平成28年9月27日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
中橋和博委員長
運輸安全委員会委員長の中橋でございます。
ただいまより、9月の月例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、運輸安全委員会ダイジェストの発行についてご報告します。
はじめに、専門委員の任命がありましたので、ご報告します。
個別調査において外部の専門的知見を得る必要がある場合、運輸安全委員会設置法第14条に基づき、専門委員として任命された学識経験者に調査に参加していただいております。
平成28年4月にJR九州新幹線で発生した列車脱線事故につきましては、現在、調査により収集した各種データ等の整理・分析を行っているところでありますが、今回、原因の分析を進めるため、地震動、構造物及び車両の分野について、東京大学地震研究所災害科学系研究部門の古村孝志(ふるむら たかし)教授、宇都宮大学地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科の中島章典(なかじま あきのり)教授、東京大学生産技術研究所の須田義大(すだ よしひろ)教授がそれぞれ専門委員に任命され、10月より調査に参加していただくことになりました。
次に現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。
本日、「運輸安全委員会ダイジェスト第22号」として「航空事故分析集 個人小型機及び滑空機の事故防止に向けて」を発行し、当委員会のホームページで公表しました。
ご参考に、本号の掲載ページを印刷した資料2をお配りしております。
本号では、近年発生した個人が操縦する等の小型機及び滑空機の事故調査事例を紹介するとともに、小型機を操縦する個人が会員となっている団体へのインタビューを実施し、その活動内容を紹介しています。
個人が操縦する小型機及び滑空機の事故では、ある程度飛行時間の多い操縦者の事故が多発していること、事故の原因について見ると、多くは操縦者の思い込みやうっかりミスといった人的要因が関係していることがわかりました。
以上のことから、飛行経験からくる気の緩みや勘違い、思い違いは常にあり得るものと認識し、飛行中に少しでも異常や不安を感じたら無理をせず、できるだけ早めの対処を心がけること、飛行時以外の定期点検等も慎重かつ丁寧に行うことなどが、事故防止に重要です。
本号はホームページでの公表のほか、メールマガジンや各種講習会などを通じて関係者の皆様にお知らせすることにより、個人が操縦する等の小型機及び滑空機の事故防止に役立つことを期待しています。
続きまして、第4回国際民間航空機関(ICAO)アジア太平洋地域航空事故調査グループ会議を、9月1日から2日にかけて新宿の京王プラザホテルにおいて開催しました。
21の国や地域、2の団体、航空機製造者から総勢50名の出席があり、これまで最大の参加規模でした。会議では、アジア諸国の航空事故調査機関の独立性の推進、また、航空事故調査官の教育訓練について途上国を中心に十分でない状況を背景に、地域内協力の必要性などを確認しました。
引き続き海外の関係者とも積極的に情報共有や意見交換を行い、我が国の運輸の安全性向上に取り組んでまいる所存であります。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: 冒頭ご紹介のありました九州新幹線の脱線の件で、3人任命されたということですが、それぞれどの様な分野の知見を得る必要があり、3人にお願いしたのかを改めて詳しくお伺いできますか。
答: 先ほども申しましたように、今回の九州新幹線脱線事故については、地震動が大きく関与したと考えられることから、事故発生地点付近の地震動の状況や、列車が走行していた高架橋等の構造物の影響などを詳細に分析し、脱線のメカニズムを解明することが必要となっています。その観点から、脱線メカニズムのより詳細な分析を進めるため、地震動、構造物及び車両分野について、それぞれ専門委員を任命し、調査に参加していただき、その促進を図ることとしたものです。
ちなみに、この3名の専門委員の方々は、平成23年3月の東北新幹線列車脱線事故の際にも調査に参加していただいております。
問: 大阪の八尾空港で小型機が墜落して4人が亡くなった事故からちょうど半年になりますが、調査の状況で公表いただけるような部分があれば教えてほしいのと、事故報告書の公表はいつ頃になりそうかを教えてください。
答: 本年3月、八尾空港に着陸しようとした小型機が空港内に墜落し、搭乗していた4名全員が死亡した事故に関しましては、現在、担当調査官により報告書案の取り纏めが行われているところです。報告書案が作成され次第、委員会において審議が行われますが、審議の日程及び報告書が公表される時期については、現時点では、お答えできる段階にはありません。できる限り早期に報告書が公表できるよう努めてまいります。
問: 昨年の調布市の墜落事故について、調査の進捗状況をお願いします。
答: この事故につきましても、現在、調査内容及び調査で得られている事実情報等について、委員会において審議を行っているところです。できる限り早期に報告書が公表できるよう努めてまいります。
問: ここ数ヶ月、審議中ということで継続してご案内いただいていると思いますが、現時点で例えば、この程度進捗しているんですとか、あるいはどういうデータが議論の対象になっているとか、調査の詳細について教えていただければと思います。
答: 事故原因につきましては、ひとつの調査結果だけで判断されるものではなく、数々の調査結果を付き合わせながら、総合的に議論され絞り込まれていきます。したがって、現時点では、特定の原因を想定してお答えすることは差し控えさせていただきます。
問: 搭乗された方への聴取なども行っているのでしょうか。
答: 調査の一環として行っております。
問: だいたいの報告書公表の目途はいつごろですか。
答: 現時点でお答え出来る段階にはありません。