平成27年7月28日(火)14:00~14:50
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長
運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
ただいまより、7月の月例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故調査の進捗状況一覧と、運輸安全委員会年報2015の発行についてご報告いたします。
はじめに、7月26日(日)10時58分ごろ、調布飛行場を離陸した小型機が、調布の住宅街に墜落する航空事故が発生しました。
運輸安全委員会としては、26日に3名の事故調査官を現地に派遣し、26日、27日に引き続き本日も現地調査を行っているところです。
調査状況については、現地において、
・事故現場の被害状況の確認
・機体の損壊状況の確認
・飛行場関係者等からの聞き取り
等を行っています。
続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況についてですが、説明は省略させていただきますので、詳細は資料をご覧下さい。
本日、「運輸安全委員会年報2015」を公表しましたので、ご案内いたします。
お手元に年報を配付させて頂きましたのでご参照下さい。
本年報は、昨年1年間の当委員会の活動状況の全般を簡潔に取りまとめたものでございます。印刷物としてだけでなく、当委員会のホームページから、全文ダウンロードできますので、各方面でご活用いただければ幸いでございます。
2015年版の内容でございますが、冒頭の特集として、諸外国の事故調査機関について、制度や調査対象分野の違いなどを比較したものを掲載しております。
特集のほか、平成26年に発生した航空、鉄道、船舶の事故等の調査状況や公表した報告書の概要などについて紹介しております。
平成26年に新たに調査対象となった事故、インシデントについて、航空分野では、航空事故が前年比6件増の17件、航空重大インシデントが前年比4件減の4件でありました。鉄道分野では、鉄道事故が前年比1件減の14件、鉄道重大インシデントが前年比1件減の1件でありました。船舶分野では、船舶事故が前年比15件減の931件、船舶インシデントが前年比24件減の127件でありました。
これらの事故等につきましては、すでに報告書を公表したものもありますが、調査中の事案については早期に公表できるよう鋭意、作業を進めているところでございます。
本年報の英語版も作成し、ホームページで公表することとしておりますが、作成まで今しばらく時間がかかりますので、よろしくお願いいたします。
以上、概略をご紹介いたしましたが、本年報に関するご質問等がございましたら、当委員会事務局までお寄せください。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: 調布の小型機墜落事故について、今後どういった点が調査のポイントとなりますか。また生存者に対する聞き取り調査など今後の調査の見通しを教えてください。
答: 現在までの調査内容については、先ほど申しましたとおりですが、今後の調査として、機体に同乗していた搭乗者3名からの口述聴取、機体の整備及び管理状況の調査、関係者、目撃者等からの聞き取り等を行っていく予定です。また、今回の事故に関し、調査の過程で判明した事実情報については、随時公表していくこととしています。引き続き、必要な調査を実施し、早急な原因究明を行っていきたいと思っています。
問: 生存された方の容態が芳しくないようですが。
答: まだ面会できないと思います。同乗していた3名の方ですが、現在入院されていて話をうかがうところまでいっておりません。健康状態をみて早く聞ければと思っています。
問: 警察との捜査の兼ね合いで、順番などはどのように考えていますか。
答: 現地では飛行機もかなり燃えていて、飛行機以外にも家屋が燃えたこともあり、警察の捜査、火災なので消防の方々が同時に入っている状態です。物の片づけや、安全が確認できたうえで機体の部品の回収や調査を行いたいと考えており、3名の方の聞き取りは健康状態を勘案しまして行いたいと考えていますので、順番を決めている訳ではありません。
問: 今回、フライトレコーダーやボイスレコーダーが搭載されていない小型機の事故ですが、調査の難しさなどどういったところをポイントに調査していくのか。
答: 非常に難しいところがありますが、まず残存物がどのような状況であるかを調べるのが大事であり、大事な要素としてエンジンがどういう状況であったか調べなければならないと思います。また3名の方が生存されているので、口述聴取をして機体内の状況やパイロットの操縦がどうだったかなどを中心に進めていきたいと考えています。
