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委員長記者会見要旨(令和5年7月25日

令和5年7月25日(火)14:00~14:52
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、7月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空、鉄道モード合わせて8件です。

 航空モードは、6月28日にPDエアロスペースが運航する無操縦者航空機が沖縄県の下地島空港を離陸した直後に無線通信に不具合が発生し、飛行を停止して着水した際に機体が損傷した航空事故、7月3日に静岡県静岡市において、新日本ヘリコプターが運航するヘリコプターの機外につり下げた荷物が飛行中に落下した重大インシデント、7月12日に日本航空の定期便が視界不良により函館空港に着陸できず、新千歳空港に目的地を変更して飛行中に残りの燃料が少なくなった重大インシデント、7月14日に岡山航空の小型飛行機が、岡南(こうなん)飛行場に進入中に発動機が停止した重大インシデント、同じく7月14日に大分県玖珠(くす)郡で、無人航空機が飛行中に電柱に接触したため、操縦者が当該機体に接近し、右手及び左側頭部に機体が接触し重傷を負った航空事故、7月20日に、朝日航空の運航する小型飛行機が、八尾空港に着陸した際プロペラが滑走路に接触した重大インシデント、同じく7月20日に、関西国際空港で、点検用車両が走行中の滑走路に、貨物機が管制官より着陸許可を受けて着陸を試みた航空重大インシデントの7件です。

 鉄道モードは、7月2日に佐賀県のJR九州の唐津線、小城(おぎ)駅~久保田駅間の第4種踏切道において、同踏切道内に進入してきた公衆と列車が衝突した踏切障害事故の1件です。

 運輸安全委員会は、いずれの事案についても今後、必要な調査を行い、収集した情報や資料の精査、分析を進め、原因を究明してまいります。

 このうち、6月28日に下地島空港の離陸直後に発生した航空事故は、当委員会として初めて調査を行う無操縦者航空機の航空事故となります。当委員会は、航空局から通報を受けた7月7日に、3名の航空事故調査官を愛知県に派遣し、運航者であるPDエアロスペース社の施設において、操縦等の担当者からの聴き取りなどを行うとともに、7月12日には現地に2名の調査官を派遣し、機体の損傷状況の確認等を実施しております。

 また、7月14日に大分県で発生した航空事故は、当委員会として初めて調査を行う無人航空機の航空事故となります。当委員会は、航空局から通報を受けた7月19日に、2名の航空事故調査官を指名し、調査を開始しています。今後、機体の損傷状況の確認や操縦者からの聴き取りなどの調査を進めてまいります。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.旅客船KAZUⅠ沈没事故関連(意見聴取会) 

 次に、明日開催する旅客船KAZUⅠ沈没事故にかかる意見聴取会についてです。本意見聴取会は、運輸安全委員会が発足してから初の開催となるものです。既に7月19日に公述人及び公述の主な内容と当日の議事次第を公表しておりますが、意見聴取会では、運輸安全委員会が公述を委嘱した2名の学識経験者と一般から申込みのあった3名の公述人からご意見をいただく予定です。意見聴取会の様子は、インターネットのライブ配信を通じて、誰でも傍聴できるようになっております。ただし、一般から申込みのあった、3名のうち2名の方は非公開の申し出がありましたので、公開での意見聴取会を一旦終了した後、別途開催する予定としております。明日の意見聴取会は、公述人から本事故の原因究明の参考となるご意見を伺うことができる貴重な機会となるので、しっかりと承りたいと思います。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(知床半島沖旅客船沈没事故関係)

