運輸安全委員会トップページ > 報道・会見 > 委員長記者会見 > 委員長記者会見要旨(令和3年3月23日)

委員長記者会見要旨(令和3年3月23日

令和3年3月23日(火)14:00~14:33
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、3月の月例記者会見を始めさせていただきます。

 まず、長野県で発生しました航空事故についてご報告します。
 本日午前9時45分頃、長野県小県郡青木村で発生しました回転翼機の不時着事故について、当委員会は、本事故の調査を行うため、航空事故調査官3名を指名しましたのでお知らせします。詳細については、後ほど広報室にお尋ねください。

1.航空法等の一部を改正する法律案  

 はじめに、運輸安全委員会設置法の改正を含む「航空法等の一部を改正する法律案」が3月9日(火)に閣議決定され、国会に提出されましたのでご報告します。

 運輸安全委員会設置法の改正につきましては、今後、無人航空機のいわゆるレベル4飛行、具体的には、有人地帯上空での補助者なし目視外飛行の実現に向けた環境整備等により、第三者上空も含め更なる利用拡大が見込まれることから、当委員会としては、無人航空機に係る事故等調査の適切な実施により事故等の再発防止、被害軽減にしっかりと取り組んでまいります。

 具体的には、当委員会が調査対象とする航空事故等に無人航空機に係る事故、例えば人の死傷、物件の損壊等を伴うもののうち重大なもの、例えば死亡事故、重傷事故等を追加するものです。

2.ITSA(国際運輸安全連合)ウェブ会合    

 2点目として、今年度第3回目の国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議についてご報告します。

 ITSA会議は、例年は年1回、米国、フランス、オーストラリア等17の国・地域の事故調査機関の委員長級メンバーが対面で集まって、航空や鉄道、船舶など複数の輸送モードについて、事故調査から得られた様々な教訓や、現在の取組課題等の情報を共有し意見交換を行うことにより、運輸の安全性を向上させることを主な目的として開催されているものです。
 今年度の会議は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、昨年の5月4日と10月26日にウェブ会合の形で開催されました。今般、今年度第3回目のウェブ会合が2月25日に開催され、我が国を含む13ヶ国が参加して議論が行われました。

 今回の会議では、アルゼンチンの新規加盟の承認のほか、来年度の開催について議論が行われ、引き続きウェブ形式で5月と10月に、それぞれ2~3日間行われることが決まりました。
 世界的なコロナ禍においても、こうした国際会議をウェブ形式で行っていくことは、大変有意義であり、私としても、モニター越しに各国の委員長の顔を見ながら積極的に意見交換と情報共有に努め、互いの信頼関係の醸成と当局間の協力関係の強化を図ることにより、参加各国の運輸の安全の向上を図って参りたいと思います。

3.事故等調査の進捗状況    

 次に、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、冒頭でお知らせした回転翼機の事故を含めて、航空、船舶モード合わせて4件ありました。

 航空モードは、2月20日に茨城県守谷市で飛行中の超軽量動力機が墜落した事故、3月13日に岡山県の岡南飛行場で岡山航空のホンダジェット機が着陸した際、滑走路から逸脱した重大インシデント、本日発生した回転翼機の事故の3件です。

 船舶モードは、2月23日に千葉県九十九里沖で発生した、貨物船と遊漁船とが衝突した事故の1件です。

 このうち、ホンダジェットの重大インシデントについては、翌14日に航空事故調査官3名を現地に派遣して調査を開始し、これまでに、機体の調査や乗員からの聞き取りなどを行っております。今後、詳細な調査を行い、得られた情報の分析を進め原因を究明して参ります。

 それから、昨年12月4日に那覇で発生したJAL機のエンジン損傷インシデントについて、一点ご報告があります。
 本インシデントにおいては、損傷した左エンジン・カウルの一部などが失われておりますが、これの一部と思われる漂着物が3月9日、本件の発生場所から南西に約400km離れた沖縄県の多良間島の海岸で発見され、その後、同機のエンジン・カウルの一部であることが確認されました。現在、調査対象部品として当委員会が保全しており、今後、損傷状況等について調査をすすめることとしております。

 事故等調査の進捗状況については、資料をご覧ください。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

4.質疑応答

(モーリシャス座礁事故関係)

問: モーリシャス座礁事故の関係ですが、最新の状況を教えてください。
答: 新たに付け加えてお話しできることは、本日の段階ではありません。
問: 現状も、報告書を委員会として出すことも含めてまだ協議中と言うことですか。
答: そうです。

(日本航空機重大インシデント関係)

問: JAL機の部品が見つかったということですが、一部とはどのくらいの大きさの物なのか詳細をお願いします。
答: 見つかった物は、縦が最大80cm、横が最大120cm、重さは約14kgです。それ以上の詳細につきましては、現在調査中ですのでお答えを差し控えます。
問: 発見された時の状況、どなたが発見したかといったことは分かりますか。
答: 当該部品は、3月9日午前11時ごろ、多良間空港の職員による海岸清掃活動時に発見されました。それ以外の物は見つかっていないというふうに聞いています。
問: 多良間島の空港の近くですか。
答: そうです。空港近くの海岸です。
問: 先ほど言われたカウルですが、損傷して無くなっている部分の一部という理解でよいですか。それとも、大部分というふうに理解すればよいのですか。
答: 一部です。
問: 見つかった物が、JAL機から落ちたものであるというのは、どういったところで確認されたのですか。
答: 発見当日、地元警察等を経由して当委員会に連絡があり、その後、当該部品に記載された部品番号及び製造番号から、本インシデントのJAL機のエンジン・カウルの一部であると判明したものです。
問: これは最終的には調査報告書に画像が載って提供されるということですか。今日の時点では、提供は難しいですか。
答: はい。
問: 今回見つかった物の受け止めというか、どれぐらい役に立ちそうですか。
答: アメリカでも同様の事象が起きており、まだ調査中ですが、当該部品は、エンジン・カウルがどのようなメカニズムで落下したのかということを推し測るには非常に重要なものであると思います。
問: NTSBとも当然連絡しているのですか。
答: ユナイテッド機の事案との関連性については当委員会も注目しており、NTSBと緊密に連携して調査を進めることとしております。
問: 漂流物が見つかったのが、南西400kmとお聞きしましたが、起点はどこからですか。
答: 本インシデントが発生したのは那覇の北約100kmの海上になります。そこから南西に400kmぐらいのところに多良間島があり、そこで見つかっています。

(航空法等の一部を改正する法律案関係)

問: 航空法等の一部を改正する法律案のご説明のところで、ドローンみたいなことをイメージしたことを調査対象とするということで、調査対象となるのは重大なということですが、それに準じるというものも含まれるのでしょうか。
答: 当委員会が調査対象とする事故については、今後、国土交通省令で定める予定です。

資料

このページのトップへ