この度、海難審判理事所長に就任しましたので、謹んでごあいさつを申し上げます。平素、皆様には海難調査に対するご支援とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 ご存じの通り、海難審判庁は、海難審判法に基づき、海難が発生したときに理事官による調査を行い、審判官の海難審判を経て、その事件の原因を明らかにし、もって海難発生の防止に寄与することを目的としている機関で、その管轄区域は、国内の全海域・河川・湖沼はもちろんのこと、日本籍船が関係した海域の場合には、世界中のすべての水域に亘っております。
 言うまでもなく、海難調査の基本は、「迅速な調査」と事件に至ったヒューマンファクター等の「原因の探究」にありますが、最近の海難の特徴としては、日本周辺海域での「外国籍船の海難」の多発と、湖川における発生を含む「プレジャーボートの海難」の増加があげられます。
 これらの事件に対応するためには、海難情報の早期入手が必要で、海上保安庁、警察庁、地方運輸局、外務省等の関係機関にご協力をお願いしているところですが、「外国籍船の海難」については、早期初動調査はもとより、1997年にIMOで採択された「海難及び海上インシデントの調査のためのコード」による国際協力に基づき、外国の海難調査機関とも互いに密接な連絡をとって対処しているところです。
また、「プレジャーボートの海難」に対しては、本年4月から新しく「事故調査書」方式を導入し、事故関係者に同調査書を迅速に送付し、記載のうえ返送して頂く方法を採り、より迅速な調査を図っております。
 私共関係職員一同は、更なる業務の改善と工夫を図り、一丸となって海難調査業務に邁進致す所存でありますので、皆々様のご理解あるご協力を何卒宜しくお願い致します。

海難審判理事所長 伊藤 實

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