問: 明日の意見聴取会について、非公開の公述人の方2名については、意見聴取会終了した後、別途行うということでしたが、これは明日行うのか別の会場で行うのか。
答: 明日の午後行います。会場等については申し上げられません。
問: まず公募で選ばれた方3人と聞いていますが、公募に応募された方は何人いますか。
答: 参考人を除くと3名おられて1名が公開希望で2名が非公開希望でございます。公述書の提出があり意見聴取会に適当であるという判断をして、お願いをしています。
問: 3名応募されて全員選任されたということでしょうか。
答: そのとおりです。
問: 参考人として委員会が依頼されたのは選ばれたお二人ということでよろしいか。
答: そのとおりです。
問: 明日の意見聴取会で公述人からどのような意見が出るかわかりませんが、聴取会に期待されることと、最終報告書にどのように活かしていくのかお願いします。
答: 当委員会としては原因究明に資する又は再発防止策に資するご意見をいただければと思っております。色々な目で見ていただいて参考となるご意見を真摯に承って、よりよい報告書にしていきたいと考えております。
問: 明日の意見聴取会ですが、最終報告書に向けての最終手続きと考えてよろしいでしょうか。また、公表についての見通しは秋口、年内あたりでしょうか。
答: 明日ご意見を聞いて、原因、再発防止策それに繋がるものを追加し、具体的時期を申し上げることはできませんが、早期に公表できるよう努めてまいります。
問: 参考人のお二人ですが、どのような観点からお選びされたのでしょうか。
答: 船舶の運航に学識経験のある方は必ず必要であると思いましたし、事故の発生を防ぐのに、さらに広い立場から失敗学という学問分野からも意見をいただきたいという考えもありましたのでお二方を参考人として選ばせていただきました。
問: 非公開はお二人ですが、原則、公開されるということで意見聴取会を開催されると思うのですが、今まで前身の調査委員会を含めて8回開催されましたが、公述人が非公開であったという例はありましたか。
答: 過去8回意見聴取会を開催しましたが、非公開を希望される方はいませんでしたので、今回が初めてとなります。
問: 異例のケースということでしょうか。
答: 異例というより初めてのケースということです。
問: 要望ですが、公述の内容、属性も非公開であると、どのように意見されて、最終報告に反映されたのかわからないのと、属性すらわからないとなると、幅広い意見を聞くということが実現されたのかわからない。どういう立場の方がどういう内容のお話をされたのか公開していただきたい。
答: お二人は個人情報が知られることを危惧されて非公開にしてほしいと希望があり、非公開となっております。公述の内容を実際にお聞きした段階で、公開について、もう一度ご判断をお伺いしてみますが、その段階でも非公開を希望される場合は非公開となります。
問: 公述の内容が有意であれば最終報告書に反映され記述されることもあるのでしょうか。
答: 誰がどういうことを仰ったということは非公開希望の場合は記述されません。公述の内容を踏まえて委員会で判断し、委員会でこう考えるということが記述されることになります。 問: 属性についてですが、学識者かどうかというところも言えないのでしょうか。学識者のみなのか学識者全員であれば、など(等)など付けれないのか、こちら側の事情ですが、そのあたり教えていただけますか。
答: 公開される3名の方は、全て学識経験者です。弁護士の方がいらっしゃいますが、この方も学識のある方なので学識経験者に当たります。また、「など(等)」を付けるか付けないかで言うと、非公開の公述人の中に事故の「関係者」に当たる方がいらっしゃいますので、「など(等)」を付けていただいて結構です。なお、もう一人の非公開の公述人は「学識経験者」です。
問: 今回非公開で公述するお二人が、なぜ非公開を希望しているのか、運輸安全委員会事務局として把握していないと聞いているが、そのとおりなのか。
答: 非公開を希望される理由は述べなくていいと考えているので把握しておりません。
問: 運安委の設置法では公開が原則で、本人が希望する場合、又は運安委が認める場合、非公開とすることができると書いてあったと思うのですが、認めるかどうかの部分は理由を知らないと判断できないし、公開が原則となっているのに非公開を希望する理由も把握しないというのは第一義的におかしいと思うのですが如何でしょうか。
