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委員長記者会見要旨(平成25年4月24日)

平成25年4月24日(水)14:00~14:20
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。ただいまより、4月の月例記者会見を始めさせていただきます。先ずは、二点ほどご報告いたします。
 一点目は、明日4月25日(木)、JR福知山線脱線事故から満8年を迎えますが、ご遺族の代表が主催される「追悼と安全のつどい 2013」に、事務局長、参事官及び事故被害者情報連絡室長の3名が、神戸事務所の担当官とともに参加する予定です。 あらためまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族の皆様に対しては心から哀悼の意を表しますとともに、お怪我をされた方々とそのご家族に対しては心からお見舞い申し上げます。
 二点目ですが、高松空港でのボーイング式787型重大インシデント調査については、資料をもってご報告するものはございません。 前回3月末の会見以降の進捗としましては、調査資料を調査官が詳しく分析するという段階となっております。この間、高松での追加試験データ取りを行うなどの活動を行っております。

 それでは、本日の資料としましては、最初に、3モードにおける事故等調査の進捗状況一覧をご報告し、次に、勧告に基づき講じられた措置として、屋久島において発生した朝日航洋(株)回転翼航空機の墜落事故に係る完了報告についてご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況報告

 はじめに現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。詳細は、資料1をご覧下さい。

2.勧告に基づき講じられた措置

(朝日航洋(株)アエロスパシアル式AS332L型回転翼航空機の機外荷物つり下げ飛行中墜落事故に係る完了報告)

 次に、勧告に基づく措置の状況について、完了報告がありましたので、ご紹介いたします。
 平成22年9月26日に発生した朝日航洋株式会社所属アエロスパシアル式AS332L型JA9635の墜落事故についてでございます。資料2をご覧ください。
 本事故は、鹿児島県熊毛郡屋久島町において、同機が機外荷物をつり下げて飛行中、つり荷が樹木又は岩等に引っ掛かったため、墜落し、機長及び同乗整備士の計2名が死亡したというものです。
 本事故の調査結果につきましては、平成25年1月25日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である朝日航洋株式会社に対して勧告を行いました。
 今般、朝日航洋株式会社から、勧告に基づく措置の状況として、法令遵守の観点から運航・整備の各部門のすべての業務について点検を実施、対象者に対しての安全ミーティングの実施、並びに現場での緊急連絡体制の見直しを行った旨の完了報告がありました。
 これらにつきましては、勧告の内容を反映したものになっておりますが、朝日航洋株式会社においては、今後とも引き続き、より一層の安全性向上に努めていただきたいと思います。
 原因関係者への勧告は、事故の再発防止や被害軽減のために講ずべき措置の実施を求めるものであり、それらが確実に実施され、安全性の向上につながっていくことが肝要であると考えております。
 今後とも、当委員会としてはこのような取組みを重ねてまいりたいと思っております。
 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

3.質疑応答

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: 787の関係でお尋ねします。今、調査官の方が詳しく分析されている段階というお話でしたけども、国内でも運航再開の判断に向けて最終段階という形になっています。原因の究明や調査の今後の見通しを教えて下さい。
答: 調査の進捗状況についてでありますが、今までに、DFDR等の記録、バッテリーの損傷の状況、高松での充放電試験のデータ等様々なデータを収集しております。これら収集したデータから、事象がどのような経過をたどったかを分析し、更に発端が何故生じたか究明していきたいと考えております。つまり、どういう発端で起こったかという点については未だに不明であります。引き続き調査に全力を尽くしていきたいと思っております。

