JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2012-9
発生年月日 2011年06月28日
事故等種類 死傷等
事故等名 ケミカルタンカー日祥丸乗組員死傷
発生場所 愛知県名古屋港北航路  名古屋市名古屋金城信号所東方沖所在の名古屋港北航路第3号灯浮標から真方位173°250m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 タンカー
総トン数 200~500t未満
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2012年09月28日
概要  ケミカルタンカー日祥丸は、船長、機関長、一等航海士、一等機関士及び次席一等航海士が乗り組み、名古屋港内の荷主の岸壁において、水硫化ソーダを揚荷後、離岸して名古屋港北航路を航行中、平成23年6月28日11時27分ごろ、タンククリーニング作業に従事していた乗組員4人のうち一等航海士、一等機関士及び次席一等航海士が船首楼甲板右舷側で倒れ、機関長は船尾方で意識もうろうとなった。
 一等航海士及び一等機関士は死亡し、次席一等航海士と機関長は負傷した。
原因  本事故は、本船が名古屋港を航行しながらタンククリーニング作業中、水硫化ソーダを荷揚げした2番貨物タンク(右、左)の洗浄を終了し、2番貨物タンク(右、左)の水硫化ソーダ洗浄水をアクリル酸洗浄水が貯留されていたスロップタンク(右、左)に移送したため、水硫化ソーダ洗浄水とアクリル酸洗浄水が化学反応を起こして硫化水素ガスが発生した際、タンククリーニング作業に従事していた一航士、一機士及び次席一航士が、開放されたスロップタンク(右、左)の各マンホールハッチから噴出した硫化水素ガスを吸引し、また、機関長が、スロップタンクの排気管放出口及び開放されたスロップタンク(右、左)の各マンホールハッチから噴出した硫化水素ガスを吸引したことにより発生したものと考えられる。
 本船が2番貨物タンク(右、左)の水硫化ソーダ洗浄水をアクリル酸洗浄水が貯留されていたスロップタンク(右、左)に移送したのは、A社が、タンク洗浄水の混合による危険性についての認識がなく、タンク洗浄水の移送作業についてタンククリーニング作業の手順書に記載せず、また、混ぜると化学反応を起こすタンク洗浄水の危険性やスロップタンクの使用方法について乗組員に教育を行っていなかったことから、本船乗組員は、タンク洗浄水の混合によって化学反応が起こり危険な物質が発生することを知らず、また、危険物取扱規程の内容についての認識がなかったことによるものと考えられる。
死傷者数 死亡:2人(一等航海士及び一等機関士)、負傷:2人(次席一等航海士及び機関長)
勧告・意見
情報提供 国土交通省海事局への情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。