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委員長記者会見要旨(令和元年5月28日

令和元年5月28日(火)14:00~14:18
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、事故等調査の進捗状況及びITSA委員長会議への出席について、ご報告します。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、事故等調査の進捗状況について、前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントは、各モード合わせて8件ありました。

 航空モードは、4月23日に山形空港で発生したフジドリームエアラインズ機の滑走路逸脱重大インシデント、4月29日に石見空港で発生した動力滑空機の機体損傷事故、5月2日に長野県松本市の焼岳で発生した滑空機の機体損傷事故、同じく2日に成田国際空港へ向けて降下中に発生したティーウェイ航空機の客室乗務員負傷事故、5月4日に大島空港で発生した小型機オーバーランの重大インシデントの5件です。
 鉄道モードは、5月4日にひたちなか海浜鉄道湊線において、5月22日にJR東日本津軽線において発生した踏切障害事故の2件です。
 船舶モードは、5月26日に千葉県犬吠埼南方沖で発生した貨物船同士の衝突事故の1件です。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.ITSA(国際運輸安全連合)委員長会議出席 

 次に、来月開催される国際運輸安全連合の委員長会議についてご紹介します。

 国際運輸安全連合の正式名称は、International Transportation Safety Associationで、頭文字をとってITSAと呼ばれています。ITSAは、米国、フランス、オーストラリア等16の国・地域の事故調査機関の委員長級をメンバーとし、航空、鉄道や船舶など複数の輸送モードをカバーする国際的な組織です。
 その主な活動目的は、毎年、各国機関の代表メンバーが集まって開催される会議において、事故調査から得られた様々な教訓や現在の取組課題等の情報を共有し、多くの国々と意見交換を行うことにより、世界全体の運輸の安全性を向上させることにあります。
 この会議は、メンバー国持ち回りで開催されており、日本では、2017年9月に初めて開催され、中橋前委員長が議長を務めました。

 今年の会議は、6月2日から6日まで、カナダのケベック・シティで開催され、当委員会からは、私と鉄道部会長の奥村委員、事務局職員の3名が出席します。
 私からは、国産ジェット旅客機MRJの就航に向けた、設計・製造国としてのこれまでの取組状況と今後の取組計画について説明し、他国当局との国際ネットワークの構築・強化について働きかけなどを行う予定です。また、奥村委員からは、河川の増水による「南海電気鉄道 南海本線の列車脱線事故調査」等について紹介いたします。日本からの鉄道事故調査に関する継続的な情報発信への期待が寄せられているところであり、鉄道分野の国際プレゼンス向上にも努めたいと思います。さらに、このような国際会議への参加を通じ、海外の関係者とも積極的に情報共有や意見交換を行い、我が国の運輸の安全性向上に取り組んで参ります。

 本日、私からは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(犬吠埼沖貨物船衝突事故関係)

問: 千葉県犬吠埼沖で発生した貨物船同士の衝突事故について、現時点で判明していることや報告できることなどはありますか。
答: 当該事故について、運輸安全委員会では、事故発生当日に船舶事故調査官3名を派遣し、これまでに、すみほう丸の船体調査と乗組員からの聞き取り、及び千勝丸船長からの聞き取りを行っています。
 すみほう丸の船体調査では、船首左舷部に衝突痕が集中しているということが分かっています。主な損傷箇所は、バルバスバウと呼ばれる船首水面下の部分に破口が生じ、浸水もしています。その他に左舷船首にあるアンカー(錨)シャンクが曲損していたり、船首部分のハンドレール(手すり)が、内側に折れ曲がっています。このことから左舷の船首部分が衝突したのであろうと推測しています。
 その他、千勝丸のAIS(船舶自動識別装置)データを入手しています。すみほう丸については、AISを搭載していませんでしたが、船体からGPSデータを回収できましたので、今後、双方のデータを突き合わせれば、両船の動きが判明するものと期待しています。(事務局)

問: 当直者の人数は分かっていますか。
答: 現在、現場で調査を行っているところですので、まだ、その報告は受けておりません。(事務局)

(山形空港FDA重大インシデント関係)

問: 先月、山形空港で発生したフジドリームエアラインズ(FDA)機の滑走路逸脱事案に係る調査について、人的ミスなのか機材トラブルなのかも含め、現時点で判明していることを教えていただけますか。

答: 現地での初動調査を終え、現在入手した各種データの解析を行っているところですが、現地での機体調査、乗員への聞き取り調査、更には飛行記録装置(FDR)の初期解析などでは、機体が左に偏向した際、乗員が方向蛇ペダルを踏んでも前輪の向きが変わらなかったことや、ステアリング系統の一部に不具合があったことが確認されております。
 今後、設計製造国であるブラジルの調査機関等の協力も得ながら、原因究明を行って参ります。(事務局)

問: ステアリング系統の不具合について、部品の損傷などが確認されていますか。
答: ステアリング系統の不具合については、機体から取り卸した関連装備品を今後詳細に調査していく必要があり、現時点では不具合の原因等は確認できておりません。(事務局)

資料