平成24年5月23日(水)14:00~14:55
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長
運輸安全委員会 委員長の後藤でございます。ただいまより、5月の定例記者会見を始めさせて頂きます。
それでは、本日はお手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況として、鉄道の案件を1件、また、天竜川で発生した第十一天竜丸転覆事故に関わる意見に基づき講じられた施策、業務改善アクションプランの実施状況、先日、私が出席しました国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議の概要の順にご報告いたします。
まず、4月26日(木)に発生しました日本貨物鉄道(株)の北海道江差線での列車脱線事故について、調査の状況をご報告いたします。資料1をご覧下さい。
本事故は、貨車が6時29分ごろ五稜郭駅に到着した際、最後尾車両から3両目の貨車の後台車から発煙した連絡が、函館総合指令に入っていました。
一方、5時59分ごろ同指令にて釜谷駅でポイント不転換を認めたので、故障箇所を確認するよう関係各所に指示をしていました。
釜谷駅に出動した者から脱線痕有りの連絡が入り、調査したところ五稜郭駅で発煙した貨車が脱線したもようであるとのことが分かったものです。
なお、貨物列車の運転士には怪我はありませんでした。
また、当該列車は、泉沢駅~釜谷駅間の半径300mの曲線内で、進行方向右側に脱線したまま約2kmほど走行した後、釜谷駅構内で復線したものであります。
調査は、事故発生の当日(26日)から27日に亘り、鉄道事故調査官2名を派遣して、事故現場の調査、車両の調査や関係者からの聞き取り調査などを行っています。
今後の予定につきましては、事故発生当時の運転状況や車両及び施設調査の深度化を図るとともに、収集した資料の分析を行うこととしております。
次に、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。説明は省略させて頂きますが、詳細は資料2をご覧下さい。
(旅客船第十一天竜丸転覆事故防止関連)
次に、国土交通大臣に対して発出した意見に基づき講じられた施策について、ご報告いたします。資料3をご覧ください。
平成23年8月17日に静岡県天竜川を川下り中に発生した旅客船第十一天竜丸転覆事故につきましては、これまでに判明した事実を踏まえ、先月25日、川下りシーズンを迎えるに当たり、同種事故の再発を未然に防止する観点から、国土交通大臣に対して意見を述べたところです。
今般、この意見を踏まえた措置を実施するため、「川下り船事業者への指導について」の通達を国土交通省海事局から各地方運輸局等に発出し、管轄区域内の川下り船事業者に対して指導を行うよう通知した旨報告がありましたので、お知らせいたします。
運輸安全委員会といたしましても、今回の意見を踏まえた事故防止対策が着実に推進され、事故の再発防止に寄与することを期待しております。
川下りを利用する皆様におかれましても、シーズンを迎えましたが、万が一の転落に備え、乗船の際には救命胴衣を着用していただきたいということを、私からのメッセージとして、あらためて申し上げます。
運輸安全委員会の業務改善アクションプランを発表させていただき、4月にもご報告いたしましたが、今後も主だった進捗がある場合には、この場でご紹介させていただきます。今月は2点ございます。
第一が、「分かりやすく読みやすい報告書の作成」について、第二が「地方事務所からの情報発信の強化」についてです。
まず、第一の「分かりやすく読みやすい報告書の作成」については、これまで報告書は分量も多く、読みにくいという意見がありましたが、5月公表分の事故等調査報告書より、報告書の冒頭に簡潔な「要旨」を付けることといたしました。この「要旨」には、事故等の発生に至る<概要>の他、事故等の<原因>及び再発防止に係る提言がある場合は、<勧告等>として、その内容を記載します。
これにより、報告書全体の内容がコンパクトに理解していただけるようになると期待しております。
また、これまで、航空の報告書の表題には、航空機の所属及び登録記号が記載されているだけで、事故等の態様が分かりにくかったので、衝突、墜落、火災、滑走路逸脱、発動機の破損などの事故の種類を分かりやすい分類にしたがって記載することといたしました。
