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委員長記者会見要旨(令和2年1月28日

令和2年1月28日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、1月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.令和2年 年頭所感   

 本日は、令和2年最初の記者会見ですので、始めに年頭の所感を述べさせていただきます。

 運輸安全委員会の調査対象となった昨年の事故の件数は、航空が29件、鉄道が19件、船舶の重大案件が23件の各モード合わせて71件でした。また、地方事務所の調査対象となった船舶事案については、全体で979件ありました。

 航空モードでは、平成29年及び平成30年に多くの犠牲者を出すヘリコプター墜落事故が発生しましたが、昨年の事故による死亡者は1名でした。これは平成24年以来の少ない人数です。鉄道モードでは、6月に無人の自動運転列車が逆走する鉄道人身障害事故、及び9月には京浜急行の踏切障害に伴う列車脱線事故が発生しました。また、船舶モードでは、3月に新潟県佐渡島に向かっていた旅客船ぎんがにおいて多くの方が重傷を負われた衝突事故がありました。

 運輸安全委員会と致しましては、これらの事故等の原因分析や報告書案の審議を鋭意進めているところであり、今申し上げた案件も含めまして、できるだけ早く報告書を公表して再発防止につなげていく所存です。

 本年は、このような社会的影響の大きな事故等調査報告書の早期公表のほか、昨年改正されました運輸安全委員会設置法の内容が、本年6月18日に適用されることになっていますので、国産旅客機の就航に対応するため、航空局、運航者、航空機製造業者などと緊密に連携して、万一の場合にも事故等調査の初動対応を迅速かつ確実に行うことができるようにしっかり準備したいと思っております。

 また、航空、鉄道及び船舶の三つのモード全てにおいて、事故等調査の経過報告を行う際に、調査終了前であっても、国土交通大臣や原因関係者に勧告することが可能になることから、このことを意識して迅速かつ正確な調査に取り組んでいきたいと思っております。

 さらに、昨年就任して以来、関係機関や皆様方から、当委員会に対する叱咤激励や期待の言葉をいただいておりますところ、私共としましては、機能面での三つの柱、一つめは「分析力・解析力の強化」、いかに事故を科学的、論理的に解析し、分析していくかという取組を強化します。二つめは「発信力の強化」、記者会見の場も含め、事故の原因や再発防止策を強く発信していきます。それから三つめは「国際力の強化」、国産旅客機のことを含め、鉄道や船舶も、国際的な繋がりがありますので、取組を強化します。
 これら三つの柱を実現するため、運輸安全委員会として「組織力の強化」、及び事故調査官並びに事務官の「個人力の強化」に取り組んで参ります。

 令和2年におきましても、運輸の安全・安心に寄与できるよう、委員・職員一同全力を挙げて取り組む所存です。

2.インド鉄道安全能力強化プロジェクト         

 さて、国際力の強化に関する取組の一つとして、鉄道モードの国際協力「インド鉄道安全能力強化プロジェクト」の経過について報告させていただきます。

 以前報告しましたこのプロジェクトは、インドからの要請を受けまして、2018年にJICA(国際協力機構)により立ち上げられたもので、当委員会は当初から鉄道事故調査の分野で参画しております。

 昨年7月には、日本において開催された鉄道事故調査の研修に、インドの鉄道省や鉄道安全委員会などの幹部10名が参加しました。運輸安全委員会においても研修を行いました。この研修参加者は、訪日研修の成果として、自国(インド)において鉄道事故調査のノウハウを定着させるためのアクション・プランを作成しております。

 このアクション・プランに基づく活動状況を確認するための全体会合が、今月、インドで開催されました。当委員会は、奥村鉄道部会長と鉄道事故調査官1名を派遣して、本プロジェクトの進捗状況の確認と鉄道事故調査のアクション・プランを進めるためのアドバイスを行って参りました。

 当委員会としては、インドにおいて鉄道事故調査のノウハウの定着が着実に展開されるよう引き続き支援を行い、インドにおける鉄道の安全性向上に積極的に取り組んで参ります。

3.事故等調査の進捗状況          

 最後に、事故等調査の状況について、ご報告します。前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空と鉄道モード合わせて7件ありました。

 まず航空事故ですが、12月18日に茨城県の竜ヶ崎飛行場で発生した小型機の機体損傷事故、12月25日に飛行中のタイガーエア台湾機で発生した乗員乗客の負傷事故、1月12日に同じく飛行中のジンエアー機で発生した乗員の負傷事故の3件です。
 また、航空重大インシデントは、12月21日に松山空港で動力滑空機のエンジン出力が継続的に損失した事案、12月23日に新千歳空港で個人所属のリージョナルジェット機の電気系統に不具合が発生した事案、1月8日に奄美空港で日本エアコミューター機が滑走路を逸脱した事案の3件です。 
 さらに、鉄道モードで、12月24日に福島県の会津鉄道において列車脱線事故がありました。

 事故等調査の進捗状況については、資料をご覧ください。

 本日、私からは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

4.質疑応答

(群馬県防災ヘリ墜落事故関係)

問: 群馬県で発生した防災ヘリコプターの墜落事故から間もなく1年半になりますが、調査の進捗状況、調査報告書の公表時期の見通しなどあればお願いします。
答: 現在、意見照会を行っており、できるだけ早く公表できるよう鋭意努力しているところです。

資料

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