問: アシアナ事故のときのように、客観的な事実として機体の損壊状況はどうだったのかなど教えていただきたい。
答: そうですね。まとまった段階で、公表できるものはできるだけ早く公表したいと思います。
問: 今回、一般の住民の方が巻き込まれるという前例のない事故で、社会的には我々も見過ごしがちな小型機の事故やインシデントをある意味で一変させるような事故であったと思いますが、今回の事故についてどう捉えていますか。
答: 調布飛行場は訓練目的の小型機が多く、飛行状況との関連など、また個人的な感想ですがパイロット自身の技量がどうだったのか、アメリカで免許を取られたようですがそのあたりも調べなければならないと思っています。また小型機の教育そのものについて従来どのように行われているのかなども、全般的なことから今回のことを比較して特徴的なことを探しだしていかなければならないと思っています。
問: 訓練はできないと思いますが、今の趣旨だとできるということでしょうか。
答: 慣熟飛行ですが、私自身は慣熟飛行も訓練の一環だと捉えています。つまり訓練ではライセンスを持っている人が乗って本来行われるべきものだと思います。今回そういう人は乗せていなかったということなので、その点も確認しなければならないと思います。
問: 交信記録を運輸安全委員会で調べを始めたようですが、情報が先行して報道されている状況もあり、確認したいのですが、離陸した後の交信があったのかどうかと、離陸までの過程で何らかの不具合や不規則な交信があったのかどうかについて教えて頂きたい。
答: 調布のタワーとパイロットの交信状況は、昨日、関係者から話を伺いましたが、離陸中における操作やその時の発言については、これから分析にはいるところですので、もうしばらくお待ちください。
問: 離陸後も何らかの音声は記録されているのですか。交信していなくても機内でのやりとりがタワーの方に録音されるものですか。
答: CVRと違い調布の飛行場に残っている交信記録には無線で話したことだけが記録されています。ですから交信していないときの、例えば飛行機の音などは入っていません。交信記録については分析を進めているので今しばらくお待ちください。小型機はFDRやCVRに相当するものはありませんので、地上局とパイロットとの間の交信内容が、地上側で記録されています。
問: 飛行機が墜落して住民の方が亡くなられた事故は日本では何例目ですか。
答: 過去に民間の飛行機が墜落し、けが人が出たということはありますが、民間機が住宅に墜落して死亡者が出た事故は記憶のなかでは今回がはじめてかと思います。
問: 戦後ということですか。
答: はい。民間の飛行機と申し上げたのは、自衛隊機や外国の軍用機については、運輸安全委員会としては記録をとっていません。
問: 現場から計器ですとかエンジン部品が見つかったとか、埋もれたエンジン部品を掘り出すとか主翼の骨組みがあったとか、報道されていますが損壊状況を今まで分かっている範囲で教えていただけませんか。
答: 損壊状況の調査を日曜日の初日から入っているところですが、全体を掴むところまでいっていません。他の焼損物が重なっていたり、家屋の土台の上に載っており不安定であったり、そういったこともありまして、確かに映像で見る限り水平尾翼、垂直尾翼がきちんと残っているとか機体の前半部分は熱でかなり焼けており、そこまでは分かるのですが、どの部品が焼けているけども残っている、どの部品が焼けずにきちんと回収できるのか、機体全体まで及んでおりません。そちらも早いうちに整理したいと思っております。現状、申し上げられるのはそこまでです。
問: かなり困難があるということですか。
答: 最初の1日、2日は困難であったと現場から報告がありました。本日、明日にかけては機体の取り出せるものは取り出すようにしたいと思っております。いわゆる全体像を掴めるのがいつかということについてはしばらくかかると思われます。
問: 残存物の取り扱いについては、どういう状況になっているのでしょうか。例えば動かしてはいけないとか、動かして良いとか、どこに持って行くとか。
答: 事故調査ですので、現場に残っている状況が調査に重要な場合はその場所を確保するように努めます。一方で、機体が落ちている状況は、原因にあまり関与しないと判断できる段階で、機体全体を保管場所に移し機体調査、分析などに入る予定です。これはいつもの手順なのですが、今回もその様な手順でと考えています。
問: 残存機体の移動の見通しはどうですか。
答: 民家に機体がありますし、火災の状況も完全に鎮火なのかという問題もありますし、我々としては早いうちに動かして分析に入りたいのですが、飛行機以外のものも記録しながらとなりますので、時期について今の時点では明確に申し上げられない状況です。
