平成24年3月28日(水)14:00~14:45
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長
運輸安全委員会 委員長の後藤でございます。3月の定例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、お手元の資料1にございます、運輸安全委員会のミッション及び業務改善アクションプランについて、ご説明申し上げます。
1ページ目にありますとおり、福知山線列車脱線事故調査に係る元委員の情報漏えい等の問題に関しまして、有識者及び被害者の方々に検証作業をお願いし、昨年の4月にその検証結果と共に、「運輸安全委員会の今後のあり方についての提言」を頂きました。
この中で、10項目からなる業務改善のご提言を頂くとともに、今後の業務改善の進め方について、資料上段に記載してありますとおり、「外部の有識者を入れて組織と業務の改善を具体化する会合を設け本提言とその他必要な事項の改革に取り組むべきである」との提言を頂いております。
このため、この検証の際から引き続きお願いしております、関西大学の安部誠治先生、弁護士の佐藤健宗先生、作家の柳田邦男先生をはじめ5名の外部有識者にお願いしまして、昨年7月に業務改善有識者会議を設置し、業務改善の内容についてご意見を伺ってまいりました。
先般、13日に被害者の方をはじめとする検証メンバーの方々にご意見を頂き、19日には第2回目の有識者会議を開催し、そこで頂いたご意見も踏まえて、それらを反映したうえで、23日には運輸安全委員会を開催し、組織のミッション及び業務改善アクションプランを決定し、26日に政務三役会議に報告したところでございます。
2ページ目に、運輸安全委員会のミッション及び行動指針を掲載しております。
まず、ミッションですが、読み上げさせて頂きます。「私たちは、適確な事故調査により事故及びその被害の原因究明を徹底して行い、勧告や意見の発出、事実情報の提供などの情報発信を通じて必要な施策又は措置の実施を求めることにより、運輸の安全に対する社会の認識を深めつつ事故の防止及び被害の軽減に寄与し、運輸の安全性を向上させ、人々の生命と暮らしを守ります。」
さらに、このミッションの内容をより具体化するため、資料下段のとおり、『適確な事故調査の実施』、『適時適切な情報発信』、『被害者への配慮』、『組織基盤の充実』という4つの柱で構成される行動指針を定めております。
3ページ目になりますが、この4つの行動指針の内容に沿った形で、ミッションを実現するための具体的な行動計画として、31の改善項目で構成する「業務改善アクションプラン」を策定しておりますが、ここではそのうち代表的なものについて紹介させていただきたいと思います。
まず、1番目、『適確な事故調査の実施』として、これまで事故調査報告書の結論部分には、当該事故の「原因」のみを記載しておりましたが、事故発生との因果関係がない又は不明確な場合であっても、改善すべきリスク要因を含め安全上重要な事項については、結論部分に幅広く記載することとします。また、報告書冒頭への要旨の記載やフローチャートの掲載などにより、一般の方にも分かりやすく、被害者にとっても納得感のある報告書の作成を目指してまいります。
この他、これまでもこの定例会見の場でご質問をいただいておりました事故調査と刑事捜査との関係につきましては、事故現場において適切に調整が行われ、事故調査と刑事捜査が支障なく円滑に実施されるよう、警察との協力関係をさらに発展させるとともに、鑑定嘱託についての協議を継続していくこととしております。
次に、2番目、『適時適切な情報発信』として、関係行政機関や原因関係者に対して、事故防止や被害軽減のための勧告、意見や事実情報の提供等をタイムリーかつ積極的に行い、より一層運輸の安全の向上に寄与してまいります。また、業務改善の一環として既に昨年8月より、このような私の定例会見を実施しておりますが、事故調査の透明性確保の観点から社会的関心の高い事故調査の進捗状況の説明を行うとともに、再発防止の観点から調査途中段階であっても事故防止に資する安全情報等は広く提供して水平展開を図る取り組みなどを進めているところです。この会見については、さらに充実を図るべく、今後も記者の皆さんのご意見を伺うなどして、改善に努めてまいります。
