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委員長記者会見要旨(平成26年10月28日)

平成26年10月28日(火)14:00~14:21
運輸安全委員会会議室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、10月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故等調査の進捗状況一覧と、英語版「運輸安全委員会年報2014」の発行についてご報告いたします。
 

1.事故調査の進捗状況等報告

 はじめに、委員の異動及び専門委員の任命がありましたので、ご報告申し上げます。
 まず、海事関係の委員の異動ですが、海事部会長でありました横山鐵男委員が9月30日をもって退任され、10月1日付けで庄司邦昭委員、根本美奈委員が再任され、新任の委員に小須田敏委員が任命されました。なお、海事部会長には庄司委員が互選されました。
 また、個別調査において外部の専門的知見を得る必要がある場合、運輸安全委員会設置法第14条に基づき、学識経験者が専門委員として任命され調査に参加していただいております。
 平成26年6月にJR江差線で発生した貨物列車脱線事故につきましては、現在、調査により収集した各種データ等の整理・分析を行っているところでありますが、今回、脱線メカニズムの分析を進めるため、軌道及び車両分野について、公益財団法人 鉄道総合技術研究所 軌道力学研究室の名村明室長と茨城大学工学部機械工学科の道辻洋平准教授がそれぞれ専門委員に任命され、10月より調査に参加していただくこととしました。詳細は、事務方にお問い合わせ下さい。
 続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告いたします。説明は省略させて頂きますので、詳細は資料1をご覧ください。

2.英語版 運輸安全委員会年報2014の発行について

 次に、本日、英語版運輸安全委員会年報2014(英語名称:Japan Transport Safety Board Annual Report 2014)を発行し、当委員会の英語版ホームページで公表しましたので、ご紹介します。
 お手元に資料2として、ホームページ上の英語版年報の内容の一部を紹介したものをお配りしておりますのでご覧下さい。
 英語版年報は、海外向けの情報発信を強化することを目的に、平成24年から作成しているもので、今年6月に発行した日本語版の「運輸安全委員会年報2014」を英訳したものです。
 なお、お配りした資料の裏面にも記載のとおり、当委員会では、年報以外に、各モードの事故分析をまとめた運輸安全委員会ダイジェストや船舶事故ハザードマップの英語版を作成、公表しております。
 英語版年報の印刷物をご希望される場合は、お配りしますので、後ほど、事務局にお申し出ください。
 本日、私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(英語版年報2014関連)

問: 6月に発行した日本語版を英訳したものというのは、今年の5月ごろまでの事案が書いてあるということでしょうか。
答: データは日本語版と同じものとなります。英語版年報2014年で強調したい点をご紹介しますと、2013年度より日本語版の年報をさらに「読みやすく」「わかりやすく」改善したことに伴い、英語版も読みやすくなっています。

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: 先月公表したB787の報告書の英訳版は公表されていますか。
答: 先月公表したと同時に英訳版の報告書もホームページにて公表しています。

問: 海外からの問い合わせなどは。
答: いろいろあるようですが、今のところ特別に取り立ててということはないようです。

問: B787でJALのボストン事案でNTSBが秋にも報告書を公表するということだったのですが、もう秋も深まっているのですが、どのようにご覧になっていますか。
答: ボストン事案はNTSBが調査を行っていますので、他の国の主体機関が行っていますので、主体でないその他の国の機関から内容を申し上げることは慣例として申し上げられない。というのは調査中ということなので調査に影響を与えてしまいますので私どもから何も申し上げられません。ご了承願います。

問: 先月B787が報告書が公表されて安全勧告をだしていますが、それに対して一か月立ちますがアメリカからの対応はいかがですか。
答: 今のところB787の安全勧告について向こうから対応するという回答はきていないと思います。一般的に安全勧告に対する猶予期間として90日以内に返答するとなっていますが、まだ期限もきていないし、現時点ではアメリカからの通報もありません。

問: それはFAAからですか、ボーイングからですか。
答: 両方です。国同士なので関係国の機関からの回答が90日以内となり、国単位の回答となります。NTSBを通してFAAやボーイングに回答を求めているので、90日以内であるし、回答もまだきていません。

問: 窓口がNTSBとなるのですか。
答: そうですね。

問: 回答があった場合は公表されますか、会見でお聞きすることになりますか。
答: 基本的に公表することになると思います。

問: 公表のタイミングとしては定例記者会見のときとなりますか。
答: タイミングが合えばそうなりますが、あるいはその前に公表するようなこともあるかもしれません。期日としても、遅れるということも多いので我々として待つしかないのです。そういう事例があることをご承知いただければと思います。

問: 90日の期限で切るということはないのですか。
答: そういうこともありますが、回答を出す予定だからということで、期限が超えても待つことがあります。

(日本貨物鉄道(株)江差線列車脱線事故関連)

