令和3年4月20日(火)14:00~14:18
国土交通省会見室
武田委員長
運輸安全委員会委員長の武田でございます。
ただいまより、4月の月例記者会見を始めさせていただきます。
はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故は、3月26日にJR東日本の常磐線で発生した列車脱線事故の1件です。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
次に「小型船舶機関故障検索システム」について報告致します。お手元の資料2をご覧下さい。
船舶分野の安全確保に資するのための新たな取組として、本日、「小型船舶機関故障検索システム(S-ETSS)」の運用をスタートしました。
貨物船など比較的大型の船舶も含む全船舶の機関故障等については、既に「機関故障検索システム(ETSS)」を公開し、ご活用いただいておりますが、今回は、プレジャーボートなど小型船舶のエンジンに特化して、漁船や遊漁船の船長、一般の方が利用しやすい機関故障等事例の検索システムとしています。
資料2別紙の1ページ目の左側が、最初に表示される画面です。ここに表示されている機関配置型式や故障部位などから気になる場所を選択、検索すると、故障部位のランキングが表示されます。
その後、検索結果一覧画面を表示し、原因欄をご覧いただくと、故障の原因を確認いただけます。
さらにそれぞれの事故等調査報告書を見ていただくことで、発航前点検や定期点検の参考となる情報を入手することができます。2ページ以降に具体的な検索方法を紹介しております。
資料2本紙にQRコードを記載しておりますので、こちらからもシステムをご覧いただけます。
本システムの活用により、発航前点検などが適切に行われ、小型船舶の安全運航に役立つことを期待しております。
本日、私からは以上です。
何か質問があればお受けします。
問: 幹事社から1点お伺いします。JAL機のトラブルの件で進捗状況をお願いします。
答: 昨年12月4日に発生したJAL機のエンジン損傷重大インシデントについては、これまでに機体及びエンジンの調査、ファンブレードの破断面の確認等を実施し、12月28日には、それまでの調査によって判明したファンブレードの破損状況等について、航空局に情報提供したところです。また、飛行記録データの解析を進めるとともに、エンジンについては、これを分解して内部の損傷状況を確認し、ファンブレードについては、その破断面を電子顕微鏡で詳細に解析しながら、疲労破壊の起点に亀裂が発生した原因、疲労亀裂の進展速度、エンジンの整備・検査との関係の調査等を進めているところです。さらに、3月9日に沖縄県多良間島の海岸に漂着したエンジン・カウルの一部についても、損傷状況を詳細に確認し、エンジン・カウルの破損・脱落に至ったメカニズムの分析等を進めているところです。
本インシデントについては、今後もNTSBと緊密に連携して詳細な調査、分析を進め、できるだけ早く調査報告書が公表できるよう努力して参ります。また、調査の過程において、同様な事案の防止に有益と考えられる事実が認められた場合などには、積極的に情報提供を行って参りたいと考えております。
問: 先月、長野県青木村でヘリが不時着した事故があり、先週運輸安全委員会の調査官も警察署の方に来て機体を調査されていたと思いますが、現時点の調査の進捗状況、どういった機体の部分を調べておられるのか、点検であったり整備会社とかどういった関係先に話を聞いておられるのか、機体の中に金属片が出てきているという話もあるのですが考え得る状況も含めて教えてください。
答: 先月3月23日、長野県小県郡青木村夫神の田んぼに、回転翼航空機が不時着し機体を損傷した事故につきましては、これまでに機体及びエンジンの損傷状況の確認、機長及び目撃者からの聞き取りなどの調査を行いました。
これまでの調査において、胴体下面及びエンジンの損傷等が確認されておりますが、今後、さらにエンジン等の詳細な調査や同乗者からの聞き取り、これまでの整備状況等の情報収集を行うとともに、機体及びエンジンの設計・製造国であるフランスの航空事故調査機関(BEA)の協力も得ながら、調査で得られた情報の分析を進めて参ります。現在、調査中ですので、原因等について申し上げる段階にありませんが、できるだけ早期に調査報告書を公表できるよう努めて参ります。
また、本件だけでなくヘリコプターの事故において、重傷は負ったものの死亡に至らなかった状況については、サバイバルファクターの面でも解析する必要があると思っています。
問: 金属片の発生についてですが、専門家に話を聞くと、ギヤの部分から出ているのではないかと言う専門家もいたのですが、現時点ではエンジン部分を中心にされていて、今後、ギヤの方も調査をするといった話があれば教えてください。
答: それも含めて調査することになると思います。
問: 昨日、ロシアの上空でANA機のパイロットが一時意識不明になる重大インシデントが発生して、調査自体はロシア当局の判断ということだと思うのですが、その後の進展、運輸安全委員会の方で調査をすることが決まったとか決まっていないとか、その辺が判明していれば聞かせてください。
答: 本件はロシア国内で発生していることから、調査の実施については発生国であるロシア当局の判断によることとなります。