問: 機体の保全という面では、警察と消防と合同で運輸安全委員会の保全下にあるというわけではないのですか。
答: 事故調査しておりますので、運輸安全委員会の保全の下にあるという理解です。
問: 火災で焼失した家とかの関係でしばらく残しておくということですか。
答: しばらくが、どのくらいなのか分かりませんが、今の位置関係の確認とか他の損壊物、例えば屋根が壊れているお宅もありますので、そこと航空機のぶつかり具合の確認とか、そのあたりも調べつつ、なるべく早く他の場所に移したいとは考えています。
問: エンジンの損傷状況はどうですか。
答: それが最初に見ておきたいところですが、まだ、はっきりしておりません。他のものが載っているとかの報告が入ってきており、他の焼けたもの、そういうものを撤去しているとの話を聞いております。
問: 見える範囲で原型を止めているとか、溶けてしまっているとか、見たままの状況はどうなのでしょうか。
答: エンジンがあるとの話は聞いております。溶けてしまっているという話はありません。
問: 小型機等が住宅等に墜落して死者がでたのは初めてだと、先程、お話がありましたが、小型機が墜落しそうになった場合に、危険を周知させる何らかの安全策で、やらなければいけないことはあるのでしょうか。
答: エンジンが不調になれば分かるのですが、舵が利かなくなった、あるいは舵のどこかに物が挟まり利かなくなった場合は、分かるときと分からないときがあります。過去に起こった事故では、確かフラップの一部に物が挟まり動かなくなったということもありました。分かることと分からないことがあるわけで、不都合があった場合に全てが分かるわけではありません。
問: 機体、エンジンともに運輸安全委員会の保全の下にあると言われましたが、移動できる時期が来たら警察も早く回収して分析したいと言っているようなのですが、運輸安全委員会の方が優先的に調べるという理解でよろしいでしょうか。
答: そこは非常に難しい問題で、我々は航空機事故の原因調査であり、警察側は捜査をやっているわけで、どちらが優先するというものではありません。我々は今のところ機体が落ちている状況の確認、そこまでをしっかり確認し、移動した上でより詳しい分析に入りたい。警察の考え方について、こちらに伝わっていないため、何とも申し上げられません。
問: 警察の方はいくつか部品の押収というか回収に入っているように聞いているのですが、それと運輸安全委員会の回収の関係性はどうなのでしょうか。取りあえず警察に持って行ってもらい、それをどこかで共同で分析するということになるのでしょうか。
答: 実際に機体をどこへ持って行くか、事故調査で一般的な話では、機体を整備している会社の格納庫に入れ、そこで詳細な分析をするということはよくあるのですが、今回、どこへどんな形で持って行くか移動させ調査を進めていくかについては、今のところどこへというのは決まっていなくこれから決まっていくものと思われます。
問: 押収している主体は、運輸安全委員会ですか。それとも警察ですか。
答: 押収しているのは警察であり、我々は押収しません。
問: 警察が押収している物は、運輸安全委員会としてはどの様に接触するのでしょうか。
答: 警察が押収した物のうち、我々が分析等に必要な物は警察から借り受けるような形になるかと思います。
問: それは何か特別な手続きはないのですか。
答: 特別かどうか分かりませんが、定められた手続きがあるとは聞いています。例えば借り受け簿に記入するとか、そのたぐいのものです。
問: 日航機の123便墜落事故から30年となりますが、遺族の方へ取材をすると、救援活動がもう少し早ければという思いがあるようですが、運輸安全委員会として救援活動のスピードについてどのような調査を行ったかを教えてください。質問の理由は事故原因だけでなく、死傷者など被害を最小限にするためにどうすればよかったのかに関わることも委員会として調査すべきではないかという観点からです。
答: 捜索・救難活動について、最終報告書では、「墜落地点確認までに時間を要したことはやむを得なかったものと考えられる。」「救難活動は困難をきわめたが、活動に参加した各機関によって最大限の努力が払われたものと認められる。」と記述されております。当時は、事故の原因は調査しても、事故による被害をどうすれば軽減させることができたのかについてまで調査を行うようになっていなかったことから、捜索救難の状況について詳細な記録が残っていないのが実情です。運輸安全委員会としては、平成23年7月に、ご遺族の皆様の疑問点について、分かりやすく説明するために、123便報告書の解説を作成しました。同解説書において、現在ある情報をもとに、「航空機による墜落場所の特定」及び「ヘリコプターによる夜間の吊り上げ救助」について、分かる範囲のことを解説しております。報告書に書かれている以上のことは当時の状況として申し上げることはできません。
