「プレジャーボートの死亡海難」 (特集全文をみる)
 近年,ゆとりのある生活が求められるなか,水上レジャーが活発化するのに伴い,プレジャーボートによる死亡・行方不明者の発生する海難が多発しています。
 平成15年では,プレジャーボートが関連した海難375隻のうち,48隻で64人の死亡・行方不明者が発生しており,種類別でみると,モーターボートでは30人,手漕ぎボート等では20人,ヨットでは10人などとなっています。

 裁決事例では,救命胴衣着用の有無が生死を分けた事例として,北海道サロマ湖沖で発生した釣り船の転覆事件を紹介しています。
 また,琵琶湖で発生したヨット沈没事件英国海難調査局(MAIB)におけるプレジャーボート海難の調査報告書の概要を紹介しています。



第1章 最近の海難審判庁の動き
(第1章全文をみる)

第1節 海難調査における国際協力体制の強化
 国際海事機関(IMO),国際海難調査官会議(MAIIF),アジア地域海難調査機関会議(ARMAIM)などの国際会議に参加するとともに,具体的な海難調査協力に向けた日韓実務者会議,日中における海難調査協力の協議,利害関係国による共同調査を想定した模擬訓練を行うなど,海難調査の国際協力体制の強化を積極的に推進しています。

第2節 海難審判行政の課題と推進
 海難審判庁では,海上交通を取り巻く環境の変化に的確に対応できるよう,平成13年度から「調査・審判業務の迅速処理」等の業務改革を行ってきました。
 平成16年度からは,より質の高い行政サービスをより速く提供できるよう,「審判・調査業務の充実・改善」,「海難審判行政の変革」,「国際化及び国際協力の推進」を三本柱とした「ビジョンマイア21」を新たに立ち上げ,更なる業務改革を推進します。




第2章 裁決における海難原因
(第2章全文をみる)
 平成15年に地方海難審判庁で裁決された715件を,事件種類と船種からみた海難原因に分けて分析しています。

第1節 事件種類からみた海難原因
1 衝突事件の海難原因
 衝突事件は,全裁決の42%にあたる300件(裁決対象船舶:625隻)の裁決が行われ,その中で748原因が摘示されています。

2 乗揚事件の海難原因

3 機関損機関損傷事件の海難原因
 乗揚事件は,全裁決の21%にあたる153件の裁決が行われ,その中で176原因が摘示されています。  機関損傷事件は,全裁決の11%にあたる77件の裁決が行われ,その中で108原因が摘示されています。

第2節 船種からみた海難原因

1 旅客船が関連した事件
岸壁などへの単独衝突事件が,前年の5倍に増加(2件→10件)

2 貨物船が関連した事件
衝突事件では,「相手船を認めながら衝突を避ける適切な措置をとらなかったもの」が多い

3 油送船が関連した事件
乗揚事件では,「船長の服務に関する指揮・監督が不適切」であったものが目立つ

4 漁船が関連した事件
乗揚事件では,「居眠り」が半数を占める

5 プレジャーボートが関連した事件
死傷等事件では,「操船不適切」が目立つ



第3章 海難分析
(第3章全文をみる)
 海難審判庁では,海難の再発防止のため,裁決から海難の態様,原因,発生要因等についての多角的かつ深度化した分析・研究を行い,海事関係者に有用な情報を提供しています。

1 海難分析集の発刊
「内航貨物船海難の分析 〜vol.1 衝突編〜」
 平成12年から14年の裁決のうち,内航貨物船が関連した衝突海難(335件,404隻)を対象に,適用された各種航法別に分類して分析しています。
 また,“バリエーションツリーによる事例分析”“絵で見る裁決”などを取り入れ,分かりやすい内容としています。


 


2 地方審判庁の海難原因分析
 各地方海難審判庁において,それぞれ特色のある海域,船種,事件種類などにテーマを絞って海難原因の調査・分析を行い,海難の再発防止のための各種情報を提供しています。
函館地方海難審判庁
 「漁船海難の再発防止に向けて」
仙台地方海難審判庁
 「東北地方沿岸における漁船海難の分析」
横浜地方海難審判庁
 「伊勢湾・三河湾における漁具衝突事件の分析」
神戸地方海難審判庁
 「鳴門海峡の海難」
広島地方海難審判庁
 「視界制限状態における旅客船の安全運航を目指して」
 「瀬戸内海における内航船の居眠り単独海難」
門司地方海難審判庁
 「プレジャーボート衝突海難の分析」
長崎地方海難審判庁
 「平戸瀬戸の海難(その2 船舶同士の衝突海難)」
 「平戸瀬戸の海難(その3 乗揚海難)」


3 海難審判情報誌「マイアニュースレター」での裁決事例の分析
 隔月で発刊している「マイアニュースレター」では,裁決事例を詳細に分析し,海難の再発防止に有用な情報を海事関係者等に提供しています。
第13号(平成15年7月)
 【プレジャーボートの海難】
第14号(平成15年9月)
 【海上交通安全法に定める航路における衝突事件】
第15号(平成15年11月)
 【ヨットが関連した事件】
第16号(平成16年1月)
 【漁船の機関損傷事件】
第17号(平成16年3月)
 【外国船の我が国沿岸における乗揚海難】
第18号(平成16年5月)
 【霧中における海難】



第4章 海難審判庁のしごと
(第4章全文をみる)

第1節 海難審判の目的とその手続き
 海難審判の目的は,海難の原因を審判によって明らかにし,その発生の防止に寄与することです。



第2節 海難審判庁の組織・管轄区域・予算・定員

第3節 海難の認知
 平成15年に発生した海難で理事官が認知したものは,5,541件(6,502隻)で,前年に比べて596件(11%),隻数で723隻(11%)減少しました。

第4節 審判開始の申立
 平成15年に理事官が審判開始の申立をした海難は,723件(1,079隻)で,事件種類では,衝突事件が289件(40%),乗揚事件151件(21%),機関損傷事件72件(10%)などとなっています。

第5節 海難審判
 平成15年に言渡した裁決は,地方海難審判庁715件(1,079隻),高等海難審判庁21件(36隻)でした。


戻 る