令和5年11月28日(火)14:00~14:14
国土交通省会見室
武田委員長
運輸安全委員会委員長の武田でございます。
ただいまより、11月の月例記者会見を始めさせていただきます。
はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空、鉄道、船舶モード合わせて4件です。
航空モードは、9月17日に、小型飛行機が、北海道美唄市内の場外離着陸場に着陸した際、胴体後方下部が滑走路に接触した重大インシデント、及び11月19日に、動力滑空機が、埼玉県羽生市内の滑空場を離陸した直後にエンジンが不調となり、滑走路脇の草地に不時着して機体が損傷した航空事故の2件です。
鉄道モードは、11月18日に、大分県大分市内のJR九州の日豊線、幸崎駅~佐志生駅間の第4種踏切道において、同踏切道内に進入してきた歩行者と列車が衝突した踏切障害事故の1件です。
船舶モードは、11月21日に、愛媛県松山市沖でロールオン・ロールオフ貨物船すおうが座礁した事故の1件です。
運輸安全委員会は、いずれの事案についても事故調査官を派遣し、調査を開始しています。今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
次に、先月、公表した航空モードの事故についてでございます。航空モードの事故は4件ございましたが、いずれも機体動揺による客室乗務員の負傷事故でありましたので、これに関して、少し触れたいと思います。
資料2の2枚目をご覧ください。2014年8月に発行しました「運輸安全委員会ダイジェスト」第15号の情報です。ダイジェスト中の図1は飛行記録装置の記録例です。機体動揺事故では、主に垂直加速度(G)の大きな変化が認められています。右側の日本地図では発生場所を示しています。このダイジェストに掲載されていたもの、具体的には2001年10月から2014年6月までに発生した18件をオレンジ色の印で示しておりますが、さらに今回2014年7月から2022年12月までに発生した17件について赤色の印で追加して表示しております。発生場所は日本の各地に広く分布しており、機体動揺事故がどこででも発生する可能性があることが分かるかと思います。
また、負傷者が発生した機内の位置は、機体後方が約72%を占めることを述べています。
資料の3枚目をご覧ください。「運輸安全委員会ダイジェスト」 第15号で述べました「事故調査事例から得られた教訓」の抜粋です。揺れが予測される場合、極力早めにベルト着用サインを点灯すること、乗客が適切にシートベルトを着用するようベルト着用サインなどの表示に対して注意を払うことなどを明記しております。このような実効性のある対処がなされたこともあり、このページの下の表にあるように、乗客の負傷数はかなり減ったように思います。一方、客室乗務員の転倒・骨折事故については、むしろ増加しています。詳細な分析は、今後の「運輸安全委員会ダイジェスト」にまとめさせていただくつもりですが、乗客のみならず客室乗務員の安全・負傷軽減策の必要性が感じられます。飛行前の気象情報の入手と分析による飛行経路の選択、機上気象レーダーによる雲の状態の把握など、危険を回避する取組を進めていただきたいと考えております。客室乗務員は、客室サービスと安全性を同時に満たす必要があるため、当委員会としても、このような観点から引き続き再発防止策を考えていきたいと考えております。
本日、私からは以上です。