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委員長記者会見要旨(令和3年9月28日

令和3年9月28日(火)14:00~14:14
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、9月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空、鉄道、船舶モード合わせて7件ありました。
 航空モードは、8月26日に熊本空港で発生した小型機が他の航空機が使用中の滑走路へ着陸した重大インシデント、9月7日に岐阜飛行場でP-1機が着陸した際滑走路から逸脱した重大インシデント、9月8日に埼玉県妻沼滑空場付近の上空で滑空機と小型機が接近した重大インシデント、9月20日に長野県木曽郡大桑村の山林に回転翼航空機が墜落した事故、9月23日に長崎空港で発生した回転翼航空機が誘導路から離陸した重大インシデントの5件です。
 鉄道モードは、昨日27日に新潟県内のえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの第4種踏切道で発生した踏切障害事故の1件です。
 船舶モードは、9月5日に大阪府阪南市沖で発生した漁船と遊漁船が衝突した事故の1件です。

 このうち、9月20日に長野県で発生した回転翼機の墜落事故について、当委員会は翌21日に2名の航空事故調査官を現地に派遣し、機体の損傷状況の確認、乗員からの聞き取りなどの調査を行いました。
 これまでの調査において、墜落後、機体は損傷している状況であることが確認されていますが、今後、さらに損傷部位の詳細な調査やこれまでの機体の整備状況、当時の気象状況等の情報収集を行うとともに、機体の設計・製造国である、米国の航空事故調査機関(NTSB)の協力も得ながら、調査で得られた情報の分析を進めてまいります。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.安全啓発資料の公表    

 次に、地方事務所における安全啓発資料の公表についてご報告します。お手元の資料2をご覧願います。

 当委員会の函館事務所において、漁船の乗組員が海中に転落した事故の調査事例を分析し、同種の事故を防止するための注意点などをとりまとめた安全啓発資料を本日公表しました。
 分析の結果、救命胴衣を着用しないで海中転落した事例では、転落者全員が死亡又は行方不明となっており、救助され助かった方がいないことがわかりました。
 海中転落した時には、救命胴衣の着用により浮力を確保できるほか、早期の発見・救助の可能性が高くなります。このため、この資料では、事故の事例を紹介しながら、救命胴衣を常時着用することや体にしっかりフィットさせて、脱げないようにきちんと着用することの大切さを呼びかけています。
 全国の漁業関係者の皆様方に、この資料を通して改めて救命胴衣の着用をお願いしたいと思っています。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(潜水艦そうりゅう衝突事故関係)

問: 2月に発生した高知県足摺岬沖での自衛隊潜水艦と民間商船の衝突事故で、今月に入って自衛隊の艦長が書類送検されました。これはまだ調査中だとは思いますが、現時点での進捗と、あと刑事手続きが何か与える影響などがあれば教えてください。
答: 当時の艦長が書類送検されたという報道は承知していますが、刑事捜査と我々の事故調査は目的が異なります。我々は、原因究明、再発防止策といった視点で行っています。現在は、事実情報を確認し、解析を行って、何が原因であったかということを丹念に調べているところです。

(福島県の猪苗代湖で発生した死傷事故関係)

問: 2020年9月に福島県の猪苗代湖で3人が死傷した事故があり、その後、先日福島県警が、ボートを運転したとされる人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕しました。この事案について、運輸安全委員会の調査の現状ですとか、今までに分かった事実関係、今後の見通しなどありましたら教えていただければと思います。
答: 猪苗代湖の事故について、関係する方を警察が逮捕したということは承知しています。我々の調査は、事故の防止と被害の軽減に寄与するために行っていますので、調査に影響はないと考えています。調査の状況等については、8月26日に経過報告を公表していますので、そちらをご覧いただければと思います。

(長野県内で発生したヘリコプター墜落事故関係)

問: 冒頭ご発言のあった長野県でのアカギヘリコプターの墜落事故についてお聞きします。運輸安全委員会の調査官が、機体がホバリングしている際に、現場にいた作業員からエンジンの音が普段と違ったとの証言があったことを、調査終了後の取材で明かしました。今、情報収集を進めているとの冒頭のご発言があったと思いますが、操縦士への聞き取りや現場の状況から、現時点で機体の墜落原因について、操作ミスなのか機体内部の不調なのか、どのように現時点だと見立てていらっしゃるのでしょうか。
答: エンジンが不調であったという報道等については、聞いておりますけれども原因がどうか特定できる段階にはありません。今後、気象や機体の損傷状況その他を精査したうえで判断しなければならないと思っています。小型機で飛行記録装置が付いていませんので、それ以外の情報で判断するということになります。
問: 関連ですが、墜落した機体の搬出の見通しについても合わせてお聞きします。墜落現場となった現地が急こう配の斜面で、搬出には周囲の木の伐採が必要であるというのも伺っています。そもそもアカギヘリコプターが木材搬出事業の最中で、発注元である木曽の森林管理署の南木曽支署であったりアカギヘリコプター、木曽警察署などと、どのように協議して誰が主体となってどのように何処に搬出する、今の時点でどういう計画なのか、合わせていつ頃機体を搬出する見通しでいらっしゃいますでしょうか。
答: 搬出に関しましては、我々の範疇ではありませんが、現時点で具体的にはまだ決まっていないと聞いています。

資料

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