JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MI2011-11
発生年月日 2010年08月11日
事故等種類 運航阻害
事故等名 旅客フェリーおおさど丸運航阻害
発生場所 新潟県佐渡市佐渡島東方沖約13.5海里  新潟県佐渡市所在の水津港北防波堤灯台から真方位097°13.5海里付近
管轄部署 事務局
人の死傷
船舶種類 旅客船
総トン数 5000~10000t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2011年12月16日
概要  旅客フェリーおおさど丸は、佐渡島東方沖を佐渡市両津港に向けて西北西進中、平成22年8月11日(水)13時00分ごろ、左舷の主機用の減速機を損傷して運転不能となったが、右舷の主機を運転して航行を続け、定刻より約1時間30分遅れて両津港に到着した。
 おおさど丸は、左舷の主機用の減速機を損傷したが、船体及び積載車両に損傷はなく、また、死傷者はいなかった。
原因  本インシデントは、本船が、佐渡島東方沖を両津港に向けて西北西進中、左舷減速機の出力軸船首側軸受メタルの摩耗が進行した状態で継続して使用されたため、潤滑油の油膜が途切れやすい状態となり、また、一部で鋼製の裏金が露出して潤滑油の油膜が途切れ、出力軸と軸受メタルが金属接触して過熱し、出力軸及び軸受メタルが溶融や摩耗して生じた物などが軸受下部の給油穴を閉塞して潤滑油の供給が途絶えて出力軸に焼き付き、左舷減速機の出力軸船首側軸受メタルを損傷して左舷主機の運転を継続できなくなったことにより発生したものと考えられる。
 左舷減速機の出力軸船首側軸受メタルが、摩耗が進行した状態で継続して使用されたのは、平成12年及び17年の点検では出力軸船首側の軸受の軸受隙間が交換推奨値を超えていたが、機関関係の保守整備の管理を機関部管理者のみに任せていたので、機関部管理者の判断により軸受メタルが新替えされず、A社がこの判断の適否を評価せずに受け入れ、また、22年の点検は、B社が、機関部管理者が退職して保守整備を担当する管理者が交替後に行った前年の右舷減速機の点検方法と同様に軸受の開放を行わず、簡易な確認で問題を認めなかったことから、軸受メタルが新替えされなかったことによるものと考えられる。
 A社において、機関関係の保守整備を機関部管理者のみに任せていたこと、及び保守整備を担当する管理者が交替する際、保守整備に関する情報やノウハウの継承が適切に行われなかったことは、本インシデントの発生に関与した可能性があると考えられる。
死傷者数 なし
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。