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委員長記者会見要旨(平成29年8月29日)

平成29年8月29日(火)14:00~14:29
国土交通省会見室
中橋和博委員長

発言要旨

 それでは、8月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日、事故調査の進捗状況、国際運輸安全連合の委員長会議についてご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況報告

 まずはじめに、最近発生した案件について、2件ご報告いたします。
 1件目は、8月14日午後0時15分ごろ、個人所有の小型飛行機が、奈良県山辺郡山添村付近の山中に墜落し、同機に搭乗していた2名が死亡されました。亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族、関係者の方々に心よりお悔やみ申し上げたいと思います。
 運輸安全委員会においては、事故発生の14日から18日まで、航空事故調査官2名を現地に派遣し、墜落現場の確認、機体の損壊状況の確認、目撃者・管制官からの聞き取り等の調査を行っております。
 また、小型飛行機の整備を委託されていた会社から、事故当日の状況、機体の整備状況、操縦者に関する情報等の聞き取りを行いました。
 今後、機体を回収して調査するとともに、気象状況等各種データの収集を行いまして、得られたデータの解析等を実施して、早急な原因究明に努めて参ります。

 次に2件目ですが、6月17日、静岡県下田市沖で発生したフィリピン籍コンテナ船ACX CRYSTALと米艦船FITZGERALDの衝突事故について、報告いたします。
 当委員会は米国コーストガードに米艦船の調査に関する協力を要請して参りましたが、今月、米国コーストガードから、「米艦船乗組員31人の聞き取り調査をまとめたもの」及び「損傷部分の写真117枚」を入手しております。これにつきまして、米国コーストガードの協力に感謝いたします。
 引き続き、調査を進めまして、衝突事故の原因究明に努めて参ります。

 次に、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況については、お手元の資料1をご覧ください。説明は省略させていただきます。

2.国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議開催

 最後に、国際運輸安全連合の委員長会議が、9月25日から27日、新宿の京王プラザホテルにおいて開催されるので、お知らせいたします。お手元の資料2をご覧ください。
 国際運輸安全連合の正式名称は、 International Transportation Safety Association で、その頭文字をとってITSAと呼ばれております。
 米国、フランス、オーストラリア等16の国・地域の事故調査機関の長をメンバーとして、航空、鉄道、船舶など複数の輸送モードをカバーする国際的な組織です。
 その主な目的は、毎年各国メンバーが集まり開催される会議において、事故調査から得られた教訓、あるいは様々な情報を共有することにより、運輸の安全性を向上させるということにあります。昨年は5月にパリで開催され、今年は日本での開催となりました。なお、日本での開催は初めてのこととなります。
 現在のところ、日本も含め、14ヵ国から29名が出席する予定となっており、安全管理の不備により再発した類似事故の分析や事故調査報告書の早期公表と品質向上の可能性などについて、メンバー間で率直な意見交換を行う予定です。
 このような国際会議を日本で開催することにより、海外の関係者とも積極的に情報共有あるいは意見交換を行い、我が国の運輸の安全性向上に取り組んで参ります。

 本日、私からの説明は、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(コンテナ船・イージス艦衝突事故関連)

問: イージス艦とコンテナ船の衝突事故で、米国コーストガードから回答があったとのことですが、いつ付けですか。
答: 8月4日付けです。

問: 「乗組員31人の調書をまとめたもの」とは、一人一人の調書ではなく要約版ですか。
答: そういうものです。

問: 内容については、原因究明がされるようなものですか。
答: 現在、頂いた情報を基に調査の段階でございますので、今、ここでお話することはございません。

問: 「117枚の写真」というのは、船体の内部ですか。
答: 船体の外部と内部になります。

問: 調査にとっては大きな前進になるものと思われますが、終了の目処は立ってますでしょうか。
答: 現在、そこまでお答えできる段階にありませんけれど、出来るだけ早く報告書をまとめる方向で努力していきたいと思っております。

問: 年内、年度内とか目標みたいなものはお持ちですか。
答: 以前から申しあげてるように、1年から1年半、長いもので2年かかるものもありますので、今の段階でいつまでにとは、なかなか難しいところです。

問: 今回の回答というのは、これまで要請していた乗組員への聴取とか艦内の調査に対する、ひとつの回答と受け止めてよいですか。
答: そのとおりです。

問: この結果ですが、本来、運輸安全委員会として、一人一人直接話を聞いて、艦内に直接立ち入って調べるというものに比べると、完全といえるのでしょうか。
答: 完全とは言えないかと思いますが、頂いた情報を基に精査して、必要であれば関係者から更に聴取を求めるということをコーストガードに要請していきたいと思っております。

