平成30年3月27日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
宮下徹委員長代理
運輸安全委員会委員の宮下でございます。
3月の月例記者会見は委員長の職務代理であります私から報告させていただきます。
本日は、事故調査の進捗状況及び当委員会からの意見に基づき講じられた施策について、ご報告します。
はじめに、事故調査の進捗状況について、ご報告します。
前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントについて、航空モードでは、3月18日に発生した那覇空港での重大インシデント、3月24日に発生した福岡空港の重大インシデントの2件、鉄道モードでは、2月24日に発生した石勝線トマム駅での列車脱線事故、2月27日に発生した内房線での踏切障害事故の2件、船舶モードでは、3月18日に発生した明石沖でのフェリーと灯浮標との衝突事故1件、合わせて5件の事故及び重大インシデントが発生しています。
次に、主な案件の調査状況について、2件ご報告します。
1件目は、先週末の24日土曜日に福岡空港で発生したピーチ・アビエーション機の重大インシデントについてです。
3月24日8時11分頃、福岡空港に着陸したピーチ・アビエーション151便、関西国際空港発のエアバス式A320-214型の前脚のタイヤ2本が横を向いてパンクし、タイヤホイールが損傷した状態で停止する重大インシデントが発生しました。
運輸安全委員会においては、24日に調査官3名を現地に派遣し、25日から原因の調査を行っているところです。
なお、これまでの調査で、タイヤのパンク、ホイールの損傷等のほか、タイヤの向きを支持するためのリンク機構の破損が確認されています。
今後、調査を進めるとともに、調査によって得られたデータの解析を実施し、早急な原因究明に努めてまいります。
2件目は、昨年12月に発生した新幹線車両の重大インシデントについてです。
本件については、インシデント発生直後より、車両の台車に亀裂が生じていたことが明らかになっていますが、台車の亀裂に関しては、2月28日に、JR西日本及び川崎重工業より発表が行われました。
今回の発表において述べられている「台車の側ばり底面の板厚が薄かったこと」などの事実情報については、当委員会が把握している情報と基本的に相違ないものと認識しています。
当委員会では、発表の中で言及されている「台車の製造上の問題」も含め、亀裂の発生原因に関する調査・分析を専門的見地から継続的に進めているところであり、当委員会として、できるだけ早期に調査結果を取りまとめるよう努めてまいります。
その他の進捗状況については、お手元の資料1をご覧ください。
続きまして、資料2をご覧ください。
平成28年12月に山口県下関市で瀬渡船春日丸から釣り客が落水して死亡した事故について、先月、事故調査報告書の公表を行いました。
また、水産庁長官に対し、遊漁船及び瀬渡船における同種事故の防止及び被害の軽減のため講ずべき施策に係る意見を述べました。
当委員会の意見を受け、水産庁から同庁が講じた措置について、平成30年3月5日付けで通知がありましたので、ご報告をいたします。
水産庁では、直ちに都道府県知事あて管下の遊漁船業者等に対し指導するよう助言を行うとともに、遊漁船業務主任者講習の実施者に対し、意見内容の周知と一層の安全確保に努めるよう要請を行いました。
なお、今後、遊漁船業の実施に関する規程である業務規程例の改正等についても、行うこととしているとのことです。
水産庁において、このように迅速な施策が講じられたことについては、同種事故の防止及び被害の軽減に寄与するものと期待しております。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: 昨年6月に下田沖で発生しました米艦船の衝突事故について、先日、関係者が書類送検され一つの節目を迎えたと思いますが、調査の進捗状況について教えていただけますか。
答: 現在、これまでに収集したデータ、口述等に基づき慎重に分析を進めているところです。早急な原因究明に努めてまいります。
問: ピーチ・アビエーションの重大インシデントについて、どの部品がどう破損していたのか、もう少し詳しく説明していただけますか。
答: 前脚にはピストン構造になっている部分があり、このピストンの上部と下部をつなぐトルク・リンクという部品が損傷していたということです。
問: 損傷の状況は。
答: 詳しくは調査中ですが、トルク・リンクが外れていたということです。
問: 損傷して外れたということでしょうか。それとも、着陸前から動かない状態だったのでしょうか。
答: 現在、調査中でこれから調べていくことになりますが、当該機は着陸してから、しばらくはまっすぐ進んでいますので、最初からタイヤが真横を向いていたわけではないと思います。
問: 新幹線の重大インシデントについて、川崎重工業にも聞き取りを行っているという理解でよいですか。
答: 継続的に調査をしており、メーカーを含めて調査をしております。
問: 川崎重工業には、いつ頃から調査に入りましたか。
答: 比較的初期から話を聞いており、どういう製造方法であったか等ヒアリングをしております。
問: メーカー側は、委員会に対して、先日の会見と同じような説明をしているのですか。
答: 同じような説明を受けています。