問: アメリカの大使館関係者は日本政府からの要請がもう少し早ければ、米軍としては救援活動の準備はしていたのでもう少し早く救援できたのではないかという発言がありますが、そのことについては調査されていますか。
答: その件の事実関係については承知していません。報告書にもそのことは記載されていません。話としては色々あるでしょうが事実関係として記録に残っているものはありません。
問: 圧力隔壁が見つかった場所については報告書に記載がありますが、誰がどのような形で発見したかは記載がないので教えていただけますか。
答: 報告書や保存されている調査関係資料には、どの部品を誰が発見したかについては記録されていません。ただ圧力隔壁の解析、実験について別冊を含めて詳細に書かれていますのでご覧いただきたい。
問: 123便墜落事故から30年という節目の年に、今回の調布の事故も含め航空機事故が多いように感じていますが、それについて委員長はどう思われていますか。
答: 日航機事故以降30年の我々の事故調査のあり方ですが、当時の航空事故調査委員会が行った本事故の調査結果に基づく、勧告や建議を踏まえ、航空局において、大規模修理時の管理体制や与圧構造部位の基準の強化等の事故再発防止に関する各種安全強化策が講じられたものと承知しています。また、日航機事故以降に国内で発生した各航空事故等については、適確な原因究明調査を行い、その結果を踏まえ海外の関係機関が講ずべき再発防止策を、これまで20件の安全勧告として実施し、世界を通じた同種類似の航空事故等の再発防止に寄与してきたところです。本事故の調査報告書については、平成23年7月に、ご遺族の皆様の疑問点にできるだけお答えするため、「日本航空123便墜落事故調査報告書に関する解説書」を作成し、公表しました。さらに、平成24年4月には、運輸安全委員会事務局に事故被害者情報連絡室を新設し、被害者等への適時適切な情報提供に努めてまいりました。今後とも引き続き、真に国民の皆様から必要とされる事故調査の実現に、取り組んでまいりたいと考えております。
問: それはわかりますが、今年、事故が多いと思うのですが、30年という節目の年で気をつけなければいけないとよく言われたりしますが、委員長としてどのように思われますか。
答: いろんな事故が続いていて、アシアナ航空の事故もあり現在も調査中でありますが、どういうことが原因で起こったのかなどの解析がでないと改善できないので、我々は厳正に調査を進めたうえで、改善すべき点を探していかなければならないと思っています。
問: 先週、元事故調の大先輩方のシンポジウムに参加されていましたが、藤原さんなどは早く公表しないと再発防止につながらないから70点だと率直に話され、美谷島さんも報告書を出して終わりでなくて、体制の充実や教訓を生かしていかなければならないと話されていました。30年分の教訓や思いを聞かれていたと思いますが、70代、80代の大先輩方の話を聞いて委員長はどのような印象を受けましたか。
答: 我々の最大の目的は再発防止であります、そのためには、似たような事故が起こらないように、調査を急いで、できるだけ早く国民に知ってもらうということが大事なことであります。ただ調査というのは時間がかかるもので、どういうことが起きたのかを突き詰めていくと、ある程度の時間がかかることはやむを得ない。それをできるだけ短くして再発防止策を早めに提案できるよう努力していますが、その再発防止策をどこまで通用させることができるかが課題です。航空会社は我々が出した再発防止策で二度と同じようなことは起こらないような対策が施されていると信じていますが、小型機ではなかなかそうはいかない。再発防止策を受けとってそれぞれのパイロットに広く長く考えていただくためにはどうすればいいか、改善策を探っていこうと思っています。そういった面でシンポジウムは参考になりましたが、シンポジウムを開催して聞いていただける方はごく一部なのでそれをどうやって広げていくかも今後の課題であるし、引き続き考えていきたいと思っています。
問: 事故調査委員会が被害者の方への説明も含めて体制が強化されていっていると思うのですが、一方では独立性であったり体制の強化であったり美谷島さんも含めて求めている声があり、今後の運輸安全委員会のあり方について、委員長として独立性や体制の強化を含めてどの様にお考えですか。