問: どういう発端で起こったかは未だに不明とおっしゃいましたが、国交省は今週にも運航再開の判断をするというような見通しを明らかにしてます。また、FAAも同様の話をしております。これに対してJTSBはどの様に受け止めてらっしゃるかなということを教えて下さい。
答: 運航再開の決定がなされたとすれば、それに対して我々調査機関がどうこう言える立場にはありませんということはまず申し上げておきますが、現在、どういう状態になっているかということを、先程と重なるかもしれませんが、根本原因の特定には至っておりません。しかしながら、今までに判明した事実を並べてみますと、今回の事案はバッテリーケースの内側で生じているということは明らかです。しかし、その事案の発端については、セルの内部かセルの外部であるかはまだ判明しておりません。損傷の状況を見ると、バッテリー内の複数のセルが化学的反応や電気的な効果が関連し、発熱して大きな損傷となったものと考えられまして、この点において当委員会と、調査に参加しておりますNTSBやボーイング社においても、大きな考え方の違いはないと思っております。また、ボーイング社においては、運輸安全委員会及びNTSBの調査によって明らかとなった事実も踏まえ、考えられる限り洗い出した約80項目の想定原因に対して対策を立てているものと聞いておりますし、現時点において当委員会としてもそれらの範疇の外に出る原因は想定しておりません。なお、先程申しましたように高松において充放電の試験等を行って、今後あるいは何か新しい事象が出てくることも考えられますが、現在のところ80項目以外のものは想定できておりません。ということで、その中で我々が今後のことを考えていくと同時に、高松で行った実験の内容も踏まえて、今後調査を進めていこうと考えております。ただし、ボーイング社が是正措置をとっておりますが、その点については当委員会は先程申しましたように評価する立場にはありません。

問: 重なってしまいますが、原因はボーイングが想定した80項目の中にあるという理解でよろしいでしょうか。
答: 原因と申しますのはつまり、内部でどういう風に、例えば熱暴走といっておりますけども、起こったかということは我々も観察結果はほぼ一致していると考えておりますが、それがどこから起こったかということについては、80項目の中に外部の機器とのやりとりというような項目も入っているんじゃないかという風に考えているところであります。

問: 前回の会見の時に、今後究明していく課題として、バッテリーと充電器の相性の問題というのもご説明されていましたけども、それも80項目の中に入っている事柄であると理解してよろしいのでしょうか。
答: 入っております。

問: ボーイングが打ち出した対策の一つに、充放電管理の徹底ということがあって、充電電圧の上限の抑制から下限の電圧の範囲を狭めるということがありますが、それに関連する項目だと理解していいのでしょうか。
答: それも関連すると思います。充電器そのものも、米国で使用していたものと日本で使用していたものと同じような性質のものかどうか、そのあたりも合わせて調べているところです。さっき80項目と言いましたが、大きく分けると4つに分類されています。一つ目が電極ナットの不適切な締め付け等によるもの、二つ目が外部短絡や電圧変化による電解液への電圧負荷等の影響、三つ目がセルの過放電による化学変化、四つ目が製造時における異物等の混入によるものというように分類され、その中でさらに80項目に分かれて細かい過程を想定しているところですし、そう理解しております。

問: 米国で行われている公聴会について、初日が終わりましたが、現時点での委員長の見解或いは所感をお聞かせください。
答: まとめたものを聞いているわけではありませんので、全体の感想という点では言える ものはありませんが、NTSBの委員長が特に問題視されていたのは、改良型ではなく、いわゆる現型のバッテリーについてどういう問題があったのかを詳しく調査したいということでした。特に、最初、ボーイングが言っていたのは、バッテリーは、使用時間として、10の7乗時間、恐らく一千万時間に1回未満の割合で不安全事象が起こりえるのだろうと予想していたところです。一千万時間というのはフリート全体の運航時間ですから、今まで50機程度運航していますから、それらのすべてを合わせた運航時間という意味であり、全機でも数万時間です。10の4乗程度の全体の使用時間なので、はるかに短い時間で起きてるわけです。その辺のことに対して、つまり製作過程でそういう想定をしてどういう飛行実験をやっているかについて、NTSBが大変関心があるということですので、その辺が中心となってやりとりがなされたと聞いていますが、詳細については、今からまとめたものを聞いてみないといけないと思っています。

問: 23、24日と、米国NTSBがボストン事案について公聴会を開催し、関係者が一堂 に会していますが、高松事案については日本でも公聴会的なものを開催する予定はあるのですか。
答: 今のところ計画はしておりません。ボストン事案に対してはNTSB中心に行われていますが、我々も公聴会に代表を出しており、高松事案も念頭に入れて関係あるところは発言してもらいたいと思っています。

資料

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