主要海難事件の審判開始の申立
 横浜地方海難審判理事所は、11月1日横浜地方海難審判庁に対し「自動車運搬船フアルヨーロッパ乗揚事件」の審判開始の申立を行いました。
 なお、バハマ国の海技免状を有する船長が指定海難関係人に指定されました。
(事件の概要)
 フアルヨーロッパ(56,835総トン、バハマ国船籍)は、自動車3,885台を載せ、台風避難のため平成14年10月1日14時06分京浜港横浜区を発し駿河湾に向かったが、付近においてレーシング(動揺による推進器の水面露出)により機関が危急停止し、伊豆諸島大島方向に圧流され、同島南東岸に乗り揚げた。
 乗揚の結果、フアルヨーロッパは、自力離礁が不能となり、船底に亀裂が生じて燃料油の一部が流出した。
 主要海難事件の裁決言渡
 横浜地方海難審判庁は、10月31日「リバーラフト(船名なし)遭難事件」の裁決を行い「低体温症に対する配慮が不十分で、落水者を速やかに救助する体制をとらなかった」ことを原因と言い渡した。
(事件の概要)
 リバーラフト(全長4メートル)は、リバーガイド1人及び乗客7人を乗せ、群馬県水上町利根川で急流下りの目的で平成13年5月20日14時20分発航したが、途中でバランスを崩して転覆し、全員が落水し7人が救助されたが、リバーガイドは溺死した。
 屋形船の運航管理者に対して安全運航を呼びかけ
 平成14年11月14日に関東運輸局主催の平成14年度運航管理者研修会(屋形船等)が開催され、その中で高等海難審判庁清水海難分析情報室長は、屋形船等の運航管理者85名に対して「海難事例に学ぶ屋形船等小型旅客船の安全運航」と題して講演を行いました。

編集後記
今月号は、方位標識に関する知識不足から生じた乗揚海難について分析しました。
 操船者は「しっかりと覚える」ということが基本ですが、各船社・海事関係団体におかれましても操船者の安全運航に関する教育・指導において、改めて注意を喚起していただければ幸いです。


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