『3.被害者への配慮』についてでありますが、昨年4月に被害者への情報提供窓口を設置しておりますが、この窓口を通じて、事故の被害者及びその家族、遺族の方々への情報提供を行うこととしております。また、それだけではなく、同窓口において、被害者の方々の気づきなどのお話を伺い、その内容を事故調査の審議を行う各モードの部会に適切に報告をし、被害者の方々のご意見に丁寧に対応していくことで、双方向のコミュニケーションを図ってまいります。
また、新たに地方事務所も情報の窓口として、東京と一体的に対応することにいたしました。
なお、現在の窓口は、名称を「事故調査情報提供窓口」としておりますが、ただいま申し上げたとおり、単に被害者の方々に情報提供するだけではなく、被害者の方々に寄り添い、お話をお伺いしていく窓口であることから、4月1日より、名称を「事故被害者情報連絡室」とするとともに、訓令上の組織として明確に設置する予定です。
こうした取り組みを鋭意進めていくために、4番目の『組織基盤の充実』ということで、ヒューマンファクター分析手法やより徹底した調査のためのコミュニケーション能力向上等、我々組織の現状や望ましい事故調査のあり方を踏まえて戦略的に研修等を実施し、職員の資質向上に務めます。また、全国に8つある地方事務所について、地方事務所における調査の進め方の改善や各地方を取り巻く特殊性に応じた事故調査・分析活動、及びその啓発活動の充実を進めるなど、地方事務所の強化を図ってまいります。
これらの内容について、実施時期も明示し、スピード感を大切にしながら取り組んで参ります。例えば、資料2をご覧いただいて、アクションプラン本体でありますが、3ページの「2.報告書第4章「結論」の記載方法」の見直しについては、4月から審議入りする案件について適用することとしておりますので、おおよそ半年程度の報告書の審議や関係諸外国への意見照会を経て、秋頃からこの新たな取り組みを行った報告書を公表することができるのではないかと考えております。
こうした内容を含んだアクションプランですが、発表してからお約束通り実行していくプロセスが重要ですので、枠外に記載しておりますとおり、来年度以降も有識者会議を継続的に開催し、年2~3回のフォローアップを実施するとともに、新規テーマの追加等、改定の必要が生じた場合には、速やかに改定を実施いたします。
さて、アクションプランに関連して、皆さんにご紹介したいものがございます。
運輸安全委員会が発足してから3年以上経過しておりますが、当委員会ではシンボルマークというものを有しておりませんでした。組織基盤の充実の一環として、このたび職員の間での公募・選定によりシンボルマークを決定しましたので、ここで発表させていただきます。
ここに飾ってありますので、ご覧ください(シンボルマーク掲示)。
シンボルマークのコンセプトは、まず球体ですが、他から影響を受けることのない、公正・中立の立場を維持し続けるという決意と、運輸安全委員会が一丸となって事故の原因究明を行い、再発防止及び被害の軽減等を推進していくという意志、そして国際協力を展開し世界における運輸の安全性向上に貢献するというグローバルな活動をイメージしております。球体の周りを走る3本のラインでありますが、それぞれ空路、陸路、海路を表現しています。また、球体の色は安全をイメージして青色と緑色の中間色といたしました。
「JTSB」は運輸安全委員会の英文名称である「Japan Transport Safety Board」の頭文字でありまして、日本、すなわちJapanの運輸安全委員会(Transport Safety Board)であることをデザインで表現しました。以上を一体的かつ躍動的に組み合わせたシンボルマークを、運輸安全委員会のビジュアル・アイデンティティとして、国内外における当委員会への理解を深めて頂きつつ認知度を向上させるとともに、職員の一体感形成を図ってまいりたいと考えております。
また、先月の記者会見におきまして、皆様にこの会見に関するアンケートをお願いいたしました。お忙しい中を多数ご回答頂きありがとうございました。
全部で、8通の回答がございました。結果につきましてご紹介したいと思います。
まず「感想」につきましては、「事故発生間もなく調査進捗状況が公表され、社会の関心が高いうちにニュース化できるようになった。」あるいは「CGなど視覚的に分かりやすい発表の仕方は評価できる。」など、それぞれ肯定的な評価をいただいており、今後、この会見を継続して行くにあたり意を強くいたした次第であります。