今後とも、より幅広い皆様に関心を持っていただけるよう、分かりやすく読みやすい報告書を作成して参りたいと考えております。
なお、5月25日(金)の公表分から、要旨と事故の種類を記載した報告書が、初めてお目見えしますので、ご覧いただければ幸いです。
第二に、地方事務所からの情報発信の強化についてです。
函館、横浜など全国8か所にあります運輸安全委員会の地方事務所においては、管轄区域内の船舶事故等の調査のほか、航空・鉄道事故の初動調査、被害者支援の情報提供等を行うこととしております。また、管轄区域内の船舶事故等について、地域特有の状況を分析して、「地方分析集」を作成し、再発防止に役立てていただくこととしております。
これらの地方分析集につきましては、当委員会ホームページ上で公表しておりますが、あらためて、この場をお借りしまして、最近公表しました地方分析集を紹介いたします。
横浜事務所では「関東・東海沿岸における定置網等への進入などによる船舶事故の状況」を3月30日に公表いたしました。資料4をご覧ください。
東京湾などの関東沿岸や伊勢湾などの東海沿岸においては定置網漁業が幅広く行われており、漁船やプレジャーボートが定置網等の漁業施設へ進入し、定置網へ衝突あるいは乗揚げるなどの船舶事故が発生しています。
事故の要因として、見張りや水路調査を十分行っていなかったことや、定置網の存在を知らなかったことなどが挙げられています。
事故防止のために、乗組員の方には定置網の設置状況の情報入手など、定置網の設置者などには定置網等の標識の不具合や灯火の電池切れがないよう点検整備の実施、船舶の所有者などには定置網等の設置状況について乗組員へ最新の情報を提供するよう、呼びかけています。
また、函館事務所では「北海道沿岸における漁船転覆事故の状況」を4月27日に公表いたしました。資料5をご覧ください。
北海道沿岸においては、漁ろう作業中や操業を終えて帰航中に転覆し、乗組員が死亡または行方不明となる事故が多く発生しています。
転覆の原因として、高波や横波による浸水、大量の漁獲物による船体傾斜あるいは復原力の低下などが挙げられております。
事故防止のために、気象・海象情報、漁具や漁獲物の片積み、船体の異常傾斜などに注意するよう、漁業関係者へ呼びかけています。
本日、資料をお配りしておりますので、詳細はそちらをご覧下さい。
また、神戸事務所と長崎事務所においても今月中に公表する予定としております。
これまで、地方事務所の活動の成果につきましては、情報発信が十分でなかった点もあり、今後は、事故再発防止に更に役立つよう、積極的な広報を行っていきたいと考えております。具体的には関係行政機関の施策にも反映していただけるよう、管轄区域内の地方運輸局などの機関に情報提供をしていくとともに、地域の海事関係者などの皆様へも発信していくこととしております。
業務改善アクションプランについては、以上です。
最後になりますが、今月初め、5月6日から9日までオランダで開催されました「国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議」に出席して参りましたので、ご報告させていただきます。
運輸関係の事故調査は、国際的な広がりを持つものであり、各国の調査機関との間で調査協力や情報交換が活発に行われております。資料6をご覧下さい。
ITSAは、1993年にオランダ、アメリカ、カナダ、スウェーデンの事故調査機関により設立され、運輸全般の安全性向上等を目的とした運輸事故調査機関の国際組織で、現在15の国・地域が加盟しております。日本は2007年から加盟しております。
委員長会議は、毎年、各国の持ち回りで開催されており、今年の会議にはアメリカのNTSBなど加盟各国のほか、シンガポールがオブザーバーとして参加し、30名を超える参加を得て会議が行われました。各国から国際的な調査協力における技術的な課題や昨年の調査事例の紹介などプレゼンテーションがあり、意見交換、情報の共有等が行われました。
私からは、昨年発生しました東日本大震災での救助や支援の飛行でヘリコプターが主でありますが、全体で4,890回に及ぶ支援等を行っていただきましたが、その間、アクシデントも重大なインシデントもなかったということを報告いたしました。その状況を説明したのち、事故等調査実績などの近況に加えて、3月に策定しました運輸安全委員会のミッションと行動指針、業務改善の取り組みについてご説明いたしました。今後も引続き業務改善に取り組んでまいる所存であります。
