主要海難事件の審判開始の申立

 横浜地方海難審判理事所は、平成15年1月28日横浜地方海難審判庁に対し、上記事件の審判開始の申立を行いました。
 なお、チル ソン船長(朝鮮民主主義人民共和国)が指定海難関係人に指定されました。
(事件の概要)
 チル ソン(3,144総トン、朝鮮民主主義人民共和国船籍)は、タイヤチップを積載し、平成14年12月3日14時00分名古屋港を発し、翌4日夕刻茨城県日立港東防波堤東側付近の検疫錨地に着き、積荷役待機のため右舷錨を投じ錨泊していたところ、強い風浪により走錨し、23時45分前示の浅所に乗り揚げ、舵を損傷して操船不能となり、更に風浪により北方へ圧流され、5日01時45分日立港東防波堤灯台から353度1,780メートルの地点に打ち寄せられた。
 乗揚の結果、操舵機、舵等に損傷を生じ、船尾部外板に破口を生じて自力離礁不能となり、燃料油の一部が海面に流出し海岸を汚染した。

 仙台地方海難審判理事所は、平成15年2月27日仙台地方海難審判庁に対し、上記事件の審判開始の申立を行いました。
 なお、すいせん機関長が受審人、船舶所有者が指定海難関係人に指定されました。
(事件の概要)
 すいせん(17,329総トン)は、苫小牧港・敦賀港間に就航するカーフェリーで、34人が乗り組み、乗客456人を乗せ、車両253台を積載し、平成15年1月4日23時55分苫小牧港を発し、敦賀港に向け航行中、翌5日07時12分秋田県男鹿半島北西沖において主機冷却清水ポンプが異常停止し、同時30分航行不能となった。
 その後、南東方に圧流される中、14時09分応急措置により自力航行を始め、21時15分秋田船川港外に避泊した。

編集後記
 今月号は、河川において発生した海難事例を分析しました。河川は、流れが速く、可航幅が制限され、蛇行しているため、高度な操船技術が必要とされます。さまざまな橋梁が架かっているため、見通しが悪い場合もあり、厳重な見張りも必要とされます。
 また、最近では、水上オートバイ、モーターボートなどのレジャー船も、河川を利用して楽しんでいます。安全運航に心掛けましょう。

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