答: 自分の情報を知られたくないということです。ご自身の個人情報を守りたいということなので、こちらもそれ以上は聞く必要がないということです。
問: それ以上は聞かないということが運安委の事務局の姿勢として妥当かどうか国民の意見も分かれるところではないかと、そうすると公開の原則がないがしろに受け止められるおそれも当然あると思いますが如何でしょうか。
答: 公開が原則ではありますが、個人情報を守りたいという方をどうするかだと思っています。委員会として、個人情報を出さないと意見を聞きませんよという方法もあるかもしれませんが、非公開だったら意見を言うが、公開であれば意見を言わないとなった時に、その方の意見を聞けなくなってしまう。委員会としてはなるべく広く承った方がいいと判断し、個人情報を守りたい、非公開にしたいという方からも意見を聞くということにしております。
問: 公開の原則の配慮は如何でしょうか。
答: 公開が原則ではありますが、個人情報保護というのも大事なのでそのバランスをしっかりと考えていかないといけないと思っています。今回の意見聴取会については個人情報を保護したいという方からも意見を聞くということで原因究明に役立つ情報が得られる可能性があるという判断で、非公開を例外的に認めたということです。
問: 匿名の方が非公開で公述したということになると、後に意図的または過失で誤りが含まれていたというようなことが起きた時に、委員会以外の外部からの検証が不可能になると思うのですが、どう受け止められますか。
答: 仮に、誤った情報が含まれていたとしても、他にも幅広く調査を行っているので、その内容と照らし合わせることにより、適切な内容の報告書となるように努めています。誤った情報が含まれていたかどうか適切に判断しなければいけないと思っております。
問: 人選が適切かどうかについて説明責任がどうなのかお願いします。例えば今回の非公開の人が公述で選ばれたということになると、その人が第三者からの働きかけとか見返りに応じて公述に応募したというような可能性など、外部からの判断や検証ができないと思うがその点についてどう思うか。
答: 今回は公述の内容を事前に記述していただいており、意見をお聞きするのに適切であり、報告書を作成するために有用であると考えたのでお願いすることとした。委員会として、応募された方が適切であると判断したということであります。
問: 公開が原則という明文についての見解については如何でしょうか。
答: 個人情報の公開、非公開ということに関しては別の判断があるべきだと思いますが、今回は本人から非公開でお願いしたいという希望もあり、原則、公開ではありますが、個人情報に関しては留意が必要であると判断したということでございます。
問: 今回の公述人の中で人間心理みたいな分野についての専門家はいないと思いますが、中間報告では、なぜ出航判断を誤ってしまったのか等について、今後更なる検証が必要みたいなくだりもあったように思いますが、今回の意見聴取会で公述人からの意見を役立てるという考えはなかったのでしょうか。
答: お二人の参考人は幅広いご経験がございますので、その分野でのご意見もいただけるものと思っております。また当委員会では、船舶モードだけではなく、航空モード、鉄道モード、全ての委員で、ヒューマンファクターを含めての意見をいただき報告書の作成に向けて努力しているところでございます。
問: 前回のJR西日本の福知山線の時ですが、事故調査委員の方とJR西日本の方とが不適切な接触、働きかけがあったと思いますが、今回はないという認識でよろしいでしょうか。
答: はい、そのように思っております。
問: 今回、非公開のお二人が知床遊覧船関係者に有利になるような働きかけ、公述をするということが仮にあれば非公開ではわからないので、そのように言い切れる理由はありますか。
答: 公述書を提出していただいており、今の段階ではないと思います。聴取会でのご意見については当委員会で適切に判断していくことになるかと思います。
問: 非公開の方の氏名、所属が言えないというところは理解できるが、公述の内容だけでも事後に公表していただけないでしょうか。
答: 非公開の方に対して、今回の意見聴取会の意義をお伝えし、ご判断願いたいと思います。
