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委員長記者会見要旨(平成28年6月28日)

平成28年6月28日(火)14:00~14:12
国土交通省会見室
中橋和博委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の中橋でございます。
 ただいまより、6月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故調査の進捗状況報告

(羽田空港大韓航空機重大インシデント)

 はじめに、5月27日に東京国際空港(羽田空港)で発生した大韓航空の重大インシデントについては、本事案発生時に航空事故調査官を現場に派遣し、
 ・機体エンジンの外部・内部の破損状況の確認
 ・滑走路上の部品の散乱状況の確認
 ・機長等関係者からの口述聴取 等
を行いました。
 不具合のあった左側エンジンについては、エンジンの設計・製造国である米国の事故調査当局等とともに、その主要部品の詳細調査を行っております。
 この調査の過程で判明したことを踏まえ、運輸安全委員会は、航空局に対し、
 ・エンジンのタービン・ディスクの一部が破断し、エンジンケースを貫通していたこと
 ・エンジンメーカーが、同型式のエンジン使用者に対し、現在機体から取り外されているエンジンについて、HPT(High Pressure Turbine)部の検査に注意を払って実施することを推奨する通報を発出したこと
を情報提供しました。
 現在、米国の事故調査当局等と協力しつつ、必要な調査を実施しているところであり、早期の原因究明に努めてまいります。

(進捗状況一覧)

 続きまして、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。

2.勧告に基づき講じられた措置

 次に、勧告に基づく措置の状況について、ご紹介いたします。
 平成23年9月6日に発生したエアーニッポン所属ボーイング式737-700型JA16ANの機体が異常姿勢になり急降下した重大インシデントについてでございます。資料2をご覧ください。
 本重大インシデントは、那覇空港から東京国際空港へ向けて飛行中、機長が操縦室を退室した後、機長を再入室させようとした際、副操縦士がドアロックセレクターを操作するつもりで誤ってラダートリムコントロールを操作したことにより、機体が異常な姿勢になり急降下したというものです。
 本重大インシデントの調査結果につきましては、平成26年9月25日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である全日本空輸株式会社に対して勧告を行いました。
 今般、同社から勧告に基づく措置の状況として、運航乗務員が1名で運航を継続する場合の基本的遵守事項、また、失速に関する知識付与、失速からの回復方法などについて、全運航乗務員が訓練を履修した旨の報告がありました。
 これらにつきましては、勧告の内容を反映したものになっておりますが、今後とも引き続き、より一層の安全性向上に努めていただきたいと思います。

 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(羽田空港大韓航空機重大インシデント関連)

問: エンジンの調査について、今後米国に送って分解調査などを行うことが決まっているのかどうかについて伺えますか。
答: すでにエンジンそのものは米国の方に送って分解調査をしております。その結果として、メーカーからハイプレッシャー・タービンのディスクについての点検に注意してくださいということが発出されているというものです。

問: 今の関連で、エンジンは米国にいつ頃送ったのでしょうか。まだ米国にあるのでしょうか。
答: 事故の後、シンガポールで分解して、部品は米国に送られております。今はまだ米国にあります。

問: 今後エンジンの状況を調査する中で、特に留意する部分というのはどういう点を考えているのでしょうか。調査の中で重きを置くべき部分というのはどんなところが考えられるのでしょうか。
答: タービン・ディスクが破断したという事実はございますので、それについて、どういう原因でそのようなことになったのかということの究明をする必要があるかと思います。

問: 米国に送ったのは今月という理解でよろしいですか。
答: 確認して後程お知らせします。

問: タービン・ディスクの破断の件ですが、ブレードと違って破断が良くあるケースではないということで、プラット社からはあくまでも運航していないエンジンについてのみ普段から整備箇所には入っているものの、よりよく点検して下さいと控えめな内容でしたが、ディスクが破損するというのは、委員長としてはどの様な認識でしょうか。
答: 非常にまれな事象だと我々も思っています。そういうことが何故発生したのか、その点の原因解明をいろいろなところから調査していかなくてはならないと思っています。

問: 非常にまれなことなのに、プラット社からは全部点検して下さいということでもなく控えめなお願いでしたが、その辺の関係性や重要性はどの様な認識でしょうか。
答: メーカーとしても、まだ原因を特定することができずに、いろいろな情報を集めたいということから、あのようなことを発出されているのだと考えております。

(調布小型機墜落事故関連)

問: 調布の事故の件ですが、間もなく1年を迎えるということで、これまでの調査状況と今後どういったことをしていくのかを、改めて教えていただければと思います。
答: 現在、任命された専門委員の協力を受けながら、これまでに収集した調査データの画像、映像、音声等を基に、シミュレーター等を活用した事故機の詳細な飛行状況に関する解析の作業を行っているところです。そのシミュレーター等を活用した解析の結果から、想定される機体の状況を分析し、原因究明等に努めたいと考えております。現在、事故原因の解明に全力をつくしているところです。事故発生から間もなく1年の節目を迎えるわけですけれども、引き続き、事故の防止及び被害の軽減に資するべく、早期に報告書が公表できるよう努めてまいる所存です。

問: 解析作業を行っているということですが、ここで新たに何かわかったことというのはないですか。
答: 現時点で、お話することはありません。

問: これまでエンジンの分解調査等を実施されてこられたわけですが、いろいろ欠損している部分とかあったということで、エンジンを分解して目視とかの調査によって、原因を特定することは難しいという認識でよろしいのでしょうか。
答: エンジンに関しては、特に問題になる箇所は発見されていないと聞いています。

問: エンジンが原因ではないということですか。
答: まだ、そこまで言及するには不十分な状況ですので、改めて報告書ができた時点で、お話させて頂きたいと思います。

(チャンギ空港シンガポール機火災)

問: 昨日、シンガポールのチャンギ空港でボーイング777が出火するという事故がありましたが、これで何か日本の方に関係するようなことやJTSBとして情報収集しているとか、そういった動きというのはあるのでしょうか。
答: 今、具体的にJTSBとして、アクションを取っているところはありませんが、情報は常にウォッチしていきたいと思います。

問: ボーイングを通じてとかNTSBを通じて、要請していくという段階ではまだないということでしょうか。
答: はい、まだその様な段階ではありません。

資料

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