平成26年7月23日(水)14:00~14:14
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長
運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
ただいまより、7月の月例記者会見を始めさせていただきます。
現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査の進捗状況についてですが、モード別にみますと、航空は調査中の案件が36件ありまして、そのうち審議中のものが15件、鉄道は調査中の案件が25件、審議中のものが5件、船舶は調査中の案件が29件、審議中のものが9件となっています。詳細は資料をご覧ください。
本日、私からご説明するものは、以上です。
何か質問等があればお受けします。
問: ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜され墜落した件で、運輸安全委員会は調査に参加するとか何らかの形で協力するようなことはありますか。
答: この度の事故は誠に痛ましいことで、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。今までのところ調査協力の要請などは受けていません。事故であるか、または他の原因であるのかについて関心を持っているところであります。今後の調査報告を待ちたいと思います。
問: 要請はないようですが、要請があった場合に備えて何か準備はされていますか。
答: 運輸安全委員会としても、本件について関心を持っておりますし、調査協力の要請があれば協力を考えることになると思いますが、いずれにせよ、今後の展開を見極めて対応していきたいと思います。
問: 7月16日に、6月に発生した江差線の脱線事故でJR貨物が原因は究明中であるが積荷のチェック体制を強化するという発表がありましたが、これについて委員長の所感がありますでしょうか。
答: 6月22日の脱線事故の発生を踏まえJR貨物が事故への対応として2点挙げています。
1つ目が原因調査に関し第三者の協力を得ながらJR北海道と連携して原因究明及び再発防止対策を進めていくこと。
2つ目が今後の安全対策に関し、原因如何によらず同種要因による事故の再発防止に万全を期す観点から徐行運転等の措置を講ずることとしたことは承知しています。
これら対応について事故の当事者として、事故の再発防止等の観点からの取り組みであると認識しております。
運輸安全委員会としては、これまで事故発生現場の状況、車両の状況等を調査するとともに、関係者からの聞き取り調査を実施したところであり、今後、予断を持たず調査により収集した各種データ等を整理・分析し、詳細な原因究明を行ってまいりたいと考えております。
問: 江差線の件でJR貨物は原因ははっきりしないものの積荷のロール紙を偏って積んでいたことは会見で明らかにしていますが、これまでの調査で事実関係として、そのことが事故にどのように寄与しているか見立てを教えていただきたい。
答: 江差線では2年前にも2件の脱線事故が発生していますが、24年4月に発生した件は公表に向けて手続きを進めているところです。他は調査中でありますが、9月に発生した件は多角的かつ慎重な事故原因の分析を進めているところでありますので、一般的な事案よりは調査に時間がかかっています。他の事故との関連性や過去の2件の調査結果を参考にしながら調査を進めてまいりたいと思います。
問: 事実関係として偏って積まれていたということは承知していますか。
答: そのような情報は聞いていますし、調査段階でそのような事実があるかどうかつかもうとしているところで、それだけが原因であるのかどうなのかを含め全体的な見地から調査を進めています。
問: 国交省の自動車局で事業者用自動車の事故調が発足しましたが、委員の中には運輸安全委員会の非常勤の委員もいるようですが、運輸安全委員会とのかかわりがあることはありますか。
答: 運輸安全委員会では遮断機のない踏切での死亡事故も調査対象となりましたが、自動車が関連した場合は自動車事故調も調べる場合もあるかもしれません。基本的にお互いに独立した組織・機関であり、我々は鉄道・軌道の観点から調査をし、向こうは自動車の観点から調査をそれぞれ行うことになると思われます。
問: 沖ノ鳥島の事故について関東地方整備局が事故原因について中間とりまとめをだしましたが、運輸安全委員会の調査の進捗状況と地整の中間報告に対する評価と運輸安全委員会の調査に対する影響について教えていただきたい。
答: 運輸安全員会として調査を進めているところであります。委員会として公表できる情報は現段階ではありません。沖ノ鳥島港湾工事事故について中間とりまとめが行われたことは承知しておりますが、当委員会としては船舶の運用との関連を含めて調査を進めているところであります。
これまで、現地調査、資料の収集、関係者からの口述などが集まっていますので、それらの整理、分析を行っているところです。予断を持たずに調査を続けていますので、中間とりまとめについてのコメントは差し控えさせていただきます。今後さらに必要な調査、資料の収集があれば行ってまいりますが、整理、分析の過程の中でさらに必要な調査が行われるかは、その時点で検討されるべきことでもあり、調査への影響や進展状況についてお答えできる状況にはありません。