緊急時における航空機搭乗者の脱出及び救難等に関する建議
(1983.1.24建議)
(JA8061 東京国際空港 S57.2.9 発生事故)
(JA8444 石垣空港 S57.8.26 発生事故)
(JA8048 上海虹橋空港 S57.9.17 発生事故)
  1. 救命胴衣について
     JA8061の事故の場合、救命胴衣の所在場所が分からない乗客、救命胴衣の装着方法が分からなかった乗客又は救命胴衣を機内で膨張させてしまった乗客が見受けられた。大型旅客機であっても、緊急着水した場合、海面に機体が浮いている時間は短く、一刻も早く救命胴衣を格納場所から取り出して、迅速かつ適確に装着し、適切な時期にこれを膨張させることが必要である。
     現在でも、航空機内において客室乗務員が救命胴衣の装着デモンストレーションを行い、その格納場所を指示するなどしており、説明パンフレット等も座席後面のポケットの中に入っているが、JA8061の事故時の状況を省みるとき、救命胴衣に係る情報の乗客へのより一層の周知の方法について検討する必要がある。

  2. 緊急時に乗客が注意すべき事項について
     JA8061、JA8444及びJA8048の事故を通じて、乗客は客室乗務員等の指示に従うとともに、これに積極的に協力する等概ね整然と行動したものと認められる。しかしながら、中には、客室乗務員等の注意や制止にもかかわらず、機内持込荷物を持ち出したもの、煙草を取り出してくわえたもの、機体付近から速やかに離れようとしないもの又は主翼上に通じる非常口を明けてこれから脱出して主翼上から飛び降り負傷したものがあった。このような行為は、たとえ少数の者によるものであっても二次的被害を誘発する可能性も考えられるので、緊急時において乗客が遵守すべき事項のなお一層の周知の方法について検討する必要がある。