それから「改善点・要望」につきましては、「会見資料をあらかじめ配付してもらえると、記者の理解度も上がり質問も整理できる。」「社会的に関心の高い事故の調査進捗報告があると後で行われる記者レクを聞くことができない場合があるので、時間的な余裕を設けて欲しい。」それから「情報提供で、より踏み込んだ提言ができれば委員会の存在意義が更にアップする。」あるいは「一般の視聴者が分かるよう専門用語を極力避けた表現での説明をお願いしたい。」また「単なる報告にとどまらず、ニュースとして何を伝えたいのかを意識した内容になっているとなおよろしい。」等がありました。
改善策につきまして、「会見資料の事前配付」につきましては、早速今回から2時間前にしばり付きでありますが、配付することといたしました。「記者会見と記者レクの間に時間的な余裕を設ける件」につきましては、別の日に行ったり、あるいは記者レクを先に行うことが考えられますが、事案に応じて柔軟に対応したいと考えております。「分かりやすい表現方法、伝えたい内容を意識した報告、より踏み込んだ提言」などにつきましては、今後も継続して改善に努めたいと考えております。
今後とも、この記者会見が、運輸の安全に対する社会の認識を深めつつ事故の防止や被害の軽減に寄与する、より良い情報発信となりますよう努める所存ですので、よろしくお願いいたしたいと思います。
最後になりますが、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。説明は省略させて頂きますが、詳細は資料3をご覧下さい。
(業務改善アクションプラン関係)
問: 全体的な総括なのですけれど、今回のアクションプランの評価についてお聞かせください。
答: アクションプランは、運輸安全委員会の行動指針の4つの柱を実現するために、委員・事務局全ての者が参加をし、それぞれの個別の事項毎に、グループを作って話し合ってまとめあげたものでございますので、運輸安全委員会一体としての総意、とご理解ください。今後、アクションプランを着実に実行し、更にこの内容だけではなく、業務改善が必要な事項があれば、アクションプランに随時組み入れ、改善していこうと考えております。
問: 事故発生との因果関係がなかったり不明確な改善すべきリスクについても調査していくと思いますが、どのくらいの範囲を行うのですか。
答: 範囲はなかなか難しいのですが、例えば、具体的なところでは、数ヶ月前にお出しした四国でのヘリコプターの火災事故がございました。ストロボをたくために裸の線が機内を伝っているため、どこで発火するか分からない非常に不安全であったが、それで発火したとは突き詰められていないわけですけれど、非常に不安全な状態でした。そういうのは、改善しなくてはいけない。あるいは、岐阜の北アルプスで起こった航空事故では、操縦者が1名で数名が同乗していたわけですが、見張りが不十分であった。そういう場合操縦者が2名いて見張りを十分行っていればこのような事故にならなかった可能性もあるということで、2名操縦体制が望ましい旨を報告書の中で書いたわけです。原因として直接関係がなくとも何らかの事故防止の一助になり得ると、そういう不安全な情報はできるだけ報告書で書いていこうということです。あるいは、船の事故では、当該事故で海中転落がなくても、救命胴衣を付けていない状況が確認されれば、仮に海中転落があれば救命胴衣は命を救う助けになったはずだから、救命胴衣は付けましょうということを報告書で書いていく、ということです。
問: 事故調査と刑事捜査の関係で、責任追求とは独立した事故調査実施を目指したいために警察庁と協議を継続するということだと思うのですが、今現在、捜査機関との協議の進展状況はどの程度進んでいるか、あるいは今後どのような協議をしていくのか。
答: 現在、鑑定嘱託のあり方を含め全体的に協議を続けているということです。ただし、現在発表できる新しい進展はございません。申し上げておきたいのは、刑事捜査というのは責任追及という観点で、我々は事故調査による再発防止あるいは被害の軽減という観点で、それぞれ公益を求める。それぞれ目的が違うわけでありますが、いずれも公益を求めるために行っているわけで、これが衝突することがあってはいけない。いかに協力状態を発展していくかということです。事実情報については、共有することが必要だと認識しています。他方で、先ほど申し上げた責任を求める捜査と再発防止や被害軽減を行うための事故調査との目的の違いから、例えば物理的な脱線のメカニズムは、共有しつつ、その評価という点ではそれぞれ独立して行った方がいいのではないかという考えのもと、検証メンバーから提言いただいたわけです。当委員会としては、その線で将来実現できるように警察庁と協議を行ってまいりたいと思います。これは相手があることですから難しい話なのですが、警察と運輸安全委員会だけの関係ではなくて、社会がどう考えるかということが大変大事なことでありまして、その辺の考え方も見極めつつ協議を継続していきたいと思っております。
