令和元年6月25日(火)14:00~14:08
国土交通省会見室
武田委員長
運輸安全委員会委員長の武田でございます。
ただいまより、6月の月例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、事故等調査の進捗状況、航空法及び運輸安全委員会設置法の一部改正、及びインド鉄道安全能力強化プロジェクトの本邦研修について、ご報告します。
はじめに、事故等調査の進捗状況について、前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントは、航空モード4件、鉄道モード5件、船舶モード1件合わせて10件ありました。このうち、6月1日に株式会社横浜シーサイドライン新杉田駅において発生しました、列車が逆走して車止めに衝突した事故の調査状況についてご報告します。
この事故では16名の方々が負傷されており、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。運輸安全委員会では、事故発生当日から鉄道事故調査官を現地に派遣して調査を開始しました。
これまでの調査において、車両の内部で進行方向をモーターの制御装置に伝えるための配線に断線が認められ、新杉田駅での折り返しにおいて、モーターの制御装置が直前の進行方向を維持する状況にあったことなどが確認されたことから、6月14日に国土交通省鉄道局に情報提供を行いました。鉄道局では、この情報を踏まえ、検討会などにおいて安全対策等の検討を進めているものと思っております。
運輸安全委員会としましては、引き続き調査の進捗に努め、可能な限り早期に調査結果を明らかにして参ります。
事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
次に、「航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案」が6月13日、衆議院にて可決成立し、19日公布されましたことをご報告します。
運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律は、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行することとしています。
最後に、インドの鉄道安全に関する協力活動についてご報告します。
昨年11月の定例会見においてお知らせしたとおり、当委員会は、インド政府からの要請を受けて立ち上げられたJICA(国際協力機構)の「鉄道安全能力強化プロジェクト」に昨年から参画しているところです。このたび、この技術協力プロジェクト活動の一環として、インドの鉄道省や鉄道事故調査機関等の幹部を含む10名の職員が来日し、7月1日から12日まで鉄道事故調査について研修を実施することになりました。
当委員会では、研修行程全体を企画し、事故の調査手法や調査事例など、我が国で培ってきた鉄道事故調査のノウハウを中心に提供することとしています。
当委員会として、海外の鉄道事故調査関係者に対する本邦研修は今回が初めての取組となります。アジア地域における鉄道の安全性向上に資するよう積極的に取り組んで参ります。
本日、私からは、以上です。
何か質問があればお受けします。
問: 横浜シーサイドラインについて、できるだけ早く調査報告書を公表するとのことですが、新幹線台車亀裂の時と同様、中間的な段階でとりまとめを行う予定はありますか。
答: 調査の過程において再発防止に資する情報が得られた場合、積極的に情報提供をしていく考えです。今回の件では、回路の断線について情報提供を行いました。今後、断線した原因や車両の設計、製造プロセスなどについて原因究明を行い、できるだけ早期に調査報告書を取りまとめたいと思います。また、経過報告のような形も考えていきたいと思います。