私からご報告するものは、以上です。
何か質問等がございましたらお受けします。
(自動車事故調査実施に係る検討について)
問: 今回、高速ツアーバス事故が起きまして、政務二役または大臣の会見などで、運輸安全委員会の中に、高速道路を走るバスに限定されるかどうかわかりませんが、そういうものに関しても調査対象に含めるべきかどうかみたいな話も出ていると思いますが、委員長のお考えを伺えればと思います。
答: その点に関しましては、既にご承知と思いますが、平成20年の航空・鉄道事故調査委員会設置法改正時の付帯決議におきまして、「施行後5年経過後において、運輸安全委員会設置法の施行の状況を勘案し、業務範囲に自動車事故を加えるなど、運輸安全委員会の在り方について十分な検討を行うこと」とされているところであります。現在、政務三役会議の下で、「関越自動車道における高速ツアーバスの事故を踏まえた公共交通の安全対策強化に係る検討チーム」が設置されておりまして、運輸安全委員会の活用を含めた自動車事故に係る原因究明の在り方についても、基本的方向性が検討されているところであります。この検討結果を踏まえて、当委員会においても所要の対応を図って参りたいと考えております。現在、運輸安全委員会は、独立性・中立性の高い常設のいわゆる3条委員会として、科学的かつ専門的知見に基づき航空、鉄道、船舶の事故等調査を実施しているところであります。そうした観点から自動車事故についてもお役に立てることがあるかもしれません。しかしながら現状においては、当委員会は自動車事故に関する知見を有しているわけではありません。さらに、自動車局では局内検討会として、「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会」というのがありまして、従前より事業用自動車の事故調査を実施してきたと聞いております。そういう議論を踏まえて私どもも進め方を考えていかなくてはならないと思っております。
問: 自動車調査についても加えるという議論を行っていると聞いておりますけど、今後それを実行しようと思った場合に、課題は何だとお考えですか。
答: 自動車調査を行うとなると、やはりそれなりの専門性が必要ということになりますので、新しい部会を作り上げるべきかどうか、調査官等の体制など、その辺の議論から入らざるを得ないのではないかという風に思っております。今の体制で行えといわれたらそれは不可能だと思います。
問: 関連の質問ですが、そもそもこの運輸安全委員会が出来たときに、付帯決議として平成20年の法改正後5年経過後検討しましょうということがいわれてきたわけですけど、そもそも陸・海・空でやろうと思っていたときに、あえて自動車もいずれ検討しましょうと付け加えたのはなぜですか。
答: 世界的に見ますと例えばアメリカの国家運輸安全委員会やヨーロッパにもいくつかありますが、自動車を含んでいる事故調査機関は結構あります。今のご質問につきましては、あくまで国会で出されたので、その理由というのは我々が答えるべき話ではないと思います。
問: 今回の関越道の事故に関しても警察の方が、刑事罰を科すというので調査している形ですけど、もし運輸安全委員会が調査するとしたらもちろん刑事罰ではなくて再発防止のために行うことで、意義として、一般国民としてどういう風に違ってくるのかということを教えてください。
答: 我々の調査はシステムのバックグラウンドを調べることとなるでしょうね。色々な取り決めがあるにも関わらずそれを踏み出した状況が確認されれば、それがどうしてなのか人員の問題なのか予算の問題なのか、スケールの問題なのか、その辺を全体的に調べることになると思います。
問: 逆に言うと公共交通機関、バス等の事故の場合は、個人、法人のバスあるいは部門のみの調査では済まない、不十分だという理解ですか。
答: そう思います。
問: バス事故の関係で、自動車を調査対象に含めるかどうかについての検討の時期的な問題ですが、政務の方では夏までに一定の方向性を出すという話ですが、法改正の問題や、専門性のある人たちをどう確保するかというようなことも含めると、とてもその時期までに、運輸安全委員会に自動車を事故調査対象として含めるかどうかまでの結論がでてくるのか、疑問を感じるのですが、事務方も含めて運輸安全委員会として、検討のスピード、進捗といったことはどういう風に捉えていらっしゃるのでしょうか。