問: 完全とは言えないにしても、報告書をまとめるに当たっては、一定の判断材料に資するレベルにあるというものなんでしょうか。
答: これから精査していくものでありますので、今、そこまでお答えできる状況にはありません。

問: 何かしら前進する手助けになるものなのでしょうか。
答: かなり前進すると思われます。

問: 乗組員31人ということですが、船長、当直士官も含まれますか。
答: 艦長と事故当時当直をしていた乗組員30人です。

問: 運輸安全委員会が、コーストガードから事故調査に関する資料なり調書の提供を受けることは初めてのことですか。
答: コーストガードから米軍関係情報の提供を受けたのは初めてです。

問: 米国の運輸安全委員会からは過去に例はあるのでしょうか。
答: 船舶部門では、今回初めてです。

問: 資料の提供を受けて、運輸安全委員会としては、艦長や乗組員への聴取・船体の状況調査を委員会が直接するという要請は引き続き行っていくのでしょうか。それとも、相手が聞き取った調書をもとに原因を推定していく作業となってしまうのでしょうか。
答: 資料を受け取って間もないところですので、今後、精査して、その段階でまた判断することになると思いますが、基本的には、足りないところがあれば、更に追加をコーストガードに要請していく形になると思います。

問: 米軍が関わった事故の関係で、米当局から調書なり関係書類をもらったことはありますか。
答: これまで、米艦船が関わった事故で資料等の提供を受けたことはありません。

問: これまで、米国側から提供されてこなかったなかで、今回、提供されたことついて、何か理由はあるのでしょうか。相手先から説明があったのでしょうか。
答: コーストガードはNTSBの依頼を受けて事故調査を行っているということで、事故調査機関同士の協力体制ということです。

問: これまで、NTSBに米軍の資料提供を依頼をしたことはありますか。
答: 船舶事故についていえば、これまで求めたことはありません。直接、在日米軍に求めたことはありますが、調査することができませんでした。

問: 今まで要請をしなかったのは、多分難しいだろうなということで控えていたということですか。
答: 今回のイージス艦の事故については、米国の調査機関が調査を行うことが明確であったので、その調査機関に要請したということです。

(長野県消防防災ヘリコプター墜落事故関連)

問: 長野県消防防災ヘリコプターの事故から半年が経過して、改めて何か分かったことがありますでしょうか。
答: 現場の確認をし、5月には機体を回収してその調査を行ってきました。そのようなデータが出そろったところで、現在分析を行っている段階です。

問: 機体に不具合はなかったということについてはどうでしょうか。
答: 以前にも申しましたとおり、機体等の調査では異常は認められていない状況です。

問: 今後の報告書がまとまる見通しは。
答: 今の段階で、見通しを申し上げるのはなかなか難しいところですが、出来るだけ早くまとめていきたいと思っています。

問: 一部で、事故直前に低空飛行をしていたという情報もありますが、このことについて何か調べていますでしょうか。
答: 報道されていることは承知しております。委員会としてもビデオ解析等でそのあたりを解明していきたいと思っています。

(小型機へのFDR搭載関連)

問: 今回、国交省の概算要求があり、その中で航空局では、小型機のフライトレコーダー搭載実証実験を行うことになっています。義務化等は費用を含めてハードルが高いと思いますが、今後の調査をしていくうえで、どのようにお考えでしょうか。
答: 航空局はルール作りなり普及促進をしていくところで、我々は事故調査が主たる役割になりますが、いろいろ事故調査をしておりますと、レコーダーがあればと思うことが前々からあり、そういう議論もしているところです。
 9月のITSAの会議におきましても、海外での小型機用レコーダーの状況についても意見交換が出来ればと考えているところです。
 何か進展がありましたら意見発信をしていきたいと、そのように考えております。

問: 基本的には、今回の実施は望ましいとお考えですか。
答: 当然、レコーダーは搭載されていればそれに越したことはないわけです。経費とかの課題はありますが、一方で、自動車のドライブレコーダーもそうですけれど、操縦する方の意識の改善につながると思いますし、トレーニングなどにも使えると聞いていますので、皆さんが自主的にそういうのを付けてもらえれば、安全意識も向上するのではないかと思っています。

資料

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