平成28年8月23日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
中橋和博委員長
運輸安全委員会委員長の中橋でございます。
ただいまより、8月の月例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、勧告に基づき講じられた措置として1件、また、第4回国際民間航空機関(ICAO)アジア太平洋地域航空事故調査グループ会議等の開催についてご報告させていただきます。
現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。
次に、勧告に基づく措置の状況について、報告がありましたので、ご紹介いたします。
平成23年5月27日に北海道旅客鉄道株式会社石勝線で発生した列車脱線事故についてです。
資料2をご覧ください。
本事故は、石勝線清風山信号場構内のトンネルで脱線、火災事故が発生し、乗客などがトンネル外に避難したというものです。
本調査結果につきましては、平成25年5月31日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である北海道旅客鉄道株式会社に対して勧告を行いました。
今般、北海道旅客鉄道株式会社から、車両形式毎に計画的に車輪を削ること、列車が運行している状態で、車輪踏面の剥離・擦傷等が疑われる状態を連続的、定量的に検知できる「車輪フラット検出装置」を導入し、試行を完了したなどの報告がありました。
この報告につきましては、勧告の内容を反映したものとなっておりますが、同社においては引き続き安全性向上に努めていただきたいと思います。
続きまして、第4回国際民間航空機関(ICAO)アジア太平洋地域航空事故調査グループ会議が、9月1日から9月2日にかけて、新宿の京王プラザホテルにおいて開催されます。(資料3)
国際民間航空機関(ICAO)は、シカゴ条約(国際民間航空条約)に基づき1947年4月に国際連合の専門機関の一つとして発足し、国際民間航空の健全な発展を目的として、国際民間航空運送に関する国際基準を策定しており、航空事故調査の国際標準も示しています。締約国は191ヵ国で、日本は1953年に加盟しています。
今回開催されるICAOアジア太平洋地域事故調査グループ会議は、アジア太平洋地域における事故調査能力向上を目的として、航空事故調査官の訓練ガイダンス策定や調査におけるドローンの活用など新たな技術の導入について議論を行い、今後のアジア地域における取り組みを確認する予定になっています。
この会議を日本で開催することは初めてのこととなります。
現在のところ、アジア太平洋地域のICAO締約国(40ヵ国)の内、日本も含めて19ヵ国から約50名の出席予定となっており、日本からは、航空事故調査官が我が国の最近の航空事故調査の状況を発表する予定です。
このような国際会議を日本で開催することにより、日本の技術力のプレゼンス向上を目指すとともに、海外の関係者とも積極的に情報共有や意見交換を行い、我が国の運輸の安全性向上に取り組んでまいる所存であります。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: 先月の会見でもお伺いしましたが、調布飛行場の墜落事故の調査状況について、現在、報告書案審議中となっておりますが、具体的にどのような状況でしょうか。
答: 先月の定例会見でもご報告しましたとおり、現在、本事故の調査内容をもとに、委員会において審議を行っているところでございます。審議においては、調査内容、分析および原因等について議論等を行っているところでありまして、運輸安全委員会としては、できる限り早期に報告書が公表できるよう努めてまいります。
問: 報告書公表の目途等はまだ立っていないですか。
答: 今、審議を行っているところでございますので、現時点においては、いつ報告書を公表できるかということは、お答えできる段階ではございません。
問: 冒頭委員長からご説明のあったICAOの会議で、日本の事故調査官が事例紹介されるとおっしゃいましたが、具体的に何の事例を紹介されるのかは決まっていますか。
答: ヘリコプター事故等、最近の我が国における航空事故等の調査状況について、取りまとめて報告する予定でございます。
問: ドローンの活用と資料にありますが、想定される範囲ではドローンをどのように活用するのでしょうか。
答: 各国での利用状況等の報告もあるかと思いますが、我々が今考えておりますのは、何らかの事故があった場合に、その空中撮影等を行い全体の把握を早期に行えるようにすることを考えております。まだまだ、ドローンの活用方法は他にもあろうかと思いますが、現段階ではそのような考えを持っております。
問: それを既に導入しているところはあるのですか。
答: 米国が5月の国際会議(ITSA)の際、そのような活用を考えているような発言がございましたが、具体的にどの程度活用しているかという情報は今持っておりません。