答: 現在進んでいる公共交通の安全対策強化に係る検討チームの全体的な進め方として、必要な対策について早急に洗い出すとともに、夏までに対策を打ち出していくということでありますので、現状では全体的な進め方に従うとしか申し上げられません。
問: 今回のバス事故等の調査も含めるかということも政務二役の検討を待たないで、独立性のある3条委員会になったわけですから、委員会独自で検討していいのではないでしょうか。
答: 私どもでも勉強はいたしております。ただ、現時点では、検討チームの議論を見守っていきたいと考えております。
(日本貨物鉄道(株)江差線 列車脱線事故関連)
問: JR貨物の脱線事故ですが、当時、ポイントに乗り上げて車輪が戻ったんじゃないかという話もありましたが、そこの分析と原因はどうなんでしょうか。
答:脱線した後、復線しておりますが、原因は特定できておりません。また、JR貨物あるいはJR北海道、どちらに原因があるのかということもまだ明らかになっておりませんし、他の類似案件と同じかどうかということも調査中であります。また、貨車が発煙しておりますが、これについては輪軸を支えている部品が落下したため残った軸ゴムが熱を帯びたものと考えられますが、詳細な原因究明はこれからです。JR貨物やJR北海道は、事故が多発しておりますけれども、社内体制に問題があるのではないかという懸念もあるところでありますが、それも含めて、予断を持たずに安全体制の問題も調査していく予定です。
問: JR貨物の脱線事故の関係ですけども、2カ所で発生していたということで、釜谷駅方面でで、脱線した箇所と復線した箇所はわかりますか。
答: 脱線した箇所と復線した箇所はおおよそは分かりますが、現在、その点も含めて調査中です。一旦脱線してからまた戻っておりますので、どこで戻ってどのような過程でというのはなかなか難しいところがあります。現在それも含めて調査中ということです。
問: 運転状況記録装置によれば異常な速度で運転していないということですが、カーブの所の制限速度と、実際何キロくらいで走行していたのかはわかりますか。
答: 機関車に搭載された運転状況記録装置によれば57キロくらいです。ただ、まだ解析中ですので、今後変わる可能性はあります。制限速度は60キロです。
問: JR貨物の脱線事故ですけれど、資料の9頁の3枚図の、落下した部品という写真がありますが、これはその下にある台車の主な損傷の、進行方向向かって右の脱線した2軸の後ろ側の左側の、黄色とか緑とかで色分けされてる、ここから落下したという理解でいいのでしょうか。
答: 落ちていたという事実は確認しておりますが、どこでどこから落ちたのかこれから解析していきますので、今の段階でご報告できる内容はありません。
問: 進行方向に向かって、右側に車両がずれたのですか。
答: はい、そうです。
問: 右にずれることでレールに接触したとみられるということなんですか。
答: 何かの振動等ということも考えられますので、これから解析していきます。
(日本貨物鉄道(株)石勝線 列車脱線事故関連)
問: JR貨物の関係ですが、北海道で2月に石勝線でもJR貨物の脱線事故が起きています。会社の体制的な部分の問題を含めて調査をされるということでしょうか。
答: それにつきましても、現在原因究明中でございまして、それらの対応も含めまして、現段階で原因等をご報告できるような内容はございません。
問: 事故が相次いでいるJR北海道なりJR貨物の社内の管理体制等も含めた調査が行われているということでよろしいのでしょうか。
答: 調査の結果によりますが、社内体制に問題があるとなれば、踏み込んで報告書を出すということになると思いますが、現在調査中ですので、そこまで申し上げることはできません。
(業務改善アクションプランの実施状況について)
問: 業務改善アクションプランの実施状況についてですが、地方事務所からの情報発信に力を入れたいということで、神戸と長崎でも公表予定ということですが、内容は船舶の分析集でしょうか。また、発行時期はいつ頃ですか。
答: 長崎事務所の発行予定の分析集は、九州西岸における漁業関連事故を取り上げる予定であります。発行は今月の25日頃を予定しております。ご承知のように、長崎管轄区域内では非常に多くの島々が点在して複雑な海岸線をなし、漁業が盛んでありますので、漁業の関連する事故、それを踏まえての分析集の発行だと、思って頂ければと思います。