問: JR江差線の脱線事故で専門委員が任命されたということですが、任命した狙いというのは何ですか。
答: 平成26年6月に発生した江差線で発生した貨物列車脱線事故につきましては、事故発生後、現場の状況、車両の状況等の調査を行いました。本事故につきましては様々な要因が関与していると考えられることから引き続き、多角的な調査・分析を行っていくことが必要となっております。江差線ではコンテナ貨物列車の脱線事故が続いていることから、今回、脱線メカニズムのより詳細な分析を進めるため、軌道及び車両分野について、それぞれ専門委員を任命し、調査に参加していただき、その促進を図ることとしたものです。名村専門委員からは軌道の動的解析などに関し、また、道辻専門委員からは鉄道車両の走行安全性の解析などに関する知見を得たいと考えております。

問: 江差線では2012年に起きた脱線事故もありますが、そちらの状況はいかがですか。
答: 現在調査中ですので審議は始めていません。

問: 様々な要因が関与しているとはどのような要因ですか。2、3具体例を挙げてください。
答: 先ほど申し上げたとおり、一つは軌道の動的な解析やその他に列車を使った実験等を含めやりうるわけなので、それらについて専門的知見を提供いただきたいわけです。もう一つ申しあげた鉄道車両の走行安全性については、軌道と列車との走行中の振動等を含めた安定性の観点から解析・分析をしていき、実験も含めて助言等を行っていただきたいと考えています。

(しまなみ海道ヘリコプター関連)

問: 週末にしまなみ海道で、サイクリングレースの最中に毎日新聞のヘリコプターの影響があった件ですが、これに関して航空局の認定もあるのでしょうが、運輸安全委員会の調査対象になりそうでしょうか。
答: 航空事故に該当するかどうかは、機体の損傷の程度と、人の場合はけがの程度になるのですが、そのけがの程度は重傷かどうかです。私も、報道機関の記事を読んだ範囲ですが、手の指のおけがだったようで、一般的に大きな骨の骨折の場合には事故になりますが、手の指の先の骨折などのけがですと重傷の範囲に入りませんので、一般的には航空事故に該当しないということです。

問: 人体の損傷という範囲ではということでしょうか。
答: 例えば、入院が48時間以上継続するとか、けがをして出血多量とか、そういう場合ですね。記事を見た範囲ですけれど、一般の航空機事故の重傷には該当しないような記事の内容だったのではないかと思います。

問: それを判断されるのは、航空局ということですか。
答: そうですね。

(リニア中央新幹線、MRJ等関連)

問: リニア中央新幹線で、この間着工認可された段階ですけれど、山梨県の実験線で11月、12月と一般の方を乗せて体験試験走行をするようですが、もしその最中に事故があった場合というのは、扱いはどうなるのでしょうか。
答: 鉄道事業ではないので、対象にならないと思います。

問: 鉄道事業としての認可を受けていないということでしょうか。
答: 今の時点では鉄道事業として開始されているものではないので、今の法律では、当委員会の対象にはならないと思います。実験線という扱いですから、鉄道の営業ではないということです。

問: MRJは対象になるのでしょうか。
答: 航空機は登録したかしないかで判断するのではなくて、例えば超軽量動力機というのは登録されておりませんけれども、人が乗って航空の用に供しているものですから航空機として認められていますので、その場合は航空法上の航空機に該当すれば事故になります。登録の如何にかかわらずですね。ただし、防衛庁機とか米軍機の場合は別個の法律が適用になりますので、それは民間機ではないので、適用外になります。
 MRJの場合は、テスト飛行であっても、ただし書きの適用になって、試験開発中に小さなトラブルが起こった場合は、その状態によっては調査の対象になることになりますけれども、日本の技術の粋を集めたものですから、そういうことが起こらないと信じています。

問: 仮にアメリカでMRJが訓練飛行をやって、アメリカで何らかのトラブルがあったらNTSBが調査をするということですか。
答: 航空事故は発生地主義ですので、発生した場所の国が事故調査するのが原則です。NTSBが出て行くと思いますけれど、我々に多分相談があると思います。

(外国機事故関連)

問: 例えば韓国の航空機でアシアナとか大韓航空とかが、アメリカと韓国を結ぶ途中で、日本上空で乱気流にあったとかはたまにあると思うのですが、運輸安全委員会が調べられる時に、けがをした方の人定情報というのが我々関心があるのですが、例えば日本人なのか韓国の方なのか、国籍とか性別、年齢といった情報が欲しいのですが。
答: 発表上難しいところがあるかもしれませんね。

問: 日本人でなければ良いのかということはありますが、日本人かどうかというのは、重要な関心事の一つなのです。被害者の国籍とか、そういった情報も開示していただけるようにしていただきたいのです。
答: プライバシーの話とか、人のデータをどこまで開示して良いかというのは、一義的には、乗客の方が重傷を負っているかどうかで航空事故と判定されるのですが、その方の属性についてどこまで公表すべきかというのは、気をつけなければいけない問題があります。例えば乗客の構成が日本人何名、外国人何名ということは、航空会社が発表しているので、乗客名簿の属性を我々が公表して良いのかというのは、今すぐにはお答えできないです。

資料

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