平成27年8月25日(火)14:00~14:18
国土交通省会見室
遠藤信介委員長代理
運輸安全委員会委員の遠藤でございます。
8月の月例記者会見は委員長の職務代理者である私からご報告させて頂きます。
現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査の進捗状況についてですが、モード別にみますと、航空は調査中の案件が36件ありまして、そのうち審議中のものが8件、鉄道は調査中の案件が17件、審議中のものが3件、船舶は調査中の案件が16件、審議中のものが3件となっています。詳細は資料をご覧ください。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: 18日に会見した調布の小型機墜落事故のその後の調査状況を教えてください。
答: 先週18日に事務局より、機体及び家屋の損傷状況、気象情報、事故機に関する基本データ、事故機の推定重量や計算上の離陸距離など、これまでの調査内容についてご説明させて頂きました。本日はそれに追加する内容は特にございませんが、今後の調査としては、機体・エンジン本体の詳細調査、機体の整備及び管理状況の調査、整備関係者及び同乗者からの口述聴取、交信記録の詳細分析等を行っていく予定であり、引き続き、早期の原因究明に努めてまいります。
問: エンジンの調査ですが、先日はまだ警察の管理下にあるとのことでしたが、その後どうなりましたか。
答: エンジンについては調査の中心的な一つでありまして、製造者に分解検査を依頼することを検討しており、その手続き等について、警察などの関係機関と調整を行っているところです。
問: まだエンジンそのものの調査は始まっていないということですか。
答: 基礎的なデータ収集としては行っていますが、やはり分解検査が必要でありまして、分解検査は製造メーカーでなければ行うことが難しいので、その準備をしております。
問: 国内、海外どちらでやられますか。
答: 製造メーカーは海外です。
問: 日本に出先もあると思いますが。
答: 分解調査を行う能力は海外のメーカーでないと難しいと思っています。
問: アメリカに送るのですか。
答: はい、そうです。
問: 同乗者3名のうち2名から話を聞いたと先日ありましたけれど、3人目の方から口述聴取はできたのですか。
答: 3人目の方は健康状態が思わしくないということで、まだお話は伺っておりません。
問: 見通しはたたない状況ですか。
答: 病院とは連絡をとっていますので、症状が回復したあたりでと思っております。
問: 先週のレクで難しい調査になるとお話しされていましたが、調査のポイントや小型機の事故調査として象徴的なものになると思いますが、どのように見られていますか。
答: 小型機は大型機と違いDFDRやCVRが装備されていません。小型機の中でも新しい型のものは記録装置を備えているものもありますが、この型については飛行記録データを保持しているものがないので、やはり難しい調査となるだろうと思います。それからエンジンにつきまして、焼損の状況がかなり激しいので、メーカーに送りまして詳細な調査を行う予定ですが、それについては先ほど申し上げたように現在関係機関との調整中であります。
問: 小型機の事故で、はじめて住民の方が被害にあわれたということで、調査結果がより影響力があり関係者みんなが注目していると思われますが、このあたり如何ですか。
答: 第3者に被害がでたということで、我々も重大に受け止めており、慎重かつ綿密な調査を行ってまいりたいと考えています。口述、あるいは現場調査、今後の分解調査で証拠を集めながら予断を持たずに全力を尽くして早期に原因を究明していきたいと思っております。
問: エンジンの分解調査をするとなると米国のメーカーということで、1年を目処に報告書を公表できるのでしょうか。その見通しは差し障りがないのでしょうか。
答: 我々としましては、大変重大な事故でありますので、できる限り早期に原因を取りまとめていきたいと思います。ただ、ご指摘のように分解調査に関わる輸送の問題とか、関係国への意見照会の手続きがありますので、我々としてはできる限り早く報告書を取りまとめて公表に向け努力するということを申し上げるに留めたいと思います。
問: テストフライトを実施するという予定というか検討はされていますか。似たような状況下での幾つかのエンジン不調を想定したような試験飛行みたいなものです。
答: 今の時点では想定しておりませんが、今後の調査の過程で必要となる試験、研究も出てきますので予断を持たずに幅広く調査を行っていきたいと考えています。
問: 過去に試験飛行した例もあるということでしょうか。
答: 小型機のこういった事例で私自身は承知しておりません。事故の類型によっても違いますし、過去に大きな事故が起こった場合には、大型機の場合は実機のテストフライトではなくてシミュレーターの実験飛行をやります。こういう小型機については型式毎のシミュレーターがありませんので、小型機の事故で実機の試験飛行までやるという例はどこかにはあるのかも知れませんが、私としては承知しておりません。それほどやられていないと思います。
問: エンジンですが、エンジンメーカーはライカミング社ですか。
答: ライカミング社です、今はテキストロン社の一部門になっています。
問: 分解調査を行う場所としては、アメリカのどちらになりますか。
答: 場所については手元に資料がありませんので分かりませんが、ライカミング社はピストンエンジン部門とタービン部門があり、ピストン部門は現在、テキストロンに吸収されその一部になっております。
問: 何々州のどういった施設くらいまで説明頂けるとありがたいのですが、工場であるとか研究開発施設であるとか。
答: 今の段階では正確には分かっていませんが、エンジンの送り先を決める時点ではその辺のお話もできるかなと思います。
問: 8月8日に山陽新幹線で輸送障害というか事故が発生しまして、この件で調査に入られていると思うのですが、調査すると決めるに至る判断が遅れたのではないかという指摘もあります。事案が発生してからどの様に情報を収集して、調査に入ることを決めるまでの経緯について説明を願いたい。
答: 私どもは鉄道局から翌日、通報を受け、その後検討し派遣したということであります。
問: 派遣を決めたのは何時頃ですか。
答: 9日の午後です。
問: 公表が夜のかなり遅くだったと思うのですが、情報収集と検討にその位の時間を要したということですか。前日に発生した事案でもそのくらい時間が必要だったということですか。
答: 負傷者の方が、特殊な負傷のされかただったものですから、人身障害事故として特に異例ということで派遣するのに時間がかかったということです。
問: 国交省から情報提供があったのは、発生翌日の午前中ということですか。
答: 通報という形で翌朝です。
問: それから検討を開始したということですか。
答: そのとおりです。
問: 先月末に発生した苫小牧のカーフェリー事故の調査状況は如何ですか。
答: 7月31日に事故が発生し、8月1日から乗客や乗組員の聞き取り調査を行いました。その後、火災の鎮火を待ちまして、船内の調査を始めたところであります。
問: 今後の調査のポイントは如何ですか。
答: これまで、船内の構造や車両の配置などの調査、焼損の激しい数台の車両とその周辺状況を確認いたしました。主に外観調査になりましたが、今後は、車体等の詳しい調査をしていきたいと考えています。また、乗客の方がスムーズに退船できたようなので、被害の軽減という点では非常に参考になると思われ、どのような避難状況であったのか、長時間にわたり船内が燃え続けましたので、消火設備の状況や消火体制などについても調査していきたいと考えています。
問: 今後、車体の調査を詳細にやっていきたいということですが、火元に関しては車の可能性が高いと見ているということでよろしいのでしょうか。
答: 前回は、損傷したデッキとか車両の外見調査に終わっていますので、今後は、1つ1つの車両に当たるなど詳細な調査をしたいと考えています。火元、発火源につきましては、まだ、明らかになっておりませんので、その点につきましては、慎重に調査を進めていきたいと考えています。