問: 所属とまではいかなくても、どういう立場の方なのかまでは開示していただきたいと思っています。公述人とは学識経験者及び事故の関係者と書かれており、現状では、幅広く公述人が学識経験者及び事故の関係者であるという対象を全て満たしているのかもわからない。意見聴取会が適切に開かれているということを担保するためにも、最低限、どういう立場の方なのか、どういう内容で公述されたのかを開示していただきたい。
答: 意見聴取会で幅広さを必須要件としているわけではなく、基本は委員会で委員の合意で決めるという中で、私はこういう意見がある、という方がいた場合、それも参考になりうるということでお伺いするという主旨はご理解いただきたい。
問: なぜ開催したのかということになりかねないでしょうか。通常の調査の中でできないのでしょうか。
答: 公述人を公募するという方法をとって、世の中で意見を持っている方に手を挙げていただくという仕組みをとっています。
問: 非公開を希望されている公述人の方が、この程度であれば、内容を公表してもいいと仰った場合は、その内容を公開していただけるという理解でよろしいか。
答: 非公開を希望されている公述人の方に内容の公表について伺ってみようと考えています。この内容であればいいと仰っていただければ公表することはあり得ますが、他の公開される方も最終的に議事録をホームページに載せるに当たり、間違いがないか内容を確認していただいた上で公表することになるかと思います。
問: 非公開の方の属性がわからないと学識経験者か関係者かもわからないと思うが。
答: 公開できるものならしたいという思いもありますが、本人が公開しないでほしいと仰ってるところを公開するのは難しいので、再度ご本人の意向をよく確認してみるということしか申し上げられない。
問: 学識経験者なのか関係者なのかは公開していただきたい。
答: 学識経験者又は関係者という点について、本人達に確認して、公開してもいいということであれば公開することも考えたいと思います。
問: 公述内容は本人が了解すれば後日公表できる可能性があると仰いましたが、公述内容全部となるのか、又は概要か部分的なものにとどまるのか、その点について明日教えていただけるという理解でよろしいでしょうか。
答: 明日の時点で、どこまでのお話ができるかはわかりません。ご都合あってすぐに帰られるということもありますが努力はいたします。全部公開してもいいか、概要だけとなるかは本人のご意向次第で決まると思います。
問: 全部は掲載できないかもしれないというような要素もあるのであれば、必ず明日のうちに教えていただきたい。
答: わかりました。
問: 明日の時点で、結果がどうであったのかをお知らせいただきたいので、例えば夕方5時の時点で結果をいただくとか、お知らせをお願いしたい。
答: 5時にお知らせすることとします。
問: 非公開の方は、公開の方と同じように同じ会場で対面にて実施されるのでしょうか。
答: リモートで開催することも可能なので調整中です。
問: 非公開の方は公述人としてどういった知見をお持ちでしょうか。
答: 公述内容に関わる話なので、本人から公開してもいいという確認が取れましたらお話できるかと思います。
問: 非公開のお二人について、明日公述がなされたのかどうかについても、結果に併せて公表していただけないでしょうか。
答: わかりました。
問: 非公開にする手続きについて、どのようなやりとりをして決められたのか、プロセスについて教えて下さい。
答: 公述申込書があり、非公開を希望されたということでございます。いただいた内容について非公開希望なのかを確認し、本人から非公開でお願いしたいとメールで確認をとっております。
問: 原則、公開と記述しているのであれば、その意味をしっかりと説明するのがプロセスではないでしょうか。
答: 意思の確認まではしてますが、更なる詳細確認まではしていません。明日、終了後に事後的にどこまで出せるのかという要望もありましたので、しっかりと意義を説明してどこまで出せるのかを確認してみたいと思います。
問: 非公開の重さというものをしっかり判断していただいて、プロセスをクリアーしていくことが大事だと思います。個人情報を保護したいと本人が言われたのは、どのようなやりとりの中ででしょうか。また、二人ともでしょうか。
答: 二人ともメールでの確認です。

資料

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