ということに鑑みて4名という体制で調査を行っております。
問: 先程のご回答で、事務局における初動体制を点検されたということですが、点検した結果、どういうことが浮き彫りになって、これまでの間に何か改善された部分があるのかなど、もう少し具体的にお願いします。
答: 事務局内、調査官同士で迅速な初動調査の重要性を改めて確認するとともに、迅速な初動調査が行えるような連絡体制、それから現場への移動手段の確認、そういったところ等を改めて徹底いたしております。
問: 連絡体制というのはどういうことでしょうか。
答: 調査官とも連絡がスムーズにやりとりできるように、連絡先ですとかそういうところを改めて確認をしたということでございます。
問: 移動手段という話もありましたが、それは何をどうするのでしょうか。
答: できるだけ速やかな移動というところで、公共交通機関に頼らず、タクシー等活用できるものを活用して、なるべく早期に現地到着できるような形で現場に派遣をするということでございます。
問: 関連ですが、連絡先の確認や、公共交通機関に頼らずタクシー等での迅速な移動ということを、点検の結果確認されたということですが、今回の事案で運輸安全委員会が課題として認識されていることがあるとすれば、どのような点なのか、具体的に教えていただければと思います。
答: 課題といいますか、我々運輸員安全委員会としては、調査をしっかりと行って、原因究明をして再発防止をするという、そういった面がありますが、それに加えて、今回の事故でもありましたように、利用者目線というところで、我々は調査のことばかりを考えているという傾向が若干あったということで、別の視点ということも持たなければならないということを改めて確認したということになります。
問: 重ねてですが、連絡先の確認という話がありましたが、例えば、今回連絡がうまくとれなかったとか、公共交通機関に頼ったがために、想定よりも到着が遅れたなどということはあったのでしょうか。
答: 今回は、なるべく早期に到達するにはどういう手段がいいのかというところを考慮いたしまして、結果としてはタクシーを使って現地に行ったということになります。ただ、今回、改めてさらにどういう風にすれば早期に行けるのか、こういったところを検討していくというところでございます。

資料

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