委員長記者会見要旨(令和7年7月29日)
令和7年7月29日(火)14:00~14:14
国土交通省会見室
李家委員長
発言要旨
運輸安全委員会委員長の李家でございます。
ただいまより、7月の月例記者会見を始めさせていただきます。
1.事故等調査の進捗状況
はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故又は重大インシデントは、航空及び鉄道モード合わせて4件です。
航空モードは、7月2日に新日本ヘリコプター所属のヘリコプターが、静岡県浜松市において機外吊り下げによる物資輸送中、荷崩れ防止用の覆いが落下した重大インシデント、7月2日に個人所属の小型飛行機が、北九州空港を離陸した直後に発動機の出力が低下し、同空港に引き返した重大インシデント、7月7日に個人所属の小型飛行機が、宮城県栗原市の瀬峰(せみね)場外離着陸場に着陸した際、滑走路からオーバーランした重大インシデントの3件です。
鉄道モードは、6月26日にJR九州の日南線、飫肥(おび)駅と日南駅の間の第4種踏切道において、走行中の列車と歩行者が衝突し、歩行者が亡くなられた踏切障害事故の1件です。
運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
本日私からは以上です。何かご質問があればお受けします。
2.質疑応答
(日航機墜落事故関連)
問: 来月の12日で日航機の123便の墜落事故から40年を迎えることになります。これまでに当時の航空事故調査委員会の方で報告書をまとめていますけれども、改めて李家委員長の40年を迎えるに当たっての受け止めを一言お願いします。
答: 日本航空123便の墜落事故でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げます。
本事故は、単独の航空機事故では、世界最多の犠牲者となる乗員・乗客520名の尊い命が失われた事故であり、二度と同じ事故を繰り返してはならない、ということを改めて思い起こさせられる事故であります。
私も、就任後、本事故の現場である御巣鷹の尾根を訪れまして、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りして参りました。40年前にこの場所でお亡くなりになられた方々のことを思い、改めて運輸安全委員会の委員長として、責任の重さを感じさせられました。
今後とも事故調査をしっかりと行い、このような事故が二度と繰り返されることのないよう、原因究明と再発防止に取り組んで参りたいと考えております。
問: 今のご発言に関連するのですが、40年が経とうとする中で、報告書が出ているにも係わらず、原因をめぐる様々な説がネット上や出版される本などで飛び交っています。こういった現状に関して、委員長としてはどうお考えですか。
答: 日本航空123便事故につきましては、昭和62年の6月に、航空事故調査報告書が公表されております。
事故原因については、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因し、隔壁が損壊したことにより、胴体後部、垂直尾翼、操縦系統が損壊をし、飛行性能の低下と主操縦機能を喪失したために生じたと推定される、としております。
この事故原因については、様々な角度から調査・解析を行った上で、専門家による審議のうえ、ほぼ間違いないとの結論に至ったため、強い推定を表す「推定される」という表現を使用しております。
今後につきましても、正確な情報を発信していくことが重要だと思っておりますので、今後も、本事故の原因を問われた場合は、今申し上げたことを繰り返し伝えて参りたいと思っております。
問: 確認ですが、御巣鷹山の事故は、単独では世界で最も死者が多かったという位置付けですけれども、日本のエアラインの乗客の方が亡くなった事故というカテゴリーでいうと、現在も40年経って1件も起きてないという理解でよいでしょうか。
答: 日本のエアラインに乗られていた乗客ということでは、そのような状況です。
問: 昨年の羽田の事故では、海保機に乗られていた方5人が亡くなられました。統計上は乗客等という表現になっていますが、エアラインの乗客としては入れないという理解でよいでしょうか。
答: 日本の定期エアラインにおいて40年、事故による乗客の死亡はございません。また、昨年1月の海保機との衝突事故におきましても、海上保安庁機の乗員については、エアラインの乗客ではございませんので、そこには含まれてございません。
問: 今の質問に関連して、まず風説の問題ですけれども、先ほど委員長は、問われた場合繰り返しお伝えするということでした。運輸安全委員会に問う人もあまりいない中で、どんどん風説というのは拡大していくという状況があるわけですが、問われたらではなく、積極的に何がしかで発信していくというようなお考えはないでしょうか。
答: 正確な情報を発信していくために、これまでも行ってきましたが、今日のこのような会見の場を通じて、繰り返し私の口から伝えていきたいと考えております。
問: 先ほど原因究明と再発防止に努めたいというお話がありました。原因自体は修理ミスということになっていますが、さらにそれ以外の何かを考えていらっしゃることがあるのか、例えば、ボイスレコーダーなどについて、当時人間の耳では聞き取れない部分があったのを、今の技術であればある程度もっとクリアに聞き取れるようにするといったことを進めていくなど、原因は固まってはいるけれども、まだ未解明の部分を究明するというお考えはあるのでしょうか。
答: 先ほど私が申し上げた趣旨といたしましては、今も航空機事故がなくならないということで、そういった事故を1つずつでも減らすことができるように、その都度事故調査をしっかりと行って、それぞれ原因究明と再発防止に取り組んでいきたいという趣旨で申し上げました。
問: 別の事故のということでしょうか。
答: はい。
問: 関連して、日航機の事故から40年ということで伺います。当時の航空事故調査委員会は、ボーイング社の修理作業をされた方に話を聞けなかったということがあったかと思います。それについてよく言われているのは、警察の捜査があったからだというふうに言われていますが、委員長として、調査と捜査のあり方についてどう思われているのか、今後見直すお考えは何かあるのか、お伺いできますでしょうか。
答: 今のご質問に関しましては、我々が行っているのが調査で、警察の方が行っているのが捜査でして、我々の委員会の調査と警察の犯罪捜査は、それぞれが異なる目的のために独立して行われているものですので、いずれかが優先されるものではないと考えております。我々としては、事故調査をできるだけ行ってきているということになるかと思っております。
問: つまり、今後、別に見直すようなお考えはない。今現在のあり方でよいということでしょうか。
答: はい。今までどおり行っていくつもりです。
問: その事故に関連して、何年か前に、海底に当時の垂直尾翼ではないかというようなものがありました。別にそれを調べる必要があるかという話ではなくて、例えば、全くの第三者が、それを調べるというようなこと、例えば、お金を出して海底をサルベージするといったことをしようとする場合、手続きとして、運輸安全委員会を通さなければいけないものなのか、手続きのようなものはあるのでしょうか。
答: これまでそういったお問い合わせを受けたことがないと承知しておりますので、あくまで今後そういったときにどうやって対応していくかというのは、よく規定等を確認して考えていかなければならないと思っております。
資料