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委員長記者会見要旨(令和4年11月29日

令和4年11月29日(火)14:00~14:20
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、11月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故は、航空、鉄道モード合わせて4件ありました。

 航空モードは、10月26日に岐阜県高山市 高根町池ヶ洞(たかやまし たかねまち いけがほら)付近に動力滑空機が墜落し、搭乗していた2名の方がお亡くなりになった事故、11月7日に日本エアコミューターの航空機が鹿児島空港へ着陸した際、着陸の衝撃で乗客が負傷した航空事故、11月20日に茨城県坂東市小山(ばんどうし おやま)の坂東フライングクラブ場外離着陸場付近の畑に超軽量動力機が墜落し、搭乗していた2名の方がお亡くなりになった事故の3件です。

 鉄道モードは、10月31日に佐賀県内のJR九州長崎線の第4種踏切道で発生した踏切障害事故の1件です。
 運輸安全委員会では、いずれの事案についても事故調査官を派遣するなどして調査を行っています。
 なお、既にお知らせのとおり、10月17日にJR九州豊肥線(ほうひせん)で発生した、走行中の列車のドアが開扉(かいひ)した重大インシデントについては、これまでの調査により判明した電線の誤結線について、11月4日に鉄道局に情報提供を行いました。
 本件につきましては、引き続き詳細な調査を進め、早期に調査報告書が公表できるよう努力してまいります。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

2.質疑応答

(岐阜県高山市 動力滑空機事故、茨城県坂東市 超軽量動力機事故関連)

問: 冒頭でも発言がありました茨城県の坂東市の事故と岐阜県高山市の事故、この二つの事故について、もしわかっていることがあればお教えいただければと思います。
答: 岐阜県高山市の事故からお答えします。本事故は、10月26日に岐阜県の飛騨エアパークから離陸した動力滑空機が同県高山市高根町池ヶ洞付近に墜落し、搭乗していた2名の方がお亡くなりになった事故です。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
 本事故について当委員会は、翌27日に2名の航空事故調査官を関係先に派遣し、墜落場所の把握、機体損傷状況の把握、関係者からの聴き取りなどの調査を行いました。
 これまでの調査において、同機の墜落現場は、乗鞍岳周辺標高約1,800mの深い山中で、機体は大破の状態であることを確認しております。今後、機体の損傷状況、機体の整備状況、当時の気象状況等の調査を行うとともに、調査で得られた情報の分析を進めてまいります。
 申し上げましたとおり、当該機は標高約1,800mの深い山中の急斜面に墜落しています。墜落現場は地上からのアクセスが困難な場所であり、調査官による現場での機体の調査は実施できておりません。今後の現場調査については検討中です。
 次に、茨城県坂東市の事故ですが、これは、11月20日に茨城県坂東市小山の坂東フライングクラブ場外離着陸場から離陸した超軽量動力機が同場外離着陸場付近の畑に墜落し、搭乗していた2名の方がお亡くなりになった事故です。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。
 本事故について当委員会は、翌21日に2名の航空事故調査官を現地に派遣し、墜落現場の状況確認、機体の損傷状況の確認、関係者からの聴き取りなどの調査を行いました。
 これまでの調査において、機体は大破の状態であることを確認しております。今後、機体の損傷状況の詳細な調査、機体の整備状況、当時の気象状況等の調査を行うとともに、調査で得られた情報の分析を進めてまいります。

(知床半島沖旅客船浸水事故関係)

問: 知床遊覧船の事故に関連してですが、先月の話で申し訳ありませんが、一部報道で、運輸安全委員会が船内から見つかった乗客のカメラを解析したところ、画像データを復元したことがわかった、という報道がありまして、これについて事実関係等お伺いできればと思います。
答: そのことについては、まだ公表できる段階ではなく、重要な情報であるかも含めて検討中です。KAZUⅠ(カズワン)の事故に関しましては、先月の会見でも申し上げましたとおり、調査の過程で得られた情報のうち、安全対策に有益な情報で再発防止のために重要であると考えた場合には、積極的に情報を提供していくこととしておりますが、情報提供の実施や経過報告の公表を行う場合の時期については、事故調査で得られた情報の内容や調査の進捗に応じて、提供する情報や経過報告の内容が整った段階で実施することとしております。
 本件事故に関しては、今後の情報提供や経過報告など、いつごろまでに何をするのかといったことについて、現時点で、申し上げることはできません。