答: 現在行っていることをいかに充実していくかということが第一の課題であります。それは我々が出す報告書をどこまで空間的に時間的に届けるかということが1つあります。それから調査方法として、これは調査官に関わる問題ですがどういう調査をすれば良いのか、これはNTSB等を含めた外国の調査機関を含めてどういう調査をしていくか日に日に勉強をして良いところは取り入れながら調査活動を広めていきたいと思っております。もう1つは、最近のように事故が多いと人手が足りないと言うことがあり、ただ、こればかりはどうしようもない全体の問題であります。この様に事故が多発する状況で調査官の体制や遣り繰りをどうすれば良いのか喫緊の問題として、今後、事務局も含めてどうすれば良いのか考えていきたいと思います。実は教訓がありまして、一昨年の1月に787のバッテリー事故がありまして、あの時もいろいろ事案を抱えていまして、人が足りませんでした。当時の事務局長が大変、努力されましてあちこちから人材を引っ張ってきていただきました。その様な臨時的なやり方もあるのですが、一端、何か起きた場合に組織的に何か取り方ができればと思っていますので、今後の喫緊の課題であります。
問: 6月30日に発生した東海道新幹線の火災のことですが、調査対象とされましたが調査官を現地に派遣することはなかったようですが、これからもないようで、どういった状況で調査しているのでしょうか。
答: 6月30日の東海道新幹線の火災に関しましては、現在、JR東海に対し列車内の被害の状況や事故発生後に乗務員等によりとられた措置に関しまして、関係者からの聞き取り、資料の収集を行っておりまして、早急な報告書の公表を行ってまいりたいと思います。
問: 調査官を派遣し、列車内の実物を見ての調査を行っていたのですか。
答: 車両所に派遣しています。
問: 発生直後は、調査官を派遣しないとのお話でしたが、どの様に判断が変わったのでしょうか。
答: 列車内の被害状況をより詳細に調査することが適切と判断したためです。
問: その必要性があると、後になって判断したということですか。何時実施したのですか。
答: 7月3日に実施しています。
問: 当初、明らかに放火であり運輸安全委員会の調査対象にすべきかどうかの議論になったと思いますが、国交省鉄道局が事故だとして通報されて、調査対象にされました。その前にはJR東日本の支柱倒壊は、あれは鉄道局の通報が遅かったと言われていますが、鉄道局の通報がなければ調査が始められない、あるいは通報があればどんな事案でも始める。これは運輸安全委員会の主体性が足りないのではないでしょうか。
答: 何が起こったのかは通報してもらわないといけない。それをやるかやらないかの判断は、やらないとの判断もできうる状態になっています。なお、本件につきましては、事故当日から調査対象として情報収集を始めています。ただ、事件性と言いますか、大量の可燃物がまかれて燃えたということで、電気のショート等が生じたのとは異なることもあり、事業者等からの情報で対応し得るとの判断をしていたところですが、後日、より詳細な被害軽減の観点から、車両所に派遣して調査を行ったものです。
問: 国交省の判断に左右されて、身動きが取りにくい面が見ていてあるように思うのですが、先程、体制強化の話でもありましたが、法律でこう決まっている、金がない、人がいない、だからしょうがない。その様な話ばかり聞いてきたような気がします。であれば状況として事故が多発していて体制強化する必要があるとか、運輸安全委員会が主体的に判断すべきだとか、一部から聞きますので変えていくべきだと委員長から働きかけて行くことはないのでしょうか。
答: 事故が起こったことを我々のみで知ることは不可能であり、いろいろなところから情報を得ないといけません。情報をもらってそれを調べるべきかとの判断をこちらでやるのか、鉄道局や航空局でやるのかとなる。それは、我々は国土交通省の外局となりましたので、我々が判断することができると考えています。しかしながら、情報を発信するところは、現場になりますのでそこからどの様な情報をもらうか、もらったことにより我々が判断することになります。判断の部分を少しずつ高めていきたいというのが現在の状況であります。
問: 事故に至る経緯というのは、皆が分かっているところですが敢えて調査するのは、被害の軽減で煙を外に出すなど新幹線の構造だとか、事が起こった場合の避難誘導だとか、どの辺が主体的な調査対象になるのですか。
答: 現在、それも含めて事実の収集を行っておりますが、我々としては、乗務員等がどの様な誘導を行ったのか、車両の状況がどうだったのかを調べまして、どの様な形で被害の軽減に資することができるのか分析し、取りまとめることとしております。
問: そもそも危険物が持ち込まれないような手立てについて、大臣はそもそもテロだと、テロの対策も必要だと言われていましたが、そこまで踏み込んだ調査はするのですか。
答: それは事件としての原因究明だと思われますが、我々としましては、事件としての原因究明まで調査するものではありません。