令和4年10月25日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
武田委員長
運輸安全委員会委員長の武田でございます。
ただいまより、10月の月例記者会見を始めさせていただきます。
はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空、鉄道モード合わせて8件ありました。
航空モードは、9月22日に大阪府の八尾空港で、地上走行中の小型機が照明灯に接触した事故、10月3日に美保飛行場付近上空を飛行中の、日本トランスオーシャン航空機が動揺して乗員が負傷した事故、10月9日に北海道空知郡南幌町(そらちぐん なんぽろちょう)内の田んぼに超軽量動力機が不時着し、操縦していた方が負傷された事故、10月15日に能登空港で、他の航空機が使用中の滑走路からヘリコプターが離陸した重大インシデント、10月18日に大阪府の八尾空港で、訓練飛行を実施していた小型機が到着後の点検において、胴体後部下面に擦過痕が確認された重大インシデント及び10月24日に福井県大野市の山中で物資輸送作業を行っていたヘリコプターの吊り下げワイヤーが送電線に接触して落下した重大インシデントの6件です。
鉄道モードは、10月17日に大分県内のJR九州 豊肥線(ほうひせん)で発生した、走行中の列車の乗降用扉が開いた重大インシデント、同じく17日に福島県内のJR東北線の第3種踏切道で発生したJR貨物の踏切障害事故の2件です。
運輸安全委員会では、いずれの事案についても事故調査官を現地に派遣し、調査を行っています。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
航空モードでは6件の事故、重大インシデントが発生しております。それぞれの事案の調査を行うとともに、それらの調査結果を取りまとめて、対策できることなど発信してまいりたいと思っております。
次に、意見に基づき講じられた措置についてご報告します。資料2をご覧ください。
令和3年2月8日に高知県足摺岬(あしずりみさき)の南東沖で発生した、貨物船オーシャンアルテミスと潜水艦「そうりゅう」の衝突事故について、当委員会は、本年8月に報告書を公表しました。当該事案については、潜水艦において周囲船舶の存在を把握することと、状況の変化等を確実に発信することの重要性に鑑み、同種事故の再発防止及び被害軽減のための意見を防衛大臣に対して発出しております。
当委員会からの意見を受け、今般、防衛省より、講じた措置についての報告を受けました。具体的には、露頂(ろちょう)作業時の安全確保、2番目として報告要領等の改訂、3番目としてソーナー監視の強化、4番目として事故発生時の迅速な通報及び5番目として継続的な教育訓練について講じた内容となっております。
これらの対応は、いずれも当委員会の意見に沿ったものと考えており、防衛省において迅速かつ適切な対応が行われたことで、同種事故の防止と海上交通のより一層の安全性向上に繋がることを期待しています。
本日、私からは以上です。問: 知床の観光船の事故から23日で半年となりました。原因調査の進捗をお伺いします。
答: 本年4月23日に北海道知床岬沖で発生した、遊覧船KAZUⅠ(カズワン)の事故につきましては、今月23日で発生から半年が経ちました。あらためまして、この事故でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、今も行方不明となっておられる方々とそのご家族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
本事故につきまして、運輸安全委員会では、事故発生の翌日から船舶事故調査官を現地に派遣するなどして調査を進め、これまでに関係者からの聴き取り調査、本船の運航や船体、設備に係る情報収集を行ってきたほか、7月には網走において本船の船体調査を実施しました。
また、8月10日には、それまでの調査の過程において、過去の航行状況に関する事実情報など、今後の安全対策に有益な情報を認めたことから、国土交通省海事局に対して情報提供を行ったところです。本事故につきましては、現在、調査を行っている段階であり、事実関係や原因などについて引き続き慎重に、客観的かつ科学的に精査、分析をすすめ、原因を究明してまいる所存です。