(航空事故発生状況関連)

問: 最初の質問と関連するんですが、最近航空機の事故が多いというところで、委員長はその背景だとか理由について、どう思われていますか。
答: 先ほども動力滑空機と超軽量動力機の事故について申し上げたところですが、特に超軽量動力機の事故、インシデントについては、先ほどの茨城県坂東市の墜落事故を含めて、今年これまでに5件発生しており、このうち4件の事故が、8月から11月の各月に発生しています。超軽量動力機の事故については、昨年、令和3年は2件でしたが、平成30年から令和2年の3年間でみると、年間の事故件数は、小型機及びヘリコプターの件数よりも多くなっています。こうしたことから当委員会では、本年3月に、超軽量動力機の事故調査の結果を取りまとめた運輸安全委員会ダイジェスト第39号を発行し、ホームページに掲載し、また関係団体等に配布するとともに、6月と10月には出前講座を行うなど、安全のための情報発信と啓発活動にも力を入れているところです。日本航空協会や日本マイクロライト航空連盟等に配布して啓発活動しております。事故はその後も絶えておりませんが、当委員会としては、今後ともひとつひとつの事案を丁寧に調査して原因を究明し、事故防止の提言を行うことをしていかなければならないと思っています。海のプレジャーボートもそうですが、安全でなければレジャーになりませんが、こうしたレジャーは私と同世代の方々も多く楽しんでおり、また、事故に遭われてもいますので、どのように安全情報を発信し、また事故防止を提言していくかが重要です。航空局においてもホームページで超軽量動力機(ウルトラライトプレーン)も含めた小型機の情報を発信されていますし、関係団体においても運輸安全委員会の報告書を見たり、広報誌に載せていただいたりしています。今後も、実際に搭乗する方々に我々の発信する情報を届ける方法を考えていきたいと思っています。

(運輸安全委員会設置法施行規則の一部改正関連)

問: 12月5日から改正航空法の施行ということでドローンとかこれまでとはちょっと違う型が、すぐにではないにせよ実際に飛ぶという中で、以前にもちょっとこの話ありましたけれど、運輸安全委員会の調査の対象となるもの、法律でも書かれていますが境目が分かりづらいので、どういったものが対象で、どういったものが対象でないのかあるいは、基本的にどういうものを対象にするのか、どういう考え方に基づいて考えてらっしゃるのかを教えていただけますか。
答: 本年7月に運輸安全委員会設置法施行規則の一部改正を含む、「航空法施行規則等の一部を改正する省令」が公布され、来月12月5日に施行されます。この改正により、新たに当委員会が調査対象とする事故について、特に無人航空機については、1点目、2点目、3点目に分けて説明しますと、1点目は、「無人航空機による人の死傷」、2点目「無人航空機による物件の損壊」は3つに分かれておりまして、まず「現に人がいる建造物又は車両、船舶等の移動施設の破壊」それから「電気供給施設、電気通信施設、交通施設、教育施設、医療施設、官公庁施設その他の公益的施設の運営に支障が生じたもの」そして「その他特に異例と認められるもの」です。これについては、物件の損壊の他の調査対象の2つと同等と思われるものを「特に異例と認められるもの」と考えております。最後3点目が、「航空機との衝突又は接触」が対象となります。大きく分けると、「人の死傷」、「物件の損壊」、「航空機との衝突又は接触」となります。
 また、調査対象とする重大インシデントについては2点あり、1点目は「航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めた事態」、2点目は「無人航空機による人の負傷、無人航空機の制御不能又は飛行中の発火のうち、特に異例と認められるもの」が対象となります。
 当委員会としては、無人航空機についても調査を適確に実施し、事故の防止、被害の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、詳細については、後ほど事務方にお問合せください。
問: 今の中で、例えば物件の損壊と言っても、すごく軽微なものとか大小さまざまだと思いますけれど、調査対象とするかしないか、今の時点で、こういうものは対象、こういうものだったら今は対象でないのような、基本的な考え方みたいなものをお持ちであれば教えて下さい。
答: 法令の条文には「重大なもの」や「特に異例と認められるもの」とあり、今説明させていただいたとおり、航空法に掲げる事故等に対して、より絞ったものを想定しております。考え方としては、再発防止対策の必要性、社会的注目度、国民生活や経済活動への影響の大きさといった事情などを総合的に考慮し、判断する考えです。

資料

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