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委員長記者会見要旨(令和7年9月30日

令和7年9月30日(火)14:00~14:11
国土交通省会見室
李家委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の李家でございます。
 ただいまより、9月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況 

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故又は重大インシデントは、航空及び鉄道モード合わせて5件です。

 航空モードは、8月31日に個人所属の滑空機が、埼玉県の妻沼(めぬま)滑空場を離陸した後、付近の利根川の中州に墜落した事故、9月2日にアカギヘリコプター所属のヘリコプターが、福島県の尾瀬ヶ原において、吊り下げて運搬した荷物を降ろす際、地上の作業員が荷物と接触し負傷した事故、9月12日にユナイテッド航空機が、飛行中に貨物室内で火災発生の計器表示があったため、関西国際空港に緊急着陸し、非常脱出スライドで搭乗者を脱出させた重大インシデントの3件です。

 鉄道モードは、8月31日にJR九州の日南線、日南(にちなん)駅と飫肥(おび)駅の間の第3種踏切道において、走行中の列車と自動車が衝突し、自動車の運転者が亡くなられた事故、9月4日にJR東日本の上越線、後閑(ごかん)駅と上牧(かみもく)駅の間において、走行中の試運転列車が脱線した事故の2件です。

 運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。

 なお、令和7年8月13日に海上保安庁所属の小型飛行機が、能登空港において連続離着陸訓練中、プロペラが滑走路上に接触した重大インシデントについて、これまで調査を進めてきましたが、その後、プロペラの接触が離陸滑走時であったことが確認されたことから、当委員会の調査の対象ではなくなりました。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.ITSA(国際運輸安全連合)委員長会議 

 次に、国際運輸安全連合(ITSA: International Transportation Safety Association)委員長会議に参加しましたのでご報告します。

 ITSA委員長会議は、18の事故調査機関の委員長級をメンバーとし、航空、鉄道、船舶など複数の輸送モードの事故調査から得られた、様々な教訓や取組課題等の情報共有及び意見交換により、運輸の安全性を向上させることを主な活動目的とし、毎年開催されている会議です。

 今回は先週の9月24、25日にオンラインで開催され、12の事故調査機関の参加があり、各事故調査機関から事業概要の紹介が行われました。

 各機関の委員長級でオンラインでしたが直接意見交換することにより、世界の動向の把握や各機関との信頼関係の醸成ができることは大変有意義であると思いました。

 また、私が今年、日本の運輸安全委員会の委員長に就任したことも会議の場で紹介できました。

 今後とも、積極的に情報共有、意見交換を行い、当委員会の事故調査活動の更なる充実を図るとともに、国際社会における我が国のプレゼンス向上にも寄与して参ります。

 本日私からは以上です。何かご質問があればお受けします。

3.質疑応答

(ITSA委員長会議関連)

問: ITSAについて、各機関の参加があったということですが、今の安全の各国のトレンドといいますか、どういった議題についてお話しされたのか、もう少し詳しくお聞かせ願います。
答: 各機関の事故調査の状況などの報告があった後、例えば、事故調査の結果分かった再発防止策などをどのように広めていくか、超軽量動力機の小さなコミュニティーなどに事故の教訓を伝えていくにはどうすれば良いのかということは、各国・地域でも苦労しているようで、そういった議論が出ておりました。
   また、人工知能の関係で、まだ全く実用化されている状況ではないですが、今後、事故調査にどう活用していくのか、使われるようになるのではないかということが多少話題に上がりました。
問: 最近、航空の事故などが結構続いたような気もしており、各国の安全を取り巻く状況の変化とか、何かそこに対する危機感というか、安全全般に関して話題として上がるようなことはなかったでしょうか。
答: アメリカのポトマック川で大きな事故があり、そういった場合の対応についての報告もありましたし、各国・地域それぞれ立場や状況も違いますので、現在の状況をそれぞれ話されたところで、私も羽田の事故について現在の状況を報告しました。
問: 世界各国から参加している国から、日本の事故事例や事故対策で注目されているものはありましたでしょうか。オンライン会議ということもあるかもしれませんが、何か注目されているものがあればお伺いしたいと思います。
答: 先ほど申し上げた羽田の事故というのは、しっかりとこういった会議でも報告するような内容ということで報告させていただきました。
   今回、オンラインということで、時間も限られていましたので、あまり深い議論はできませんでしたが、次回以降、直接対面で開かれれば、もう少しそれぞれの国・地域と突っ込んだ話ができるかと期待をしたところです。
問: 羽田の事案では、どういったことを報告し、参加国からどういった反応があったのでしょうか。
答: 質問自体はありませんでした。我々は昨年公表した経過報告に関して、その内容を報告いたしました。
問: 今の羽田の事案について、各国からの質問や関心の部分で、例えば、昨年の経過報告において、調査機関の調査官も粉塵防護の装備をしっかりとするべきだという趣旨のことが書かれていたと思うのですが、その点の各国の反応や関心はなかったでしょうか。
答: 今回、その点に関して私からは特に申し上げませんでしたが、おっしゃるとおり、炭素繊維でできた機体が燃えたという初めてのケースになりますので、今後、我々の調査結果が各国・地域に有用な情報として伝わることを期待しております。

資料

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