JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2023-3
発生年月日 2020年06月19日
事故等種類 死傷等
事故等名 貨物船TIMU作業員死傷
発生場所 京浜港横浜区本牧ふ頭A5岸壁 横浜本牧防波堤灯台から真方位296°1,500m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 貨物船
総トン数 10000~30000t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2023年03月30日
概要  貨物船TIMUは、船長ほか17人が乗り組み、本牧ふ頭A5岸壁に係留中、2番船倉内の第二甲板上で荷役作業員3人が中古トラック等の積荷役作業を行い、溶接作業員3人が貨物固縛用のDリングを同甲板上に取り付ける溶接作業を行っていた際、溶接作業員2人が、クレーンで積荷役作業中に落下した中古トラックに当たって死傷した。
原因  本事故は、本船が本件岸壁に係留中、溶接作業員が、本件荷降ろし場所付近で溶接作業を続けている状況下、本件貨物が本件荷降ろし場所に接近した際に本件チェーンスリングが切断したため、左舷方に傾いてトラック2台が落下し、溶接作業員2人にそれぞれ当たったことにより発生したものと考えられる。
 本件チェーンスリングは、最大使用荷重が非対称つりの効き側で本件貨物を吊るのに必要な最大使用荷重に不足していたと考えられ、また、本件前方部分において、本件リンクに対して側面に荷重がかかっていた場合には、仕様上の破断応力及びASTMにおけるチェーンの規格においてGRADE80という規格に相当する本件チェーンスリングに定められたリンクの最小破断応力を超過する曲げ応力が作用した状態となったことから、切断荷重より小さい荷重で切断した可能性があると考えられる。
 溶接作業員2人は、A社から本事故当日の積荷役作業前の打合せに呼ばれておらず、積荷役作業の詳細を知らなかったこと、また、艙内責任者が本件貨物の接近に気付くのが遅れて連絡できなかったことから、右舷側から本件貨物が来ていることに気付かないまま、左舷側を向いて溶接作業を行っていたものと考えられる。
 本件作業主任者は、ハッチコーミングに囲まれた2番船倉内を見ることが困難な状況下、本件貨物を本件荷降ろし場所に接近させる際、大声で連絡すれば艙内責任者に伝わり、艙内責任者が本件荷降ろし場所付近の作業員を退避させることができると思い、本件貨物が本件荷降ろし場所に接近する旨を同船倉内の作業員等に大声で連絡したが、艙内責任者に連絡が伝わらなかったことから、本件貨物が本件荷降ろし場所に接近したものと考えられる。
 艙内責任者は、本件貨物が本件岸壁から吊り上げられるまでに時間を要していたので、艙内作業員と業務等について会話し、また、本件貨物の接近を知らせる本件作業主任者の大声による連絡が聞こえなかったことから、本件貨物が本件荷降ろし場所に接近していることに気付くのが遅れ、本件荷降ろし場所付近の作業員を本件荷降ろし場所から退避させることができなかったものと考えられる。
死傷者数 死亡:溶接作業員1人、負傷:溶接作業員1人
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。