問: 先ほども質問があった、刑事捜査との関係なのですが、全体、他の部分が進んでいるのに対して、ここの部分だけ1年前の提言から文言が進んでないのと、相手があることで難しいのは分かるのですけれども、今日は節目の時でもありますので、相手があるので時間が掛かるというのではなく、警察庁の反応とか、もう少し具体的に、どういうところを具体的に提言し、それに対してどういう反応があるのか、委員長がおっしゃられたように社会がどう考えるかも大事ということですけれども、その辺がもう少し出てこないと社会としても考えようがないのではないかというところにつながるのではないのかなと思います。もう少し具体的におっしゃられる限りで教えて頂きたいと思います。
答: 少し詳しく申し上げたいところでありますが、協議中であり、相手もありますので言いにくい部分があります。基本的なところは先ほども申し上げましたが、我々は、事実情報の上に立ってそれを分析して、事故の原因を究明し、今後の再発防止及び被害軽減等に役立てていくという役割を持っています。警察の役割は事実情報の上に立って、誰に責任があるかを捜査する役割を持っています。そこで鑑定嘱託のやり方だと思いますが、その考え方と我々の考え方が結びつくところがあるか、そうじゃないところもあるかもしれません。そこをどういうふうに扱うべきか、というところをそれぞれの理解度を深めつつ協議をしていると思って頂ければということです。抽象的ですが、そういうことです。
問: 具体的な鑑定嘱託の見直しの警察庁への投げかけとしては、2章までは出しますよそれ以降は渡さないという方向ですか。
答: 事実関係は、これは共有していく方向です。ただし、関係者からの口述及び様々な聞き取りで知り得たことは、聞きようによっては、理解の仕方が変わる場合があります。口述情報の取り扱いはまた別に扱おうと考えております。
問: 警察庁の反応というのは、なかなかおっしゃりにくいということですけれど、難航しているのはこの結果を見れば当然だと思っていますが、これまで何回くらい協議をしたのか。何か具体的に苦しい進展状況が分かるような話を聞かせていただけませんか。
答: 必要な限り会える状況でお会いして話し合っているということです。
問: 協議は難しいという印象を持たれているということですか。
答: 難しいと思います。ただし、鉄道事故あるいは船舶事故については、運輸安全委員会に鑑定嘱託を行うことなく警察あるいは海上保安庁で捜査を行っているのが実情であり、そういうやり方が航空の分野でも使えないか、そういうことはもちろん話題の1つになるところであります。鉄道事故の場合には、今まで鑑定嘱託への回答として、我々の報告書が警察へ出て行ったのは福知山線列車脱線事故の際の1度しかありません。
問: 協議自体をいつ頃までに目処をつけたいとか、あるいは法改正が伴うのであれば、いつ頃の国会に提出したいというような目処的なものはどうでしょうか。
答: 目処を立てて行えればいいが、なかなか難しいとご理解頂きたいです。
問: 安全委員会と警察庁のどのクラスで協議されているのですか。
答: 私は出ておりませんが、相当程度の事務局の上部クラスで話し合っています。
問: 捜査と調査の関係で社会がどう考えるか、もし委員長の方から言える範囲でかまわないのでメッセージというと言い方は変かもしれませんが、社会に対してはこういうところをもう少し考えて欲しいというものがあれば聞かせてください。
答: 端的に言いますと、我々の報告書に書いてあることを責任問題として取り上げないような理解の仕方をしていただきたいです。つまり、我々の報告書を読んで、こういうことが書いてないとおっしゃるのは、実は責任の所在を明らかにしてほしいという希望を持っておられる感じをたまに受けることがあります。責任追及ではなく、再発防止及び被害軽減のために我々の報告書が使われるというふうな社会の理解が必要だと思います。また、諸外国と我が国とは過失責任追及のあり方等司法制度が異なります。そうした点を加味した上で、我が国としての事故調査と刑事捜査との関係を考えていくことが難しいところだと思います。
