第10回旗国小委員会(FSI)に出席
 4月8〜12日までロンドンにおいて国際海事機関(IMO)の旗国小委員会が開催され、高等海難審判庁藤江国際業務室長が出席した。会議は、ドイツから提案された「海難調査に対する支援要請と協力について、効果的な枠組みを構築し維持するための、旗国及び他の利害関係国を支援するための暫定ガイドライン」などが検討され、修正が加えられて海上安全委員会(MSC)に送付された。
 主要事件で2件の勧告裁決言渡
神戸地方海難審判庁では、3月20日「はしけRB−1作業員死亡事件」の裁決を行い「造船業者が、酸素欠乏危険に対する安全衛生管理を十分に行わなかった。」ことを原因とし、造船業者に対して勧告する旨が言い渡された。 裁決はこちら
(事件の概要)
 13年4月2日11時40分造船所において内部検査工事中、サイドタンク内に入った作業員2人が酸素欠乏症に陥り死亡した。
横浜地方海難審判庁では、3月28日「ケミカルタンカーニュー葛城乗組員死亡事件」の裁決を行い「本船において、保守管理及び安全管理不十分であったことと、立ち会い者を置かないまま、乗組員が船首ポンプ室に立ち入ったこと。」を原因とし、船舶所有者に対して勧告する旨が言い渡された。 なお、海難関係人から裁決を不服として第二審の請求があった。 裁決はこちら
(事件の概要)
 13年1月24日19時00分千葉港で錨泊中のニュー葛城の船首ポンプ室において、クロロホルムによるタンククリーニング終了後、同室に立ち入った一等航海士と救出に向かった船長及び通信長の3人がガス中毒により死傷した。
編集後記
 各交通モードや医療、原子力発電などでは、ヒューマンファクター概念に基づく事故調査手法が進展しており、海上交通の分野においても、海難調査・分析に本格的に活用されつつあることから、今月の裁決事例は船舶の船橋内での人的要因を取り上げてみました。船橋内に限らず、一般社会においても良好なコミュニケーションは必要なものです。


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