それから、神戸事務所についてでありますが、神戸管轄区域内は瀬戸内海や琵琶湖等でマリンレジャーが盛んでありまして、プレジャーボートが関連する事故が多く発生していますので、それを踏まえてプレジャーボートの事故防止を取り上げる予定であります。発行は今月の24日を予定しております。そういう形で各事務所から、その地域に関連する話題をそれぞれ取り上げていく予定にしております。
(浜名湖カッター転覆事故関連)
問: 昨年の浜名湖のカッターボートの転覆の事故の、勧告に基づいて静岡県教育委員会が実施計画書を出したと思いますが、その内容について教えてください。
答: 実施計画書は、法令の定めがある訳ではありませんが、当委員会の勧告に対し原因関係者が取ろうとしている対応策の方針をあらかじめ確認させて頂くとともに、その措置状況の報告期限をお知らせ頂くことを目的に提出をお願いしているものであります。実施計画書につきましては、まだ確認したい事項がありまして、原因関係者との日程調整の手続き等に時間を要している関係で、まだ公表しておりません。もう少し時間が掛かると思います。
今後は、実施計画として記載された具体的な対応策が、勧告の趣旨に整合するかどうかということを確認したいと思っております。相手側もあることですが、出来るだけ早くできればとは思っております。ただし、私どもが望むものがそのまま出てくるとは限りませんので、部会あるいは委員会に諮って検討したいと考えております。今回、株式会社小学館集英社プロダクションと、そこを指導監督しています静岡県の教育委員会の関係がありますので、県の対応とプロダクションとの整合性が必要と考えております。
(スカイマークに対する厳重注意について)
問: スカイマークが、昨日航空局から厳重注意を受けました。2年前も業務改善勧告を受けていますが、インシデント等までは至っていないとはいえ、委員長からご覧になってどのようにみてらっしゃるかという見解をお伺いします。
答: いろいろ気になることが起こっているということは確かにおっしゃるとおりでありますが、事故・重大インシデントにまで至ってないということで我々は調査をしてはおりません。航空局の方で指導あるいは改善作業を指示しているところだと思います。
問: 関心を持って見守ってらっしゃるということですか。
答: そういうことです。
(航空の安全規制について)
問: 現在航空局が、100項目に亘るいわゆる安全規制の見直しというのを進めておりまして、中には安全上問題があるのではないかというような意見を述べられる方もいらっしゃるのですが、今回の規制緩和について感想をお願いします。
答: 大変難しい問題です。一般論としては、規制緩和に当たってはそもそも安全性が確保されることが大前提であるということは申し上げるまでもないことです。今般の規制緩和についても同様に航空局で安全の確保には十分留意した上で議論されているものと思います。それからローコストキャリアの本格参入ということがありまして、航空の業態に変化が見られているところであります。この変化を当委員会としても、関心を持って見守っておりますけども、格安だからといって安全性を損なってはいけない、その点は十分に注意していく必要があると思っております。当委員会は従来から事故等の調査によりその原因を明らかにして、再発防止や被害の軽減に貢献することを役割としておりますので、引き続き原因の究明に当たっては、安全規制を含む制度的な観点からも幅広く解析・検討を行うこととしておりまして、その観点から、見守っていきたいと思っております。
問: 規制緩和の行いかたは議論があるところだと思いますが、例えばそういった議論の過程であるとか、今後、具体的にはどの程度まで緩和するのかということに関与していくことはあり得るのではないですか。
答: 今の段階では私どもが出て行くことはないと思います。
問: 他のバス事故なんかを見ると、先ほどおっしゃっていた要因分析検討会等でも、こういったことはかれこれ10年くらい繰り返されてきてはいるものの、一方でそれをどう実効性あるものとして守らせるかという部分も実際には問題でして、実効性の確保という点で、それがどう徹底されるかということも含めて、実施主体は本省だとしても、そこも含めた意見だったりアプローチだったりというものはあってもいいのかなという風にも思うのですが、そのあたりは如何ですか。
答: 実施主体である原局に対して意見を出して、フォローアップしていくことは可能だと思っています。
以上