問: 現実策としては今の日本の法体系の中でやらなきゃならないことだと思いますが、将来的なビジョンとしてですね、過失責任の追求のあり方とか司法取引までいくのはさらに難しいとは思うのですが、こうあるべきだとか、こうなってほしいとか、もしあれば。
答: 司法制度について私からは申し上げられません。
問: 警察との協議のところですが、航空事故の分野で進んでいないというのは、分析できる専門家が委員会にしかいないからということですか。
答: 我々の分析を鑑定結果として使っているわけです。
問: 警察ではそういう専門家がいないからということですか。
答: その辺のあり方を含めて協議をしているところです。
問: 項目を実施していくなかで被害者支援のあり方で要員等を要求していくような考え方があるのですか。それとも現体制で実施していくのですか。
答: まずは現在の体制で行っていきます。
問: 被害者等情報提供マニュアルの作成とありますが、これを作ることで現行と何か違う内容は盛り込まれますか。新たに行っていくことがあれば教えてください。
答: 被害者対応マニュアルは被害者が求める情報、あるいは我々が出した方がいいと思う情報を適切に提供していくということです。それが基本になっています。加えて、被害者の方々、旅客に限らず、いわゆるビクティムという、事故の犠牲になった方々に調査の進め方、あるいは、今後どうなるのか等というような相談を受けた時には、それに応じた情報提供を行うということで、それにどのように対応していこうかと、そういうことを整理したマニュアルと思って頂けたらと思います。これは今後起こる事故ごとに少しずつ経験を積み上げて、あるいは従来あった事故に対しても、その経験を積み上げて、今後マニュアル化できればと理解してください。基本的には情報提供です。また、国土交通省総合政策局に公共交通事故被害者支援室ができる予定ですね。そこと協調しながら被害者対策については進めていきたいと考えているわけで、実際、被害者支援室には、航空局、鉄道局、海事局それから我々も含めて関係職員が併任され、被害者支援室の業務にも我々の職員が直接関わっていくことになります。事故が起こった時の運輸安全委員会の説明は全て我々が行います。その他に我々自身として、適時適切な情報提供を行っていくという意味でございます。
問: 今回の広報の仕方についてですが、先般あった関西大学の安部先生の会見ですけれど、アクションプランが未公表という段階で骨子だけを示されて会見をされました。そもそも会見とは何だろうかと考えた時に、その方が言われていること自体が果たして適正なのか。ということを我々がチェックする場ではないかと思っています。その点から考えますと、元資料がない段階で会見をされても会見としては非常に不十分であったと私は考えています。加えて、当初検証メンバーの方々に、示される段階で案としては出来上がっていたわけで、その時点で公表されて、それが今後検証メンバーの方々や、有識者会議の方々に諮られる中で元々考えていたものがどう変わり、どうなったのか審議の過程自体も公表していくやり方の方が、今回の趣旨からすればいいやり方ではなかったかなと私は考えています。このあたりは委員長いかがですか。
答: そうかもしれません。ただ、今回は、検証メンバーや有識者会議の方々にご意見を伺いつつ、最終的には運輸安全委員会を開催して、委員会としてアクションプランを決定するものという認識があり、このような公表の方法をとらせて頂きました。
問: 中身を外部に出された段階でそれは案であるという前提で公表された方が望ましかったと思います。
答: 案ということで、有識者会議等においてもいろいろなご意見をいただき、それを踏まえて案は変更してまいりました。
問: 他の部局の有識者会議などでは、結論に至る前の段階で公表している事例もあるわけです。今後出すときの出し方というものを改めて考えていただきたいと思います。
答: 今後、このような案件については、できるだけ公開することに努めていきたいと思います。頂いたご意見は今後の業務の参考にさせて頂きます。
問: アクションプランのフォローアップの有識者会議は、現行のメンバーをそのまま継続でお願いするのですか。
答: そう考えております。
(旅客船第十一天竜丸転覆事故関係)
問: 昨年の天竜川の川下りの事故の進捗状況と報告書が出る目処がありましたらお願いします。
答: 現在、鋭意解析中でありまして、近いうちに経過報告を出す予定です。
以 上