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![]() 門司地方海難審判庁は、平成15年6月17日上記事件の裁決を行い、「志布志湾において、台風9号が九州南方海上に接近し、同湾が台風の右半円の暴風域に入ることが予想される状況下、台風避難にあたり、錨地の選定が不適切で、早期に抜錨して台風の影響が少ない海域へ避難する措置をとらず、同湾で錨泊を続けて強風と波浪により走錨し、海岸付近に圧流された」ことが原因であると言い渡しました。 (事件の概要) コープ ベンチャー(36,080総トン、パナマ共和国船籍)は、平成14年7月22日鹿児島県志布志港で揚荷をしていたところ、同月24日10時40分接近する台風9号避難のため、離桟して志布志湾内で錨泊中、翌25日21時15分強風と波浪により走錨して同湾内の浅瀬に乗り揚げた。 乗揚の結果、船体中央部付近で折れて全損し、燃料油の一部が流出した。また、乗組員19名は、救命艇で退船中4名が溺死し、5名が負傷した。 |
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当庁では海難原因の分析・広報の強化を推進する中、平成14年度から各地方海難審判庁において管轄内の特徴的なテーマを選定し、地方版海難分析として、既に各地方の関係行政機関、海事関係団体等へ提供してきました。 高等海難審判庁では、各地方海難審判庁の発表した海難分析を集録し、「平成14年度 地方海難審判庁 海難分析集」として発行しました。 |
![]() 地方海難審判庁の 海難分析集を見る |
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7月10・11日、日本学術会議において、「人間と安全工学研究連絡委員会・安全工学専門委員会」主催による第33回安全工学シンポジウムが開催され、オーガナイズドセッション「事故調査体制」において、高等海難審判庁清水海難分析情報室長が「海難審判制度の現状と時代に対応した海難調査の取り組み」と題し、海難の再発防止のための当庁の取り組み、「事故調査体制」における位置付けなどについて講演を行いました。 |
編集後記 |
今月号の裁決事例は、プレジャーボートの海難を取り上げてみました。 平成14年に発生したプレジャーボートの海難は、368隻で海難発生全体の5%ですが、事故による死傷者は182人で全体の約30%に達しています。 高速力で航走するプレジャーボートの視野角は、速度が速くなるほど狭くなるため、周囲の見張り行為が制限される傾向にありますので、十分な注意を必要とします。 これから夏本番、マナーを守って楽しい海洋レジャーでこの夏を過ごしてください。 |
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